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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第百七話




 河内湖の東部沿岸に到着した俺達は久々に陸に上陸した。

「流石に数週間の船旅は疲れたな」
「そうですね」
「ところで雪風、俺達はこれから何処に行けばいいんだ?」
「はい、我が国の邪馬台国へ行きますが、峠を越えないといけませんので陸路となります」
「まぁそれは仕方ないわな。馬の準備が出来てから行くとするか」

 馬は大陸から十数頭持ってきているので荷車を繋いで歩きと荷車乗りに分かれて進み出した。



「……流石にしんどいわね」
「大丈夫ですか華琳様」

 峠の辺りで曹操がへばっていた。全く……。

「少しは行軍の演習でもしておけよ」
「こんなにきついとは思わないわよ」

 曹操ははぁはぁ言いながら登っていくが……あれはキツそうだな。

「夏候惇、おぶってやれ」
「は、失礼します華琳様」
「……判ったわ」

 曹操は悔しそうに夏候惇におぶってもらったが……。

「……何してんだ麗羽?」
「わ、私も疲れたのでおぶってもらえませんこと?」
「………」

 結局、俺は麗羽もおぶって峠を越えた。まぁ背中に良いものが当たってたからな。
 それが何か? ……判るだろ?

「今日は此処で休みましょう」

 日は暮れかけていて、俺達は街道沿いにある駅で一晩を過ごす事にした。

「倭国でも駅はあるんだな」
「はい、大陸のを似て簡易ではありますけど、河内湖に繋がる道には駅があります」

 雪風はそう説明した。そして晩飯を済ませて俺はいの一番に寝た。
 ずっと歩いていたから体力も限界なんす……。

「……いるか長門?」

 私は長門がいる部屋を開けるが、長門は既に寝台で布団を被さって寝ていた。

「抜け駆けですか桜花さん?」
「な、七乃ッ!?」

 いつの間にか後ろには七乃がいた。気配を感じて無かったぞ……。

「……七乃には一生勝てんな」
「何の事ですかね~」

 私はそう言って布団を捲った。

『………』

 ……布団を捲れば既に霞と秋蘭の先客がいて長門に抱きついていた。

『………』

 そして私達は無言で頷いて布団の被るのであった。



「……何だこれは……」

 朝起きると、何故か桜花、七乃、霞、秋蘭の四人が寝ていた。
 何を言っているのか判らないが(ry……。
 それは兎も角、朝食を済ませると俺達は出発して邪馬台国へ向かった。



――邪馬台国――

「皆、道端に膝まずいておるのじゃな」
「そうですね。身分の高い者と出会うとそうするようにしてます」

 邪馬台国へ向かう道を歩いている時、倭国の人間と出会うと直ぐに道端で膝まずいていた。
 ここら辺は魏志倭人伝と大体同じだな。

「そろそろ見えてくる頃です」

 雪風はそう言った。それから十数分後に幾つもの濠を構えた集落が見えてきた。

「あれが私の故郷の邪馬台国です」
「……やっと到着したか」

 長い道程だったよなぁ……。特に海路は皆が船酔いしてたからなぁ。
 そして門を潜って馬を預けてから宮殿へと向かう。



――宮殿――

「ようこそ倭国へ。私が邪馬台国の王である大日本根子彦国牽尊(おおやまとねこひこくにくるのみこと)です」
「妾が元仲の王である袁術じゃ」
「元魏王の曹孟徳よ」

 大日本根子彦国牽尊は日本書記や古事記等では孝元天皇となっているが欠史八代の一人であり実在しているかは判らない人物であった。
 俺達の前にいるのが孝元天皇なら欠史八代は実在しているけどな。
(欠史八代や葛城王朝等々、色々混ぜています。日本史はロマンですよby作者)

「王と言いますが、実際に邪馬台国を治めているのはそちらにいる雪風ですけどね。私は雪風の補佐をしているに過ぎません」
「ですが実質的に国を治めているのは貴方ですのじゃ」
「成る程、これは一本取られましたね。それで此処まで御足労を頂いたのはやはり……」
「はい、戦に破れてこの倭国に逃げてきましたのじゃ」
「成る程、それは大変な事でしたな。ですが……貴殿方を此処で住むわけにはいきませんな」
「……それはどういう事ですのじゃ?」

 まさかの返答に俺も内心冷や汗をかいた。

「なに、貴殿方は大陸からやってきた。恐らくは文化の違いが出るのは間違いありません。大陸から戦火を避けて邪馬台国にやってきた人々との間で衝突もありました。なので此処で住むと再び衝突する恐れがありますので住むわけにはいかないというわけです」
「成る程、文化の違いがありますわね。で、私らは野宿かしら?」

 挑発すんな曹操。

「いえ、貴殿方には河内湾に構えてもらいもしょう」
「河内湾に……?」
「はい、恐らくこれからは大陸の戦火から逃れてやってくる人々が多くいるでしょう。その人々をこの倭国に馴染めるために河内湾に構えた貴殿方が必要です」
「……成る程。それに妾達には高度な航行技術がある……と?」
「……貴殿は幼いですが、頭の思考が早くて助かります。要は我々と同盟を組まないかと言う事です」
「成る程のぅ……長門はどう思うのじゃ?」
「……確かに悪い話ではありませんね。ですが大日本根子彦国牽尊様、何か見返りがあるのでは?」

 俺の言葉に大日本根子彦国牽尊はニヤリと笑った。

「見破られましたか。見返りは貴殿方の技術です。大陸の技術を得られば我が邪馬台国は更なる発展をするでしょう」
「判りました。技術提供は了承しますのじゃ」

 こうして邪馬台国との会談は終了して、俺達は河内湾に拠点を構える事になった。



 
 

 
後書き
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