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万華鏡

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第四十二話 運動会前にその二

「下着姿で体育しろっていうのもな」
「女の子に言ったらそれこそな」
 どうなるか、彼等はクラスの女子達をここで見回した。どの顔を見てもだ。
「嫌な顔をされるのならともかくな」
「下手したらぶん殴られるな」
「そうだな、そうなるよな」
「いつも通りな」
 こう話されるのだった、そして。
 彼等はだ、諦めながらも祈る様に望んでさらに言うのだった。
「半ズボンとかスパッツじゃな」
「露出が少ないよな」
「もっと冒険して欲しいな」
「全くだぜ」
 こう話す彼等だった、そして。
 運動会に対して儚い夢を見ていた。しかし女子はシビアであり彼女達はこんなことを話しているのであった。
 琴乃にだ、クラスメイトの一人がこんなことを言った。
「ねえ、運動会の時何着るの?」
「何って?」
「だから半ズボンかジャージか」
 そういう話だった、下に履くものだ。
「それかジャージか」
「ううん、どれかよね」
「何か男連中がね」
 このクラスメイトは彼等にちらりと目をやった、そのうえで言うことは。
「ブルマとか言ってるけれどね」
「ああ、それね」
「ブルマはね」
 それはというのだ。
「もうないからね」
「そうよね、それは絶対にね」
 琴乃もブルマについては否定的な顔で述べた。
「嫌よね」
「そうでしょ、ブルマはね」
「下着だからね」
 琴乃達もこう言うのだった、ブルマはどうしてもだというのだ。
「あんなのはね」
「というか何であんなの出来たのかしら」
「恥ずかしいよね、あんなの履いたら」
「そうよ、うちの学園早いうちにブルマ廃止になったから」
 ブルマの話をした彼女はこう言った。
「よかったわよね」
「そうよね、すぐに半ズボンとかになったわよね」
「よかったわね」
 このことを喜ぶ彼女達だった、とにかくブルマはだった。
 女子生徒にとっては受けてはならないものだった、とても。
 琴乃はこの話の後の体育の授業では膝までの黄色の半ズボンだった、その半ズボン姿でこう周りに言った。
「もうこの暑さじゃね」
「それ位よね」
「それ位の長さでいいよね」
「ええ、そうよね」
 こう言うのだった。
「私達にとってもね」
「夏だと付け園までの半ズボンでいけるけれど」
 半ズボンといっても色々だ、琴乃が今穿いている膝までのものもある。その他には足の付け根までのホットパンツもある。
 それでだ、今彼女達が穿いているものはというのだ。
 琴乃は足の屈伸をしながらだ、こうも言った。
「この長さだとね」
「そうそう、動いても下着が見えないし」
「そうよね」
「短いと見えるのよ」
「ずり上がりもするし」
 このことも問題だった、短い半ズボンは。
 それでだ、女の子達は同じグラウンドでランニングを行っている男子生徒達を観ながらこう言ったのであった。
「気をつけないとね」
「観られてるからね」
「そうなのよね」
 こう話すのだった、警戒する目で彼等を観ながら。 
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