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ヘタリア大帝国

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TURN92 パルプナ=カラードその八

「ここは」
「そうだな、丁度ドロシーさんいるしな」
 二人の目の前をたまたま歩いていた。
「聞いてみるか、おいドロシーさん」
「何?」
「ちょっといいか?」
 こう話を切り出す。
「潜水艦のことで聞きたいんだけれどな」
「ドクツの潜水艦の技術が他の連合国に流れてるかというのね」
「ああ、わかるんだな」
「丁度対策を考えていたから」
 既にだというのだ。
「潜水艦対策をね」
「具体的にはどんな感じなんだよ」
「ソナーを備えるわ」
「ソナー!?」
「ええ、レーダーは電波を使うわね」
「ああ」
「ソナーは音波を使ってね」
 それでだというのだ。
「レーダーに反応しない潜水艦を発見するのよ」
「それで発見したらか」
「潜水艦を攻撃してね」
「沈めるんだな」
「それが出来るわ」
 こうフランス達に語る。
「例え連合国が潜水艦を出して来ても」
「そうか、それじゃあな」
「潜水艦は驚異よ」
「それもかなりのな」
「けれどそれでも」
 どうかというと。
「弱点のない兵器はないわ」
「例え潜水艦でもだよな」
「ええ、そうよ」
 これがドロシーの返答だった。
「無敵の兵器は存在し得ないわ」
「潜水艦も見つかったわ終わりやさかいな」
 キューバが言う。
「それでな」
「ええ、姿が見える潜水艦は」
 それはどういったものかというと。
「動きが鈍く紙の装甲の駆逐艦でしかないわ」
「つまり銀河の棺桶やな」
「その通りよ」
 最早見つかればその時点で終わりだというのだ。
「それでしかないわ」
「だからあの娘もいつも運用に細心の注意を払ってるんだな」
 フランスはエルミーの潜水艦運用の時を思い出して言った。
「ああして」
「私の艦隊には潜水艦はないけれど」
 ドロシーは機動部隊だ、だからだ。
「それでも潜水艦のことはわかっているつもりだから」
「弱点もあるか」
「見つかれば終わりよ」
 全てはそれでだった。
「本当にね」
「つまり向こうが潜水艦で来てもか」
「見つければいいから」
「それでソナーを開発したんだな」
「私と平賀博士、それに」
「レーティアさんでか」
「同時に枢軸の潜水艦の隠密能力も上昇させたわ」
 こちらが耳を備えれば、というのだ。
「これまで以上にね」
「じゃあ向こうのソナーには察知されんのかいな」
「そうはいかないわ」
 ドロシーはキューバの希望的観測は否定した。
「ソナーの技術も上がるから」
「向こうもかいな」
「見つかりにくいだけだから」
「つまり鼬ごっこやな」
「そういうことよ、兵器はそういうものね」
「強い剣が出来たらそれに対抗する楯が出来る」
 キューバは銀河の時代以前の武器から言った。
「そういうことやな」
「そう。だからソナーが開発されて隠密能力を上げて」
「ソナーの技術が上昇する」
「それの繰り返しになるわ」
「因果な話やな、けど考えてみたらそれが人間やな」
 キューバは右手を己の頭の後ろにやって述べた。
「日進月歩とも言うけどな」
「競合ともね」
「兵器みたいなもんでもそうなるんやな」
「それで兵器は進歩してきたわ」
「そういうこっちゃな。まあとにかくソナーが開発されたんやな」
「第八世代の駆逐艦や巡洋艦に備えられるわ」 
 そうなるというのだ。
「そして艦載機にもね」
「で、こっちの潜水艦は余計に見つかりにくくなって」
「そういうことよ」
「わかったわ、まあとにかく向こうが潜水艦で来ても」
「戦えるわ」
「そのことがわかって結構や、ほな今度の戦いもな」
 今からはじまるマダガスカルでの戦いもだというのだ。
「気合入れていこか」
「そうだな。俺も最近やっと調子が出て来たしな」
 フランスは少し嬉しそうである。
「頑張っていくか」
「これまではどうやったんや」
「連合にいるあいだは散々だったんだよ」
 これがこの戦争でのフランスだった。
「ドクツに負けてマダガスカルで降伏してな」
「いいところがなかったわね」
 ドロシーはさらりと毒を吐いた。
「正直連合国のお荷物だったわ」
「おい、きついな」
「ありのままを言っただけよ」
「確かに負けっぱなしだったけれどな」
 ドクツ、そして日本にだ。
「それで枢軸に入ってからだよ」
「調子が出たのね」
「ガメリカ戦でも気分よく戦えたしな」
 無論アステカ戦もだ。
「枢軸にいる方が調子がいいんだよ」
「むしろそれまでがやったんやな」
「ドツボだったな」
 敗北続きではこう言う他ない。
「いや、こっちは居心地もいいし楽しくやってるぜ」
「それはいいことね」
 ドロシーはフランスに最後にこう言った、潜水艦への対策も進め連合軍との新たな戦いに入るのだった。


TURN92   完


                             2013・3・6 
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