ヘタリア大帝国
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TURN92 パルプナ=カラードその六
「来ますか?連動して」
「スエズを領有しているエイリス軍は南アフリカに集結しています」
だからスエズからは来ないというのだ、彼等は。
「そしてドクツ軍もです」
「来ないんですね」
「はい、どういった事情か本国に戦力を温存させています」
「そうなんですか」
「私も彼等は来ると思っていましたが」
日本はいぶかしむ感じになっていた。
「しかしそれが」
「おそらく連合国同士で足並みが揃っていないのでしょうね」
クーがこう言って来た。
「元々エイリスとソビエトは上手くいっていませんでした」
「最初からですか」
「はい、傍から見ていてもわかりました」
「っていうかね、エイリス連合の中で孤立してたのよ」
キャロルもその辺りの事情を話す。
「ガメリカも全然援助しないでむしろ植民地の独立をすぐに承認して力を弱めてたしね」
「そっちの方が都合がよかったからね、太平洋経済圏を作る為にはね」
中帝国のランファも言う。
「だからエイリスは一切助けないで日本に植民地を解放してもらってたのよ」
「こっちにしてもエイリスが強いと目障りだったってことなの」
キャロルはあっけらかんとして語る。
「それで一切フォローしなかったのよ、こっちもね」
「それはソビエトも同じですので」
クーがまた話す。
「まずエイリスとソビエトが上手くいっていません」
「そしてドクツもなのよね」
かつてそのドクツの宣伝相だったグレシアの説明である。
「今は同盟関係でも基本的に利害が衝突してるの」
「ドクツは今でも欧州の盟主になろうとしているのですね」
「ええ、ヒムラーもそう考えているわね」
これはグレシアの読みだ、目にそれが出ている。
「じゃあエイリスを助けるかっていうと」
「ありませんか」
「どうせエイリスやソビエトを戦わせて漁夫の利を得るつもりよ」
まさにその通りだったりする。
「そうするつもりよ」
「だからですね」
「ええ、ドクツは来ないわ」
そしてソビエトもだというのだ。
「今はマダガスカルに専念出来るわよ」
「それは有り難いですね」
「あれっ、イタリンは?」
ここでふと気付いたのはイタリアだった。
「俺も国はどうなの?」
「あっ、イタちゃんのお国もあったわね」
「そうだったわね」
キャロルもランファもイタリアの登場にはっとした顔になる。
「御免御免、忘れてたわ」
「今連合国だったわね」
「そうなんだよ、何かすぐに忘れられるけれど」
「イタちゃん達ここにいるからね」
グレシアはそのイタリアに親しげに話す。
「だからよ」
「そうなのかな」
「うん、そうよ」
ここでまた言うのだった。
「まあ今の連合国のイタリンは戦力的にはあてにされてないみたいだけれどね」
「妹達がいるよ」
実はイタリンは妹達の方がずっと強かったりする。
「それでもなんだ」
「まあねえ、イタちゃんの本骨頂は戦争じゃないから」
「けれどいない様に思えるのはね」
どうかというのだ。
「それは嫌だなあ」
「まあまあ、とりあえず今の相手はエイリスだけよ」
マダガスカルに来る彼等だけだというのだ。
「他は今は来ないからね」
「ここでエイリス軍を叩けばまた暫く動かないです」
クーが話す。
「その間にソビエト方面に動くべきでしょうか」
「それがいいですね」
日本はクーのその考えに賛同して頷いた。
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