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ハーブ

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第九章


第九章

「手前を倒させてもらうぜ」
「そうだな。来い」
 こうして戦いに入る。まずは。
 本郷が動いた。その手裏剣を右手を左から右に動かして投げた。
 数本の手裏剣が一直線に飛び美女に襲い掛かる。しかし美女は身動き一つしない。
 ただそのハープから数本の糸が出た。そして。
 その手裏剣をそれぞれ貫いた。糸で貫いたのだ。
 するとその手裏剣は全て壊されてしまった。まるで氷が割れる様にだ。
「何っ、退魔の文字が書いてある手裏剣をかよ」
「あら、そうだったのね」
 美女はそれを聞いても涼しい顔であった。
「それは気付かなかったわ」
「随分と余裕な言葉だな」
「その程度ではね」
 清らかなそれでいて妖気に満ちた笑みはそのままだった。
「何ともないわ」
「へっ、こいつはどうやら」
「手強いな」
 役は懐から銃を出し構えながら述べた。
「それもかなりだ」
「そうですね。どうですか役さん」
「何だ?」
「その銃弾は効きますか?」
 横目で彼を見つつ笑いながらの言葉だった。
「それは」
「今から確かめる」
 これが今の彼の返答だった。
「それでいいな」
「ええ、御願いします」
「それではだ」 
 こうしてであった。銃を放つ。そこから銀の銃弾が放たれた。
 しかしそれもであった。美女の前で止まりそれから。忽ちのうちに砕け散った。銀がまるで氷の如く砕け散りそのうえで消え去ったのだった。
「銀の弾丸もか」
「この通りよ」
 美女の笑みは変わらない。
「どうかしら、これで」
「強いな」
 役も素直に賞賛の言葉を口にした。
「これはまた」
「認めるのね、貴方も」
「相手の実力を見極める」
 彼は妖精に応えて静かに述べた。
「それもまた戦いの一つだ」
「それはわかっているのね」
「貴様の武器はそのハープの糸」
 先程本郷の手裏剣を砕いたそれだ。
「そして結界もか」
「つまり私は剣と盾を持っているのよ」
「それはわかった」 
 それを受けての言葉だ。
「だが」
「だが?」
「だからといって倒されるつもりはない」
 美女は見据え続けている。
「それは言っておこう」
「あら、ではこのまま」
「倒す」
 役の言葉は今度は一言だった。
「いいな、それで」
「わかったわ。その言葉は受けたわ」
 笑みは消えない。余裕を露わにさえさせている。
「それはね」
「そうか。それならだ」
「来るといいわ」
 誘いの言葉も出してきた。
「相手をしてあげるわ」
「それじゃあ」
 今度出て来たのはアンジェレッタだった。彼女はゆっくりと二人の横に来た。
 そうしてであった。その水晶から光を出した。その光の剣を美女に対して一直線に向ける。
 それで貫こうとする。しかしだった。
 
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