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MS Operative Theory

作者:ユリス
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MS開発史
  水陸両用MS②

——ズゴック開発へ至る道——

 極端な言い方をするなら、MS-­06M(水中用ザク)は「水を舐めた」MSであった。MSである以上、人間型のフォルムを完全に捨て去ることはできないが、水中用ザクはあまりにも「人型」であり過ぎた。

 人間が訓練を積んでも、水中で魚に勝てない。別に魚型のMSを作れというのではない(そんなことをしたら、水陸両用ではなく水中用MAになってしまう)。だが、兵器における「人間」=MSと、同じく兵器における「魚」を合体させた「半漁人」である必要性はある。

 兵器における「魚」は潜水艦であると想定できる。潜水艦の、水の抵抗を徹底的に減らした余計な突起物がないスリムな形状や、深度数百mの水圧に耐える耐圧殻などの構造をMSに盛り込めば、理想的な水陸両用MSが開発できるはずであった。

 このような設計思想に基づいて開発された機体がMSM-­03ゴッグである。

 ゴッグは、局地戦用MSの代名詞MS-­09ドムを生みだしたZIMMAD(ツィマッド)社が開発した機体で、マシンが任やバズ―カなどの携帯兵装を廃止、関節などにシーリングを行い(首すら胴体と一体化した)、さらに水中航行時には湾部を肩装甲内に収納するなど、徹底した「潜水艦」化が行われている。

 このような水の抵抗の軽減と、MS­-09ドムで採用した熱核ジェット・エンジンの技術で転用した、熱核水流エンジンを搭載することで、水中での最大速度は70ノットにも達している(この数値は、旧世紀の攻撃型原子力潜水艦の約2倍に当たる)。更に冷水式大出力ジェネレーターにより、メガ粒子砲の使用を可能とするなど、水中用ザクを上回る画期的な期待であった。

 だが、ゴッグも地上での機動力や火力に問題を抱えていた。そこで出現したのがゴッグと競合する形で開発されていた、MIP(エムイーペー)社のMSM­-07ズゴックである。

 ゴッグは水中での運用に重点を置いた機体であったが、ズゴックは陸上での使用も考慮されており、ジェネレーターや推進器は水冷/空冷両方式のハイブリッド型を採用した。これにより、水中のみならず陸上でも長時間の運用が可能となった他、メガ粒子砲もゴッグのものに数倍する威力を獲得した(ゴッグのメガ粒子砲は収束機構を持たなかったが、ズゴックのものは収束機構を持つほか、腕部に装備されたことでフレキシビリティも向上している)。

 卓越した性能と機動性により、水陸両用MSの決定版という評価を不動のものにしたズゴックは、公国軍地上戦力の主力の一角を占めることとなった。





補足事項

——性能向上と特殊仕様化——

 最初は水中航行能力や水圧対策を念頭に開発されていた水陸両用MSはMSM­-07(ズゴック)やMSM­-03C(ハイゴッグ)に代表される戦闘能力増強タイプと、MSM­-04(アッガイ)やMSM-­10(ゾック)のような特殊仕様機とに進化傾向が二分されていった。兵器としての進化はズゴック系で頂点となったため、特殊任務仕様への転換が図られたのだろう。



——水陸両用MSの運用部隊——

 「海」という未知の空間に対し、ジオン公国軍はキシリア・ザビ少将の指揮下において海洋部隊を編成し、これを運用した。主な任務は偵察と通商破壊だったが、中には要人の誘拐などの秘密工作に従事する部隊もあったといわれる。こうした海洋部隊は潜水艦を中心に構成され、最盛期には10個もの艦隊が各地に展開していた。


■マッド・アングラー隊

 シャア・アズナブル大佐が指揮した部隊。ベルファスト上陸作戦のほかにジャブローの位置を特定し、ジャブロー攻略作戦の戦端を開いた部隊としても知られている。


■サイクロプス隊

 ジオン公国軍の特殊部隊で、北極基地襲撃の際に水陸両用MSを使用したことが確認されている。MSM­07E(ズゴック・エクスペリメント)やMSM­-03C(ハイゴッグ)といった希少な機体を使った部隊である。


■ホンコン特務

 ティターンズの一部隊で、ニューホンコン近海に展開した。アウムドラのMS部隊との戦闘により全滅する。


■ネオ・ジオン傭兵

 ネオ・ジオンが資金とMSを提供し、現地民を訓練して編成した部隊。北アフリカの海岸部を中心に活動した。


■ザンスカール帝国

 地球侵攻作戦を展開したベスパは、ZMT-A31S(ドッゴーラ)やZMT-D15M(ガルグイユ)といった水陸両用MSを開発・運用した。
 
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