BALDR SKY
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13ヴォーダンの死。母は強し
前書き
ゼロのフランルート、一部ネタバレが入ります。それでも良い方はどうぞ。少ししたら北欧に行く予定です。
カティアさんを連れて来たんだけど、うん……立ってるのは1人だけだ。フェンリル以外のシュミクラムが瓦礫の山のように有って、その中で、生きているだろうフェンリル連中が、手足をもがれた状態で、真紅のシュミクラム、紅の暴君に踏みつけられていた。母さんはかなり怒っている。
「くそっ、良くもやってくれたな、変態狼!!」
「貴様が言うな、機様がっ!!」
「黙れ。貴様のせいでせっかく息子が作ってくれたシュミクラムの片腕が消し飛んだではないか!」
驚いた事に紅の暴君の片腕が無くなっていた。いや、それどころか、装甲にも傷がついていて、現在修復中の上、デストロイモードになっている。
「こっちは両手両足だぞ!」
「そうだそうだ!」
「はっ、貴様らの旧式と同じにするな! だいたい、篭っている愛情が違うわ!」
「ぐっ……確かにこっちは量産品だが……」
「だいたい、貴様ら……私が助けなければ死んでいたぞ」
「ああ、それは助かった! まさか、自爆特攻してくるとわな」
「この代金は高いぞ」
「いや、というかなんでもお前らが敵にいるんだよ……」
「はっ、人の話も聞かずに突っ込んできた貴様が何を今更……」
と、すごい会話がされているのだが、空気を読まずに乱入する人が居た。いや、ある意味読んだか。
「ヴィク!」
「カティア!!」
カティアさんがヴィクトール・グットマン事、変態狼の元に走って行こうとしたので、俺は捕獲して止める。そして、ビーム・マグナムを変態狼に向ける。
「先ずは除装してシュミクラムから電子体になってもらおうか」
「ああ、わかった」
大人しく従う金髪のいかついおっさん。除装した彼を空いている手で掴む。
「部下の人はいいから、離脱させてやる。こっちはアンタと離す事があるだけだ」
「わかった。お前達は帰って休んでいろ」
「「了解」」
「母さんも休んでて。腕は直ぐに直すから」
「わかった」
さて、ご家族を連れて誰もいない特別な隔離ポイントに移動する。座標も隠蔽してあるから大丈夫だ。そこでヴィクトールを降ろして武器を向けたまま聞く。
「カティアさんは悪いけどもうちょっと我慢して。守れないから」
「どういう事?」
「お前は知ったのか」
「ああ、知った。だから、こう聞こうかフェンリル、スコール分隊所属じゃなく、第555方面架空騎兵中隊、通称WALRUS所属のヴォーダン、ヴィクトール・グットマン」
さっき殺したヴォーダンが電子体クローンで、こっちが本体だ。フランルートで、彼は死ぬ。部下に自ら撃ち殺すように命令して。そう、彼はスコールの変態狼として、WALRUSの基地を襲撃し、カティアを助けた。その後、何も知らないカティアは知識を得て、一緒に過ごす間に変態狼の事が好きになり、耳元で大好きとか愛してるとか、囁き続けて洗脳し、落とした。その後、2人は結婚してフランツィスカが産まれた。だが、彼は変態狼であると同時にヴォーダンでもある。だから、フランとカティアのどちらかを生贄に差し出す事になった。そして、カティアはサルベージにより死に、フランは同一体の実験により電脳症部分を切り離す事になった。だが、これはカティアを殺すかわりにフランを助ける事になる。彼の本心がどうなのかはわからないので、こちらとしてはフランとカティアを助けたいだけだ。ヴィクトールも出来たら助けたいが、どうなるかは本人次第だ。
「ヴィク?」
「悪いな、カティア。俺はヴォーダンでもある。だが、お前を愛したのは確かだ」
「それで、どうする? WALRUSもヴォーダンも俺達が破壊した」
「だが、俺は生き残っている。だから、第555方面架空騎兵中隊は俺が死ぬまで終わらない」
「じゃあ、カティアさんとフランを残して死ぬんだ」
「そうだな。俺達は核融合炉の暴走など手段を問わずに都市ごと壊滅させてきた。生きていたら駄目なんだよ。だから、WALRUSを終わらせるなら殺せ」
「駄目! ヴィクが死ぬなんて許さない!」
「おい……」
「ヴィクが死ぬなら私も死ぬ!」
「ちょっと待てこら! フランはどうなる!」
「じゃあ、フランと一緒に死ぬ!」
「「いや、それは困る!」」
俺とヴィクトールの意見が一致した。というか、慌てたせいで拘束が緩んだのか、抜け出してカティアがヴィクトールの所に行ってしまった。
「じゃあ、フランは貴方に預ける。じゃあ、フランは嫁に貰って。私とヴィクだけで死ぬ」
「ふざけんな誰がこんな奴にフランを渡すか!」
ここで予想外の事が起きた。原作ではむしろ、さっさと抱けとか色々と言ってきたのに……まさか、母親が死んだあとフランに嫌われていたの、かなり堪えてたのか?
「ヴィク、五月蝿い。私とフランを置いて死のうなんてする人にとやかく言われる筋合いはないよ」
「ぐっ……」
「というか、諦めてフェンリルの変態狼として生きろよ。むしろ、こんな小さな女の子2人を放り出すつもりか? しかも、片方は自分の娘だぞ。ああ、もちろん2人をこちらにくれるならたっぷり可愛がってあげる人を紹介しよう。その趣味の」
紹介するのはノイ先生だけどね!
「ふざけんな!」
「ヴィク、ヴォーダンは死んだ。それでいいじゃない」
「だが……今まで犠牲にしてきた奴らの事を……」
「なら、WALRUSの全員分、責任を持って私とフランを幸せにする! それでいいの! 被害者の私が言っているんだから、良いの。わかった? それとも、私が他の人の物になるの、嫌じゃない? 私の事、愛してくれてないの?」
「ああ、くそっ、わかった! 俺の負けだ。俺はフェンリルの変態狼として生きる!」
「それでいいの。貴方もヴォーダンは死んだ。わかった? あっ、こういう時は口止め料を払うんだよね。じゃあ、フランをあげる」
「おい!」
「えっと、貰うなら貰うけど……本人の意思は?」
「大丈夫よ。フランは私とヴィクの出会いを何度も話して、私と同じ助けられるシチュエーションが好きなようになってるから、今は貴方の事に好意があるわ。後は私が後押ししてあげれば大丈夫よ」
「おい、ふざけんな!」
ここに悪女が居る!
「もちろん、幸せにしてくれないと怒るけどね。具体的にはブスッと言っちゃうかも知れないけど。ダイブ中って、無防備だからね」
「……わ、わかり、ました……」
「うん、よろしい」
「いや、良くないぞ」
「駄目。ギブアンドテイクが基本だよ、ヴィク。それに、フランの電脳症も治してくれたから」
「……お前、WALRUSの技術を奪ったのか?」
「そうだよ。これは全世界の電脳症患者を助けられる技術だ。俺はこれを誰にでも使えるようにして、配布……は無理かも知れないが、電脳症患者を無料で治療する場所を作る。それが罪滅ぼしになるんじゃない? まあ、俺は悪人だから知ったこっちゃないけどね。利益も出るし、助けたい人を助けるだけだ」
これは決めた事だ。利益はナズーリンランドで一定期間働くか、うちのPMCに参加してもらう事だ。電脳症の人はシュミクラムの扱いを始め、電脳関連が強いからね。優秀な人材になる。
「ちっ。なら、今度俺と勝負だ。俺より弱い奴にフランはやれん」
「いいだろう、相手になってやる」
「それじゃあ、フランと見学しようかな。そういうシチュエーションはフランも好きだし」
「「……」」
取りあえず、サイサリス借りてアトミックバズーカでもぶちこんでみようか。ああ、フラン用に考えた機体を出すか。
その後、色々と話を決めて、俺達は離脱した。これでSASでしたい事は終わったな。むしろ、フェンリルからこっちに来ないか聞いてみたいけど、拒否られるな。
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