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万華鏡

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第四十一話 パジャマパーティーその九

「それからな」
「湯舟に入るのね」
「熱いお湯に」
「そう、それでな」
 それで終わりではなかった、さらにだった。
「茹だったところでな」
「また冷たいシャワー浴びてよね」
「そうして何度か繰り返して」
「これで酒が抜けるからな」
 二日酔いもだというのだ。
「それから今日一日快適に過ごそうな」
「あっ、ただね」
 ここで里香が話る。五人の中で最も知識のある彼女がだ。
「急に熱くしたり冷たくしたら心臓に悪いから」
「だからだよな」
「足からゆっくりとね」
 熱くするのも冷やすのもだというのだ。
「そうしていくといいから」
「そう言われるよな、サウナでもな」
「そう、足からそうしていって」
 そうしてだというのだ。
「慣れていくといいから」
「その方が身体にいいのなら」
 それならとだ、琴乃も里香の言葉に頷いてだった。
 そうしてだ、さらに言うのだった。
「じゃあね」
「そのことも頭に入れてね」
「お風呂に入って」
 そして二日酔いの酒を抜いて身体も綺麗にしてだというのだ。
 そうした話をしてだ、それからだった。
 五人は実際に酒を抜く為にこの朝も風呂に入ることにした。脱衣場で服を脱いでそれで風呂に入ってだった。
 身体を洗い冷やして熱してを繰り返す、その中で。
 琴乃は酒が抜けていくのを感じながらこう美優に言った。
「美優ちゃんのお部屋のお風呂ってね」
「広いっていうんだな」
「うん、湯舟に三人入られるし」
 ぎりぎりだがそれが出来ている、それで琴乃も言うのだ。
「マンションのお風呂って狭いことが多いけれど」
「このマンション特別なんだよ」
 だからだとだ、美優は琴乃に話す。
「部屋自体も広いけれどな」
「家賃高くないの?」
「あまりね」
 高くないというのだ、肝心のそれも。
「高くないんだよ」
「何でなの?」
「何か昔このマンションが建った時にな」
 その時にというのだ。
「下に不発弾が結構あったらしいんだよ」
「えっ!?」
 琴乃はその話で酔いがさらに覚めた、美優も湯舟の中で酒が抜けていくことを感じながら話していく。
「それでなんだよ」
「不発弾ってあの」
「そうだよ、あの不発弾だよ」
 言わずと知れたあれがあるというのだ。
「空襲の時の置き土産な」
「のし付けて返したいそれがあったのね」
 彩夏は身体を洗いながら不発弾をこう表現した。
「このマンションの下で」
「今でも時々出るんだよ」
 下から、というのだ。
「それでその上にあるからさ」
「このマンション安いのね」
「そうだったの」
「ああ、そうなんだよ」
 安いのには理由がある、何でもだ。
 それでこのマンションが安い理由はそれだというのだ、部屋が広く風呂場も充実していても。
「殺人事件とか幽霊の話がなくてもさ」
「あまりいい話じゃないわね」
「けれど親父もお袋も安いって言ってな」
「快諾されたのね」
「そうだったのね」
「そうなんだよ」
 まさに、だというのだ。 
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