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転生物語―魂の力―

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DS編
  小ロンド遺跡

 王の器を手に入れた俺だが、しばらくの間は今まで行っていなかった場所の探索を行うことにした。それも王の器に秘められていた力。転送のおかげだ。これは特定の篝火に対してのみだが、ありとあらゆる篝火からその特定の篝火に一瞬で移動できる便利機能だ。
 これのおかげで、今まで尻込みしていた場所にも気兼ねなく進むことができる。灰の湖、北の不死院、黒い森の庭などなど。余すところなく探索した俺は、ついに王のソウルを持つ者たちを討伐するべく旅立つことにした。

「・・・・・・・・・・・・」

 現在、俺がいるのは祭祀場の地下にある小ロンド遺跡だ。ここにいる王のソウルを持つ者。四人の公王の討伐が目標だ。
 王のソウル。これこそが、グウィンが待つ最初の火の炉を開く鍵の一つだ。アノールロンドより帰還した後にフラムトより聞かされたことだが、最初の火の炉への扉は王の器に四つの王のソウルを注ぐことで開かれるらしい。
 最も近い、ということで俺はここ小ロンドを最初の探索地へと選んだのだがここに出現する敵はどうにも厄介だった。

「また切れたか・・・・・・」

 自分を包み込んでいた淡い光が消え去る。アイテム、一時の呪いの効力が切れてしまった証拠だ。ここに出現する敵達は所詮幽霊であり、呪い状態になっていなければ攻撃は当たらないわ鎧の防御は突き抜けてくるわで厄介なことこの上ない。
とはいえ、それ以外には特に問題のある場所ではなく順調に探索を進めていく。
 そして、とある建物の屋上へとたどり着いた時、ここに来て初めて正気の人間と出会った。

「なるほど、四人の公王を討伐に・・・・・・つまり、君が不死の英雄というわけか」

「英雄になったつもりはないがな。それで、あんたはなぜここに?」

 そう聞くと、彼は自身の懐から一本の鍵を取り出した。全体的に緑がかった鍵であり、ややおお振りのものだ。

「これは公王の封印を解く鍵だ。私は今までこの鍵を守ってきた。だが、君という存在が現れた以上私の役目も終わりだな」

「確かに預かった」

 俺は鍵を受け取り、彼から幾ばくかの一時の呪いを購入しその場を後にした。
 それからほどなくして、先ほどの鍵を使う扉を見つけた。入った先には円形のレバーがあり、どうやらこれが封印とやらのようだ。
 一呼吸おいて覚悟を決めると、レバーをつかみ動かした。すると、ゴゴゴゴという大きな音と共にすぐそばにあった巨大な扉が開き始めた。
 それに伴い、これまで遺跡のした半分を覆い尽くしていた大量の水が逃げ場を求めて開け放たれた扉へと殺到する。

「大量の水が勢いよく流れていく光景は、何か怖いな」

 若干の冷や汗をかきながら水が流れきるのを待つと、すぐそばにあったエレベータを使い下に降りた。
 さすがに先程まで水に使っていただけあり、あたり一面水浸しで湿気もすごかった。それ以上に勘弁して欲しかったのが地面を埋め尽くすほどにあたりに散らばっている人骨だ。幽霊やらと戦っておいて今更な気がするが、化けてでられたりしたらたまったもんじゃない。
 そんなことを考えていると、なにかの音が聞こえてきた。金属の擦れる音。これは・・・・・・

「鎧か?」

 徐々に近づいてくる音。そして何より向けられた殺気からこの音が敵の接近であると判断し、銀騎士の剣と盾を装備し、構える。反響してやや解りづらいものの、敵のやってくる方角にも検討はついている。
 
「来た」

 正面にあった崩れかけた階段。そこから降りてきたのは薄気味悪い人型だった。人骨を模した鎧を着込んだそいつは、右手に長剣左手に不気味な光を携えながら俺へと襲いかかる。

「こいつが、ダークレイスか!」

 封印者が公王と共に封じていたというダークレイス。彼の話によれば彼奴らは人間性を奪い取る特殊な技を使うらしい。見た目だけで判断するならば、あの左手が怪しいが・・・・・・
 まずは様子見と盾を構えて敵の初撃を待つ。踏み込みと同時に放たれた鋭い突きを受け流し、牽制気味の横切りを叩き込む。しかし、敵はさしてダメージを受けた様子もなく、流れるような四連擊を放ってきた。

(強靭は高めで攻撃力もそれなり、か)

 敵の技量などを見定めながら着実にダメージを蓄積させていく。すると、ダークレイスはこれまでとは違った動きを見せた。左手を腰だめに構え、その手に宿る輝きが強みを増す。
 その輝きに悪寒を覚え、全力で回避行動に移る。おそらくは、あれが人間性を奪い取る技だろう。あの左手には注意が必要だ。

「じゃあ、そろそろ終わりにしよう」

 ダークレイスの動きは大体掴んだ。左手にさえ気をつければ、怖い相手ではない。相手の一撃を盾で弾き、隙だらけになった腹に剣を突き刺し致命の一撃で屠り、俺はその場を後にした。
 その後、新たに行けるようになった場所をすみずみまで探索した俺は、ついに公王へと挑むことにした。黒い森の庭で灰色の大狼シフを撃破し手に入れた、深淵を歩くことが可能となるアルトリウスの指輪を装備し、暗き闇の中へと身を躍らせる。
 十数秒にも渡る落下の感覚の後、俺は何もない闇の中に降り立った。
 しかし、本当に何もない。上も、左右も、下もただただ暗闇が広がっているだけだ。
 ひとまず剣と盾を構え、前方へと歩き始める。ここに四人の公王がいるはずなのだが・・・・・・
 そういえば、四人の公王とはどういった奴らなのだろうか。四人、とついているからには四人で一組の敵と捉えるのが普通だろう。
 そこまで考えた所で背後に突如現れた巨大なソウルと、そのソウルの持ち主から向けられたであろう殺気を俺は感じ取り、すぐさまその身を右前方へと投げ出した。

「やってくれるな!」

 俺が先程までいた場所には巨大な紫の光弾が降り注ぎ、炸裂。あたりに衝撃を撒き散らしている。非常に強力な魔術だ。これが、王のソウルを持つ者の力。
 油断なく現れた敵を見据える。右手に巨大な剣を持つその巨体。申し訳程度に人間に似た顔を持ってはいるものの、こいつを人と数えていいのかは正直疑問だ。

「そう簡単に当たると思うなよ!」

 再び放たれた魔術。先ほどのいくつもの光弾が向かってくるのとは違い、こちらは巨大な弾が飛んでくる別タイプのものだ。どうやらホーミング性能があるようだがその分弾速は遅い。
 魔術を躱し、万が一にも追いつかれないように全力で駆け抜け公王へと接敵する。
 敵もすぐさま先方を切り替え手に持つ剣を振り下ろしてくるものの、敵はそもそもの図体が俺の数倍あるため、俺から見れば奴の剣筋は全ておお振りになる。
 そのため余裕をもって攻撃を見極め、躱し攻撃を叩き込む。

「っし!」

 振り下ろした銀騎士の剣に確かな手応えを感じ、そのまま連撃を叩き込む。
 敵の剣を躱し、攻撃を繰り出し、また躱す。それの繰り返しを幾度かち付ける。途中、敵が自分を中心に魔力を炸裂させるという新技を繰り出してきたが事前のためが長かったため、距離をとって難を逃れた。
 余裕を持った戦いが続き、このまま問題なく撃破できそうだと感じたその時、新たにもう一つ巨大なソウルが現れるのを察知する。

「四人って、そういう意味かよ!」

 確かに、一人しか出てこなかったことに疑問を抱いていたがまさかこういう意味だとは思わなかった。このまま時間をかけていては、まずい。

「槍よ!」

 銀騎士の剣をしまい、メタルキングの槍を取り出す。そしてすぐさま最大攻撃を放つ。

――ジゴスパーク!

 呼び出された地獄の雷が、二人の公王を包み込む。出てきたばかりの奴は残ったようだが、最初の一人目は崩れ落ち消え去る。

「よし、残った方もさっさと・・・・・・嘘だろ?」

 再び現れた三つのソウル(・・・・・・)に、俺は思わず立ち尽くしてしまった。だって、そうだろう?

「五人目、出てきてんじゃん」

 殺到する四つの魔力弾に包まれ、俺はヘルカイトに焼かれて以来の死亡を味わった。
 ちなみに、復活後竜神シリーズに身を包み、最大火力で複数が出揃うまもなく公王を殲滅した。 
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