| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

モンスターハンター ~厄災の狩人達~

作者:島原
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

ロノフィンは何処に?
明星の英雄
  ロノフィン組道中①

 
前書き
無事出発したロギアとワーノルド他数名。

果たして彼らを待ち受けるものとは…? 

 
「なにはともあれ、出発完了だな。」

ワーノルドがため息をついた。

「どした、ワーノルド。」

ワーノルドの知り合いであるハンターが防具越しに尋ねた。

「いや、俺乗り物とか苦手でさ。荷車とかに乗るとすぐに酔うんだよ…。」

「そういや、そうだったな。漢方薬いるか?」

「ありがたい…。」

ワーノルドは知り合いのハンター―――テスラから漢方薬を受け取り一気飲みした。

「少しは良くなったか?」

「ああ、すこぶるな。」

ワーノルドの顔色は青白から少し肌色になった。

「ああ、そうだ。ナレーターさん、俺達の通るルートを紹介しといてくれ。」

言われなくてもしますよ。
ロギア達はまずドンドルマの街を目指すため、二番ギルドロードを通る。
ドンドルマで一泊した後、そこから村伝いに歩き古の都ロノフィンを探すという行程である。

「ありがと、ついでに武器も紹介しといてくれ。」

「ロギアさん、さっきから誰と話を?」

「ん、何でもねえさ。」

はいはい。
ロギアが背中に担いでいたのは幻影夢想刀【黒夢白現】。
近年シュレイド地方に現れた幻龍ノストレイジの素材を使った太刀である。
装備者の中には持った途端昏睡状態に陥り、その後二度と目を覚まさなかったと曰くつきの噂もあるが、
ロギアはそれを元気ドリンコで押し切り今も装備していると言う。
ちなみに武器の威力、龍属性値共に臨界近い性能を誇っており武器カテゴリは違うものの、
至高の封龍剣とされる、【真滅一門】をも超えると言われている。

ワーノルドは古龍笙【戦神埜宴】という狩猟笛を使っている。
これは多くの古龍種から取れる太古龍骨という骨をベースに重竜骨、メノウスロー鉱石
モノブロスハートで芯から強化された狩猟笛である。
旋律はそのときのお楽しみと行こう。

「それにしても、他のルートならまだしもこの道だとモンスターは出てこないんだよなー。」

ランス使いの男がぽつり。

「まあいいじゃないか。それこそ平和の象徴だし。」

ロギアが返す。

「ロギアさん、象徴の使い方が違います。」

ワーノルドがまとめる。

「…、ナレーターさん。しゃべってていいですよ。」

じゃあお言葉に甘えて。
二番ギルドロードは最近になって整備された道となっている。
なぜ整備されたかとしては二つ理由がある。
一つは要望である。
実はこの二番ギルドロードが出来る前はこの道は存在せず、一、三、四、五…
と二を飛ばして作られていた。それではおかしいという利用者の要望から整備されたのである。
ではなぜ最近になって整備されたか、その理由がモンスターの存在である。
小型モンスターならば工事用の道具でもその気になれば応戦は可能だ。
ではそれが大型モンスターならどうだろうか。これが二つ目、大型モンスターの存在である。
周辺に巣くっていたのは獣竜種である恐暴竜イビルジョー。
その底なしの食欲と力の強さ、どこにでもいる行動力と悪臭のすごさでは右に出るものはいないともっぱらの噂。
しかも、イビルジョーの唾液は強酸性でいくら頑丈に作っても唾液であっけなく溶かされてしまうのが現状。
そこでギルド本部交通課では街のハンターに協力を要請し、火山地帯で取れる鉱石を使おうということになった。
その火山地帯―――もといラティオ活火山で取れる鉱石は、マカライト鉱石、ドラグライト鉱石、
カブレライト鉱石、エルトライト鉱石、メランジェ鉱石など、凡用性の高い物から
メノウスロー鉱石、コアボルト鉱石、といった純度が高い鉱石、
レジスティ鉱石という耐酸性に優れた鉱石を使い、
ようやく整備された。
それでもイビルジョーはこの道の存在を不服に思うことだろう。
実はこの辺りは草食動物の住処がたくさんあり、イビルジョーにとってはかっこうの餌場だったわけである。
それが道を整備されたことによって交通量が増加。必然的に草食モンスターは移動することになる。
餌場を失ったイビルジョーにとって人間などもはや諸悪の根源に過ぎず、周辺の村々を荒らしまわっている。
さて、長々と喋りましたがまだ一分すら経ってないという有様。

「ありがとう、もうこれで十分だよ。」

とその時どこからともなく禍々しい咆哮が聞こえてきた。

「こ、この咆哮まさか…。」

「どうやらワーノルドの察しの通りのようだな。」

歩くたびに響く地鳴り。鼻を突く悪臭。その体表の色。
―――恐暴竜イビルジョー。人は彼を貪食の凶王と呼ぶ。

「どうします、逃げますか?」

ワーノルドがロギアに問う。

「いや、奴さんは俺達を見つけている。今の時期、奴さんは気が立っているから逃げるに逃げられんだろうな。」

「じゃ、じゃあ一体どうすれば…。」

「決まってんだろ、狩る!」

「言うと思いました…。仕方ない。」

ワーノルドは荷車を止め、降りながら古龍笙【戦神埜宴】を吹き始めた。
すると、どこか神々しく落ち着く音が周囲を満たした。

「ふうん、なかなかいい音出すなその狩猟笛。」

ロギアは幻影夢想刀【黒夢白現】を抜き、その勢いでイビルジョーの脚を斬りつけた。
イビルジョーの脚から飛び散る禍々しい色をした血を避け、再び斬りかかる。
その間、ワーノルドは古龍笙【戦神埜宴】を吹き続ける。
ちなみに、古龍笙【戦神埜宴】で織り成せる旋律は…

「だべってないで俺達の戦闘シーンを描写してくれよ!」

すいませんでした。
突如、イビルジョーは自身の左脚を上げ始めた。

「まずいっ!」

ロギアは避けようとしたが、回避するそのまさに直前、イビルジョーの左脚に踏まれてしまった。

「グハァッ!」

ロギアは腹部を押さえながらイビルジョーから離れた。
その時、変形したロギアの防具の形が元に戻りさらに質が変わった。

「防御力強化【大】か、ありがたい。」

そしてロギアの傷が、防具の変形の回復と同時に治癒していった。
体力回復【大】の効果で生気を取り戻りしたロギアは再びイビルジョーに向かって斬りつけ始める。
すると、ロギアの足元に生えていた草が枯れていくのが見えた。

「なっ、草が枯れた!?」

ロギアが視線をイビルジョーの口元へ戻した。
そこにはハンターの中でも特に危険視されている強酸性の唾液を垂らしながら
目をうつろにしているイビルジョーの頭部があった。

「もう疲れ状態か…、素直に喜びたいところだがそうも行かないんだよな。」

何故なら、イビルジョーは疲れ状態になるとその食欲のせいか唾液を垂れ流しながらハンターに立ち向かってくる。
ここまで聞けば分かると思うが、イビルジョーの強酸性の唾液は防具をも溶かしてしまうほど強烈なのである。
その効果は忍耐の種で打ち消せるが、その間イビルジョーの強力な攻撃の数々に耐え切らなければならない。
それでは通常時に頑張ればいいじゃないかと言うと、そうでもない。
イビルジョーもその他の飛竜種、獣竜種と同じく怒ることがある。
だが、イビルジョーの怒りは半端なものではない。
通常時は一見すると暗い緑色のような体表をしているが、怒ると隠れていた筋肉が大きく紅く隆起し、口元からは禍々しい気が溢れ
凶悪だった攻撃力が更にひどいことになる。
ただでさえ通常時にロギアの装備が変形してしまうほどの踏み付けが更に強力なものになると考えると、
その恐ろしさが分かっていただけるだろう。
ワーノルドもイビルジョーが疲れているのを察知したか、先ほどとは違う音色を吹き始めた。

「疲れ状態なら転倒させればいい。ならば今まで以上に脚を斬るのみ!」

ロギアは幻影夢想刀【黒夢白現】を握り締め、三度イビルジョーの左脚に斬りかかった。
するとイビルジョーは一瞬伸び上がりそのままロギアが居たほうとは反対側へ倒れこんだ。
ロギアの望みどおり転倒したイビルジョーだったがロギアには疑問が浮かんだ。

「おかしい…、こんなに早くこけるはずが無い。まさか、弱っているのか?」

今度は脚ではなく頭部へ斬りかかった。ロギアは驚くべきものを目にした。

「これは…なんなんだ?」

口内に生えている牙は先が欠け、抜け落ち、とても物が食べれる状態では無かった。
顎部のトゲも原形をとどめているものが少なく、なんとなくやせこけているようだった。
ロギアは相変わらず古龍笙【戦神埜宴】を吹いているワーノルドにあるものを要求した。

「おい、ワーノルド。生肉を十個ほどこっちへ投げてくれないか?」

「何に使うんですかー?」

「何でもいいから。」

ワーノルドは演奏をやめ、ポーチから生肉を十個取り出しロギアへ向かって投げた。
投げられた生肉を持ち、ロギアは剥ぎ取りに使うナイフで生肉を骨からそぎ落とした。
そして、

「そのまま口開けておいてくれよ。」

と、骨からそぎ落とした生肉をイビルジョーの口内へ投げた。

「なっ、何してるんですか!?」

「見ての通り餌付けさ。」

当然、イビルジョーはその生肉をすかさず丸呑みにした。
その後もロギアは生肉をそぎ落としては投げ続ける。
イビルジョーは投げられた生肉を丸呑みし続ける。

「一体全体何をしてるんだろうか…。」

ワーノルドは古龍笙【戦神埜宴】を背中に収めた。
ロギアが生肉を全て投げ終わったところでイビルジョーは今までにあった溢れんばかりの戦意を失ったかのように
きびすを返した。そして先ほどロギアに行った踏みつけを空振りさせ、どこかへと消え去った。

「…ん。」

ロギアは土の上に光る何かを見つけた。傍によって拾うとロギアは愕然とした。

「こいつは…、宝玉か?」

ロギアの手の中には禍々しい気を放っている結晶があった。
恐暴竜の宝玉―――加工屋連合協会の中ではお清めを施してから加工することが義務付けられているほど
畏ろしいものである。と、その時。

「―――ス…。」

どこからともなく声が聞こえた。その直後、宝玉が眩く光った。

「クッ…、なんだか…急に眠くなってきたな。」

ロギアは立ち上がろうとしたがその場に倒れこんでしまった。

「ロギアさん!?どうしたんですか、ロギアさ…」

ワーノルドの言葉も空しくロギアは意識を失った。






「…ここは?」

ロギアは目を覚まし、体を起こした。
見渡す限り何もない青と白の空間。だが、下には見慣れた光景が広がっていた。

「さっきの場所か…、ん?」

ロギアは自分が倒れこんでいた場所が暗くなっているのに気づき、上を見上げた。
すると先ほどまで戦っていたイビルジョーが立っていた。

「…まずい。」

ロギアは立ち上がろうとしたが、

「オチツケ。」

突然喋りだしたイビルジョーの声で腰が抜けてしまった。

「ナマニク カンシャ。」

「…、イビルジョーと話したのは初めてだ。」

「ホウギョクハレイ。ダガ オレノハナシ キイテホシイ。」

「なんだ?」

不思議な空間で不思議な気分のまま、不思議なイビルジョーと会話をするロギア。

「イマ、オレタチジュウリュウヤヒリュウ ゼツボウ スルカモ。」

「…、どういうことだ?」

ロギアには意味を理解しきれなかった。

「オレノハ ミタダロ?」

「ああ。ボロボロで形をとどめていなかった。」

「コリュウ アバレマワル オレタチ クイモノヘル、
 クウフク ハガトケタ。コノママ ヨクナイ
 サイゴ ゼツメツスルシカナイ。」

「なるほど…、古龍災害のせいで草食モンスターの数が減りそれを餌にしている飛竜種などの
 生態系が狂ってきているということか。歯が溶けたのはおそらく酸性値が強まったからだろう。

「ソウイウコト。オレ オマエニ タノム。」

「何かあるのか?」

「コリュウ タオシテホシイ。」

「…俺たちもそのために動いてるんだ。大丈夫さ、絶対に終結させて見せる。」

「タノム。オレタチ カルタチバデ、カラレルタチバ。
 ダガ コリュウニヤラレルコト オレタチノハジ。」

「任せとけ。」

ロギアは自信満々に答えた。

「アリガトウ、オマエノイシキ モドス。ホウギョク オマエノスキニシテイイ。
 タダシ、タニンニワタス スルナ
 ソノホウギョク オレトオマエ ヤクソクノアカシ。
 ナニニナッテモ。」

「ああ、約束だ。」

そしてロギアはまたつぶされた。






「んー…。」

「あっ、気づきましたかロギアさん。」

「ここは?」

「ドンドルマの街の総合病院です。急いで運んだんですよ?」

「そうか、すまない。…あの宝玉は?」

「自分が握り締めてるじゃないですか。」

「…、そうだった。」

右手には恐暴竜の宝玉がしっかりと握り締められていた。

「ワーノルド。」

「何です?」

「加工屋に行くぞ。」

「え?」

ロギアは突然はね起き、病室を後にした。 
 

 
後書き
(´・ω・`)やあ
どうだった?今回のカオス成分(殴
まさかジョーが喋るとは思わなかったでしょ?
これが二次創作の力…ッ!(ry

それじゃ次回2/2をお楽しみにね(ノシ・∀・)ノシ 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧