八条学園怪異譚
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第四十一話 百物語と茶室その八
「さもないと火傷じゃ済まないからね」
「刃傷沙汰とかですよね」
「本当にあるから」
異性間でも同性愛でもだというのだ。
「だからね」
「わかりました」
「茶道でもあるのよね」
「えっ、茶道でもですか」
「そう、安土桃山時はお茶の回し飲みをしたけれど」
それがだというのだ。
「男同士でね。これってね」
「あっ、確かに」
「そう、わかるわよね」
「はい、間接キスですね」
「そうよ、そうしたこともしていたし」
それに加えてだった。
「密室で会うから」
「怪しい響きがありますね」
「結構茶道もそうしたところがあるのよ」
同性愛的な趣きがだというのだ。
「多少強引な解釈だけれどね」
「あるんですね」
「そう、これって女の子同士でもあるから」
「今日はお茶だけですよね」
愛実は茉莉也の言葉に怪しいものを感じてそれで返した。
「あの、御願いしますよ」
「わかってるわよ、お酒は飲まないからね」
今日はだ、そうするというのだ。
「安心してね」
「そうさせてもらいます。ただ」
「ただ?」96
「大きな茶室ではですね」
愛実は今度は茶室の話をした、今から行く大学の茶室のことをだ。
「今日は幽霊さん達が集まって」
「そう、小さな茶室はね」
「あそこが泉だって言われてるんですね」
「そうなの、大きな茶室が会合場所でね」
妖怪や幽霊のだ。
「それでね」
「小さな茶室が泉ですか」
「あと、百物語の話は聞いたから」
このこともだ、二人は既に茉莉也に話していた。
「そっちも三人で読みましょう」
「あっ、そうしてくれるんですか」
「有り難うございます」
「困った時はね」
茉莉也は二人に笑顔で言う。
「お互い様でしょ」
「ううん、先輩っていい人なんですね」
「確かにセクハラ魔人ですけれど」
「魔人だけ余計よ」
茉莉也は二人に笑って返した。
「とにかくね、困った時はね」
「お互い様ですね」
「じゃあ私達も」
「胸とお尻と脚は何時でも触らせてね」
ここでもセクハラだった、茉莉也は二人ににこにことして言うのだった。
「あと首もお腹もね」
「あの、最初の三つもあれですけれど」
「首とお腹もって」
「通はそうしたところも触るのよ」
どういった通かは言うまでもない。
「飲んでる時は覚悟しておいてね」
「出来る限り逃げます」
「そうしますから」
二人も負けていない、茉莉也の言葉をまるで防御魔法で攻撃魔法を弾き返す様にしてあっさりと返してみせた。
「何か本当に先輩って」
「そうしたところが」
「いいでしょ、とにかくね」
ここで茉莉也は話題を変えた、その話題はというと。
目の前に茶室が出て来ていた、その茶室を指し示しての言葉だ。
「来たわよ」
「今回の泉の候補地ですね」
愛実がその茶室、高等部のそれよりも一回り大きな感じのその茶室を見て茉莉也に応えた。
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