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ヘタリア大帝国

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TURN89 エアザウナその八

「それなりにだろ」
「いいっていうのかしら」
「俺が見たところあんたはスタイルがいい」
 これは客観的に見てのことだ。
「いけると思うが」
「無理よ、だからね」
 クリオネはブラックホークにもむっとした顔で返す。
「三十になったらもうね」
「肌にスタイルがか」
「落ちるのよ、どんどん」
 これ以上はないまでに語られる現実だった。
「髪の毛だってそうでしょ」
「いや、俺はそれはわからない」
「俺もだ」
 ゴローンもブラックホークもだった。
「代々禿はいないからな」
「そうした体質ではない」
「そうなの、それはいいことね」
「ああ、それでだが」
「そこまでに気になるのか」
「何度も言うけれどあの格好は無理よ」
 カーニバルのそれはだというのだ。
「絶対にね」
「けれどあんた本当にスタイルがいい」
 ブラックホークは真面目に忌々しい顔のクリオネに述べた。
「いけると思うが」
「冗談抜きで肌もスタイルも崩れていないぞ」
 ゴローンもこう言う。
「全然な」
「そうだ、何処が悪い」
「これでも凄い神経使ってるの」
 そうだというのだ。
「エステなりスポーツなりでね」
「そういえばあんた毎日走ってるな」
「サーキットトレーニングもしているな」
「他には食事も制限している」
「そこまでしてか」
「そう、矯正下着も着けてね」
 この努力もあった。
「色々と努力してるのよ」
「それでそのスタイルか」
「顔もか」
「皺が出来ない様にしてるの」
 このことについても努力しているというのだ、それも必死に。
「エステだけじゃなくてお顔にパックもしてね」
「本当に大変だな」
「そうなの、あのカーニバルもね」
 まだ見ている、そのうえでの今の言葉だ。
「もう羨ましくて仕方ないわ」
「率直過ぎる言葉だな、おい」
「全く、歳は取りたくないわね」
「相手はいないのか?」
 ブラックホークが問う。
「そうした相手は」
「いないわよ。というかね」
 むしろだというのだ。
「祖国さんに紹介してもらうことになってるけれど」
「じゃあ紹介してもらえ」
「そして所帯を固めることだな」
 二人でクリオネに言う。
「インドさんがそう言ってくれてるんならな」
「悪い話ではない筈だ」
「ええ、本当に女も三十になると」
 どうなるかというその言葉は切実さを増している、クリオネにとってはどうしても言わずにはいられないことなのだ。
「大変だからね」
「そういえばあんたは元々はエイリス人だったな」
 ブラックホークはここで話題を変えた。
「それで植民地経営をしていたな」
「今じゃインドカレーの財務大臣よ」
「どうしてそうなった」
「そうなったって。親の会社を受け継いでなのよ」
 それで企業を経営する様になったというのだ。 
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