ドラゴンクエスト5~天空の花嫁……とか、
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第9話:後悔しても後の祭り
(アルカパ)
朝日が昇っても敵に襲われる事に変わりは無い。
まぁ行きと違って帰りにはスドー君という味方も出来たから、安心感は増大した。
しかし戦闘を行えば帰るのが遅れる。
即ちアルカパに辿り着いたのが完全に朝だと言う事。
早起き老人だけでなく、パンピーも目覚め活動しているという事ですよ。
そうなれば町の入り口で居眠りこいてた見張り兵士も、しっかり目覚めて仕事中なのです。
何が言いたいのかと言うと……バレた! そして怒られた!
更に言えばスドー君を見てビビられた!
純真無垢な美少年の涙ながらの訴えで、スドー君は俺のお友達と言う事に落ち着いたけど……
それでも子供だけで町を抜け出し、レヌール城攻略をしてきた事は怒られた。
小一時間も兵士に怒られた……そして解放されたら、町中が俺達の事を噂してましたよ。
誰だよ言いふらしたのは……折角一晩で解決し、父さんに気付かれない様にしようと思ってたのに!
まぁ……スドー君の説明に手間取るだろうけど。
ビアンカの家(宿屋)に戻れば、またお説教が待っているだろうと思い、先に悪ガキの下に行き、ベビパンを奪取しようと話しが纏まる。
説教時間を減らさせる為、幼気な子供と小動物の可愛さを武器に使用と思ってます。
そんな訳で、原作同様に池の中央の小島へ赴く俺達。
其処には悪ガキが驚いた様な顔して待っていた。
……あぁ、スドー君を見て本当に驚いてんだ。
「お、お前達スゲーな……」
「あぁ本当にレヌール城のオバケを退治してくるなんて……」
ご都合主義なのか噂の広がりが異常に早い。
「そんな事は良いから、約束通り猫さんを渡してよ!」
「あ゛ぁ!?」
俺の言い方が気に入らなかったのか、脅す様な口調で問い返す悪ガキ……コイツ等約束を守らないつもりか!?
「ふん……まぁいい。お前等も頑張ったみたいだし、この猫をやるよ!」
カチンとくる言い方をするガキだ。約束を守りベビパンを手放したが、言い方に腹が立つ。
どんな教育を受けてきたんだ!?
ここは一つ、このイケメン知将様がお得意の方法で懲らしめてやろう。つまり口先戦術ね!
「良かったね猫さん!」
「さぁこんな奴等から離れて、あっちに行きましょう猫ちゃん」
俺もビアンカもベビパンを撫でながら、この場を離れようと踵を返す。
だが俺は悪ガキ共から離れずに、ベビパンを抱き上げ宣います。
「でも変な猫だよね。僕本で読んだ事があるんだけど……この子は猫じゃないよ。地獄の殺し屋と呼ばれてる『キラーパンサー』の子供『ベビーパンサー』だよ!」
ベビパンを抱えながらチラリと後ろを振り返る。
悪ガキ共は目玉が飛びでそうな程驚いてる(笑)
よしよし……その調子でもっと驚け。
「きっとまだ子供だから、相手が子供とは言え人間2人を相手に勝てなかったんだね。まぁあと数ヶ月もすれば、この子も成長し人間の子供2人くらいはペロリと平らげちゃうだろうね。何せキラーパンサーってのは頭が良いから、何時までも苛められた事は憶えているらしいから……」
悪ガキ共は俺(ベビパン)と相方を交互に見て動揺している。
いい気味だ……報酬の前払いに応じていれば、俺もここまでしなかったのに。
だが、まだ終わらんよ!
「さぁ猫さん。これからは僕の家で一緒に暮らそうね! 僕の住んでる場所はね、このアルカパより東のサンタローズって村なんだ。子供の足じゃ時間かかる距離だけど、君の足だったら1時間で行ける距離なんだよ」
悪ガキ共はオシッコ漏らしそうな程怯えてる。
俺が抱いてたベビパンを降ろし手を放すと、ビクッとして身構える程だ。
勿論これは脅しだから、ベビパンには人間を襲わない様に教育していかねばならない。
だが、これに懲りて弱い者イジメはしないだろう。
それに俺は奴隷生活を回避するつもりだから、ちょくちょくアルパカには訪れるだろう。
勿論その時は成長した元ベビパンが一緒だから、連中も今日の教訓を忘れないと思う。
「そうだ……何時までも猫ちゃんて呼ぶのは可哀想よね。私達でこの子にも名前を付けてあげましょうよ!」
悪ガキから離れた所で、原作通りにビアンカが名付けイベントを発生させてきた。
あんまりビアンカの名付けセンスは当てにしたくないのだが、未来への予行練習だと思い付き合う事にする。
「じゃぁ私が幾つか名前を上げるから、アルスが良いと思ったのに決めてね……先ずは『ボロンゴ』ってのはどう?」
「ねぇビアンカ……申し訳ないけど、この子女の子だよ。せめてもっと可愛らしい名前を候補に上げてよ……」
さっき抱き上げた時にチェックした。
名付けイベントがある事は憶えてたし、万が一にも一方的な名付けにはしたくなかったから、チェックしておいた。
「あら……女の子なの。じゃぁ……『チロル』ってのはどう?」
まぁあまり文句ばかり言ってても仕方ないし、チロルってのは可愛い名前だから、もうそれで決定しちゃおう。
「うん。チロルっての良いね! この子可愛いからピッタリだと思う、流石ビアンカだね……凄くセンスが良い! だから僕ビアンカが好きなんだ」
残りの選択肢を聞くのが面倒になり、手近なチロルで妥協する。
ついでにビアンカへのゴマスリを行い、冒険中のヘタレな俺のイメージを払拭する。
「あ、ありがと……」
あれ……何か引いてない?
俺が歯の浮く様な台詞を吐いちゃダメなのかしら?
釈然としない気分のままチロルの肉球を堪能していると、視界の隅に父さんの姿を捉える。
勿論一緒にビアママも居る。
何時まで経っても帰ってこない俺達に痺れを切らし、あちらさんから探しに来てくれたみたいだ。
愛されてるって嬉しいけど……今回はお説教とセットだから、ちょっぴし逃げ出したいね。
「ビアンカ……危ないじゃない子供だけで町から出ちゃ!」
「そうだぞアルス! 怪我でもしたらどうするつもりなんだ!? お前はサンタローズの洞窟で大怪我をしたのだから、その怖さを知っているはずだろう!」
予想通りの説教導入部だ……でも大丈夫、きっと巧く切り抜けられるさ!
「ご、ごめんなさいお母さん……「お父さん、おばさん……ビアンカを叱らないで! 僕が悪いんです……この猫さんが苛められてて、どうしても助けたかったから我が儘を言っちゃたんです!」
チロルを見つけたのも、オバケ退治のムチャ振りを受けたのも、本当はビアンカなんだけど、ここは庇う事で好感度アップを目指します。
「この子(ベビパン)を助ける為には、レヌール城へ行ってオバケを退治しなきゃいけなかったんだ。でも僕ら子供だけじゃ町の外には出られないし、オバケも夜しか現れないし……いけない事だと解ってたけど、夜中にコッソリ出て行くしかなかったんだ! おばさん……ビアンカを巻き込んでごめんなさい。でも僕一人じゃ恐くて何も出来ないし……ビアンカが居てくれなかったら、この子(ベビパン)は助けられなかった。弱虫な僕はビアンカの優しいさに甘えちゃったんです……本当にごめんなさい」
チロルの可愛さと俺の健気さを合わせ、涙目で見詰め謝れば大抵の大人はイチコロだろう。
元に父さんもビアママも怯んでおり、説教を続ける事が出来ない。
このままひたすら『僕が悪いの、ごめんなさい!』を突き通せば、万事解決しそうな予感大!
「う、うむ……そう言う事なら仕方ないか……以後は無茶な事をするんじゃないぞ! ところで……そっちの石像は何なんだ?」
予定通り少しの説教で終了したが、これまた予定道理にスドー君の事を聞かれた。
まぁ嘘言っても意味は無いし、真実を語れば大丈夫だろう。
「うん。あのね、この子は“スドー君”って言って、僕達がレヌール城で困っていたら助けてくれたんだよ! でね……僕の大切な友達なんだけど……一緒にサンタローズへ帰っちゃダメかな?」
先ず嬉しそうに“友達”であることを強調し、恩人である事もアピールする。そして上目遣いで連れ帰りを嘆願し、俺の戦力へ組み込みます。
「ほう……お前の事を手助けしたのか……うむ、危険な様子は無さそうだし良かろう」
よし! これで戦えなくても冒険する事が出来る様になった!
戦闘はチロルとスドー君に任せ、俺は今後の事を考えるのに専念出来る。
俺が喜びの為チロルとスドー君に抱き付いてると、とても小さな声で父さんが呟いた。
「モンスターと仲良くなれるとは……まるでマーサの様だな」と……
きっと他の人には聞き取れてない。パパスが何かを言った事は気付いても、言ったない様までは聞き取れてない。
俺も原作知識で知ってなければ、何を言ったのかは解らなかっただろう。
この調子で仲間を増やし、俺自らが戦わなくても良い状況を作り上げよう!
俺は頭脳労働専門なのだ。
後書き
全然戦闘してないけど、アルス君て今レベルどのくらいなんだろう?
ゲームだったらパパスが敵を倒したときでも経験値が入り、多少のレベルアップはするのだろうけど……
コイツ、実質0匹だからなぁ……倒したモンスターの数。
ページ上へ戻る