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久遠の神話

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第五十二話 重力の剣その六

「ここはそうしろ、いいな」
「水ですか」
「水は集中的に使えば鉄も断ち切るな」
「はい」
 水を使うだけにのことはわかっていた、水のその強さも。
「だからですか」
「集中的に前に集めるんだ」
 その水をだというのだ。
「そうじゃjないとここはどうにもならないからな」
「わかりました、それじゃあ」
 上城も持っている剣を十字に振った。それによってだった。
 己の前にバリアー、水jのそれを張った、それによってだった。
 スペンサーの無数の重力の矢を防いだ、空中でそうして。
 矢が尽きた時にバリアーも消えた。そのうえで膝を折ってそれで衝撃を殺して着地したのだった。そのうえで周囲を見ると。
 広瀬もいた、彼も同じだった。
「木のですか」
「そうだ、木を極限まで硬くさせてだ」
 そのうえでだというjのだ、彼の前には一本の大木が生えそれで重力を防いでいたのだ。
 木には数えきれないだけの穴が開いている、しかし広瀬自身は無事で上城に対して悠然として答えたのである。
「そうすればだ」
「僕の水と同じくですか」
「バリアーにもなる」
「そういうことですか」
「危ういところだったがな、だが盾はそもそも木から作るものだ」
 それ故にだというのだ。
「攻撃を防げる」
「ですか。ですが」
 上城はスペンサーを見た、彼はまだその場にいる。
 その彼を見てこう言うのだった。
「大尉はまだおられますから」
「戦いはまだあるな」
「そうですね」
「いえ」
 二人は戦闘の継続を考えていた、だがだった。そのスペンサーの方からこう言ってきたのである。
「もうこれで終わりです」
「力が尽きたか」
「そうです。そしてそれはお二人もですね」
 それを見切っている言葉だった。
「そうですね」
「わかるんだな」
「はい」 
 スペンサーは広瀬にも答える。
「その通りです。ですから」
「ここはか」
「終わりということでどうでしょうか」
 こう二人に言うのだった。
「引き分けということで」
「力が尽きているからな」
 これが広瀬の返答だった。
「あれこれ行っても仕方がない」
「ではその様に」
「次に会った時か」
「また戦いましょう」
 スペンサーはこの言葉を最後にして二人に対して頭を下げた、広瀬はその彼を見て少し怪訝な感じで言った。
「敬礼はしないのか」
「私が軍j人だからですね」
「それはしないんだな」
「帽子を被っていないので」
 それ故にだというのだ。
「頭を下げました」
「軍人だから敬礼をするという訳じゃないか」
「ですから棒しかヘルメットを被っていれば敬礼をします」
 いかしだというのだ。
「ですが被っていない時はです」
「そうするか」
「はい、そうです」
 その時は頭を下げて挨拶とするというのだ。 
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