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万華鏡

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第四十話 二学期のはじまりその十四

「それまで待っていてね」
「わかったわ、じゃあね」
「まあ後は細かいお話をして」
 そしてだとだ、部長は次の話題に進めた。
 文化祭の話も多少した、それで今のミーティングは終わりだった。
 部活自体もそれで終わった、プラネッツの五人は帰り道にこんな話をした。
 琴乃は両手を自分の後ろにやっていた、鞄はその手の中だ。その姿勢で歩きながら他の四人にこう言った。
「ゆるキャラ仮装リレーね」
「何か凄いことになったわね」
「ちょっとないわよね」
 里香と彩夏がその琴乃の言葉に応える。
「八条グループのゆるキャラっていっても」
「多いわよね」
「ちょっと検索してみる?」
 景子はスマートフォンを取り出してそこから検索をはじめた。
「そうする?」
「ああ、ちょっと見てくれるか?」
「うん、少し待ってね」
 美優に応えながらだ、そうしてだった。
 景子はスマートフォンから繋いだネットで八条グループ全体のゆるキャラについて検索してみた。その結果わかったことは。
「かなり多いわよ、うちの学校でもあるし」
「うちの学校でもかよ」
「ええ、八条学園でもね」
 あるというのだ。
「高校にも大学にもね、それぞれあるわよ」
「そういえばうちの高校にもあったよな」
「あったでしょ、はっちゃんね」
 それが八条高校のゆるキャラでありマスコットキャラだ。
「蜂の女子高生キャラね」
「あれデザイン結構可愛いよな」
「愛嬌あってね」
 女の子という設定だ、蜂は蜂でも一番大人しく親しみのあるミツバチである。
「あれもあるし」
「大学とかでもあるんだな」
「中等部でも小学校でもね」
 無論幼稚園や保育園でもだ、八条学園は保育園から大学院まである総合学園なのである。
「あるから」
「それでか」
「そう、それでね」
 そうしたゆるキャラもそれぞれあるというのだ。
「他にも、各企業であるから」
「だから滅茶苦茶多いんだな」
「全部で三百あるわ」
 それだけ系列企業なり団体が多くゆるキャラをマスコットとして定めているというのだ。
「凄いわよ」
「みたいね、三百もあるの」
「けれど八条グループだからね」
 景子は今度は琴乃に話す。
「多分理事長さんにまでお話がいけばね」
「後は理事長さん次第なのね」
「それでオッケーよ」 
 許可が降りるというのだ。
「そうなるわ」
「そう、じゃあうちの部は仮装リレーで決まりね」
「着ぐるみって言うべきかしらね」
 景子はスマートフォンに出ているゆるキャラ達を見ながらこうも言った。
「完全に着るから」
「じゃあかなり走りにくそうね」
「けれど受けるわよ」
 主目的は果たせるというのだ。
「ちゃんとね」
「じゃあそれでいいのね」
「ええ、そうなるわね」
 こう琴乃に言ってからスマートフォンを収めた、そして次に言うことは。
「今日何処か寄る?」
「あたしの家来るかい?」 
 美優は自分の家を誘った。
「実は今日親も兄貴もいないんだよ」
「どうしてなの?」
「親は商店街の懸賞に当たってさ」 
 つまり福引きで見事金の玉を出したというのだ。
「それで今長崎まで旅行に行ってるんだよ」
「へえ、いいわね」
「長崎なの」
「どっちも有給取ってさ」
 それで幸せに、というのだ。
「いないんだよ」
「お兄さんは?」
 琴乃は美優の兄が今家にいない理由を尋ねた。
「どうしてなの?」
「友達と徹ゲーやってるんだよ」
 つまり徹夜でゲームをしているというのだ。
「新作のゲームをさ」
「それでなの」
「時分から酒とお菓子持って楽しそうに友達の家に行ったよ」
「成程ね」
「学校だけは行ってるみたいだけれどさ」
 だが基本泊まりがけで徹夜で楽しんでいるというのだ。
「それで兄貴もいないんだよ」
「そうなのね」
「ああ、だからな」
 それでだというのだ。
「今家にいるのはあたしだけなんだよ。だから今夜はさ」
「パジャマパーティーとか?」
 里香が言った。
「それをしようっていうのね」
「ああ、どうだよそれで」
「ええ、じゃあね」
「それじゃあ」
 こう話してその日は美優の家でパジャマパーティーをして過ごすことになった、二学期がはじまっても五人は仲良く遊んでいくのだった。


第四十話   完


                  2013・6・29 
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