万華鏡
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第四十話 二学期のはじまりその十三
「そっちの方がいいわね」
「でしょ?それじゃあね」
「それじゃあよね」
「うん、じゃあ」
ゆるキャラについてはとりあえずこれで決まった、そしてだった。
部長は宇野先輩との同級生同士の気兼ねしないやり取りの後で他の部員達に顔を向けてそのうえでこう尋ねた。
「じゃあそれでいい?」
「ゆるキャラですか」
「その着ぐるみで走るんですね」
「ええ、あれだと目立つし」
それにだった。
「しかもね」
「可愛いですしね」
「それじゃあ」
「多数決取るわよ」
部長は部員達に裁決の方法も言った。
「それでいいわね」
「わかりました」
「じゃあ今から」
「ええ、これでね」
こう言ってそしてであった、裁決に入った。他の提案を待ったが結局今はそれは出なかった。
それで多数決を取るとだ、殆ど全員が手を挙げた。挙げなかったのは書記役である副部長だけであった。
部長は彼女に一応訳を問うた。
「裁決で決まったけれど」
「私が手を挙げなかった理由ね」
「ええ、どうしてなの?」
「だって書いてるから」
その裁決をだというのだ、挙げられた手の数を数えて。
「だからね」
「それでなの」
「そう、私も賛成よ」
手を挙げていないがそうだというのだ。
「だからそういうことでね」
「じゃあ全員賛成ね」
部長は副部長のやり取りから述べた。
「そうなるわね」
「そういうことでね」
「ゆるキャラ強しかしら」
部長は自分の席で腕を組んでこうも言った。
「インパクトもあるしね」
「うん、まあどのゆるキャラにしていくかも決めていってね」
宇野先輩はこのことも話した。
「それは今する?」
「待って、許可を貰ってからよ」
正確なそれをだというのだ。
「同じ八条グループでもそれをしていかないとね」
「それからなのね」
「そう、それからよ」
ものには順序がある、まずはそれからだというのだ。
「希望は出せてもね」
「許可はこれからなのね」
「そう、まずは顧問の先生にお話をして」
「校長先生から理事長先生にいって」
「多分理事長先生ならね」
彼なら、というのだ。
「八条家の方だからあの人の権限でね」
「ゆるキャラの使用が許可されるわね」
「そう、どのキャラがいいとかね」
やはり経営者一族は強い、それだけの権限があるのだ。
「そういうのを正確に貰ってから」
「じゃあ」
「それから」
「そう、私から顧問の先生にお話しておくから」
先輩は宇野先輩と他の二年の先輩達に応えた。
「待っていてね」
「ええ、それじゃあね」
「多分すぐに済むから」
この辺りもグループ内だからこそだった。
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