万華鏡
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第四十話 二学期のはじまりその十二
「お笑いなのよ、大事なのは」
「じゃあ犬じゃなくて」
「着ぐるみよりもね」
可愛い系列のそちらよりもだというのだ。
「どうせなら肉襦袢とかね」
「そっちなんですね」
「去年うちはそれやったから」
その肉襦袢をだというのだ。
「ムキムキのボディービルダーのね」
「そっちですか」
「そう、ついでに言うと去年肉襦袢はやったから」
同じネタは続けてはしないというのだ、お笑いの基本ではある。
「今年は別よ」
「ううん、じゃあどれにするか」
「それが問題ですね」
「それじゃあだけれど」
二年生の中から声がした、言ったのは高見先輩である。
「タケちゃんマンとか電線マンとかね」
「随分古いわね」
「けれど女の子がやったら笑えるから」
それでだというのだ。
「いいんじゃないかしら」
「それもあるわね」
「それかゆるキャラ?」
今度は宇野先輩が言って来た。
「それになるとか」
「ああ、それもいいわね」
「例えばね」
ここで出すのはというと。
「奈良県のあの」
「あっ、あれですか」
「頭に鹿の角がある」
「あれですか」
「そう、あれとかね」
あのマスコットがまず挙げられた。
「他にも色々とね」
「船橋のとかですか」
「あと彦根のとか」
「和歌山もありますね」
「それと熊本の」
ゆるキャラも定着した、実に多くある。
「そういうのになってですか」
「それで走るんですね」
「これは受けるでしょ」
宇野先輩はにこにことして話す。
「注目されるわよ」
「問題は使用許可だけね」
部長は宇野先輩の提案にこう返した。
「後はね」
「ええ、それはどうしようかしら」
「校長にお話したらね」
そうすればというのだ。
「理事長さんにまでお話がいくから」
「それで理事長さんの力で許可貰えるかしら」
世界的なグループ八条グループのオーナー一家だ、その力ならというのだ。
「そうなるかしら」
「そうね、けれど」
「けれど?」
「それだったら手間がかかるから」
だからだとだ、ここで部長はこう言ったのだった。
「じゃあね」
「それじゃあっていうと?」
「八条グループのゆるキャラならね」
「あっ、私達ならね」
「そうでしょ、八条学園も八条グループの中にあるから」
「八条グループの中にあったらね」
「使えるわよ」
簡単な手続きでだ、それが可能だというのだ。
「そうでしょ、こっちだとどうかしら」
「そうね、外のゆるキャラを使うよりもね」
宇野先輩も部長の逆提案に納得した顔で返した。
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