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万華鏡

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第四十話 二学期のはじまりその十一

「それでもね」
「全力を尽くす」
「そういうことだよな」
 二人も笑顔で納得した、そしてだった。
 そうした話をしながらだ、二人は選ばれた時のことも考えていた、だが。
 ミーティングの場でだ、部長はこう言ったのだった。
「優勝は狙わないわよ」
「えっ、そうなんですか!?」
「狙わないんですか?」
「ええ、部の対抗リレーはね」
 まさにそれはというのだ。
「狙わないでいくわよ」
「じゃあ何を狙うんですか?」
 選ばれれば出る気になっている美優がそのことを問うた。
「優勝を狙わないとなると」
「受けよ」
 それだというのだ、狙うのは。
「受けを習っていくわよ」
「受け、ですか」
「そう、受けよ」
 部長はまたこう言った。
「二年の人は知ってるけれどこの対抗リレー仮装だから」
「仮装リレーだったんですか」
「そう、それぞれの衣装を着てね」
 それで走る競技だというのだ。
「それも凄い服を着てね」
「凄い服ってどんなのですか?」
「仮装っていいますけれど」
「コスプレよ」
 部長は一年生達の問いにこう答えた。
「それで走るから」
「だから受けですか」
「それ狙いなんですか」
「そう、歌劇部とかアニメ研究会から借りてね」
 そうした服をだというのだ。
「それぞれの服を着て走るから、それで我が軽音楽部はね」
「どんな衣装にされるんですか?」
「特撮でいこうと思ってるのよ」
 部長は琴乃の問いにこう答えた。
「ヒーローでね、仮面の戦士でいくわよ」
「あっ、マシンに乗るですか」
「あっちですか」
「そう、それしようって思ってるのよ」
 これが部長の考えだった。
「私はね、それかもっと受けのある格好ね」
「仮面の戦士以上のですか」
「受けるのですか」
「要は馬鹿になれよ」
 このリレーではそれに徹しろというのだ。
「とりあえず裸じゃないといいから」
「許容範囲広くないですか?」
 里香は部長の今の言葉にこう返した。
「それって」
「そうよ、だからどう受けを取るかが問題なのよ」
「ううん、裸以外となりますと」
 どうなるかとだ、里香はそのことから考えてだ、これを出したのだった。
「受けると言えばもう目立って」
「そう、それも必須よ」
「笑われてこそですよね」
「それを競う競技だからね
「じゃあここは思い切って」
 それで出すものはというと。
「犬とかですか」
「犬の着ぐるみね」
「こういうのはどうですか?」
「あっ、それは駄目よ」 
 部長は里香の今の提案にはすぐに駄目出しで返した。
「それは可愛いから」
「だからですか」
「そう、だからね」
 可愛いは却下だというのだ。 
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