万華鏡
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第四十話 二学期のはじまりその七
そしてその顔でだ、餃子を食べながら言った。
「食べ物も色々なのね」
「場所によってね」
「そうなのね」
「そうよ、国ごとにも違うし」
その広い範疇だけでなくというのだ。
「日本でも地域によって違うから」
「また、なのね」
「違うのよ。それは琴乃ちゃんでもわかったでしょ」
「確かにね」
言われてみればその通りだった、琴乃もその目で見ていた。
「お好み焼きにしても」
「そうでしょ、関西と広島で違うでしょ」
「同じお好み焼きとは思えない位にね」
本当にそこまで違っていた。
「けれど食べ方はね」
「そんなに変わってないでしょ」
「ええ、それ自体は。けれど」
それでもだった。
「他の食べ物とか食べ方を見ていたら」
「関西と広島でまた違うわよね」
「結構ね」
「そういうものよ、やっぱり違うのよ」
「成程ね」
「特に関東と比べたらね」
とりわけ違うというのだ、関西と関東とではだ。
「全く違うからね」
「ううん、おうどんで御飯を食べないのは」
「勿論ラーメンともね」
それもなかった。
「インスタントラーメンで御飯を食べることもね」
「あまりないのね」
「関西よりもね」
やはりないというのだ。
「関西じゃインスタントラーメンもおかずになるでしょ」
「主食ってよりはそっちよね」
「そこも違うから」
だからだというのだ。
「関東に行く時は注意してね」
「わかったわ、じゃあね」
「じゃあ晩御飯を食べて」
話はそちらに戻った、今食べているそれにだ。
「後はね」
「お風呂よね」
「部活の後シャワー浴びたみたいだけれど」
「まあ一応はね」
「まだ暑いから汗もかいてるから」
部活でシャワーを浴びた後でもだというのだ。
「もう一回入るといいわ」
「ええ、じゃあね」
「シャワーにするわよね」
母は琴乃に対して言った。
「そうよね」
「ええ、暑いから」
湯舟の中に入れば余計に暑くなる、だからだ。
「そうしていいわよね」
「ええ、そう思ってお湯は入れてないから」
「それじゃあね」
こう話してだった、二人は笑顔で話した。そうした話を晩御飯を食べてシャワーを浴びて。琴乃はベッドに入ってその日を終えた。
二学期のはじまりは順調だった、暫くは特に忙しくもなかった。
だが琴乃は不意にだ、クラスでクラスメイト達にこの話をされた。
「琴乃ちゃんは関係ないと思うけれど」
「軽音楽部だからね」
「文化系だからね」
「身体動かしてもね」
「あっ、運動会ね」
琴乃は彼女達の言葉からこのことを察して返した。
「それのことよね」
「そう、そろそろ実行委員会が動くから」
「うちのクラスでも委員の人出さないといけないから」
「今度のホームルームでその話が出るわよ」
「そろそろね」
「そうね、私中学の頃はバスケ部だったけれど」
今は軽音楽部だ、それで言うのだった。
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