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俺がDIO?

作者:DIE
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喪失編
  二話

 
前書き
暴風警報発令!学校休みだ~\^-^/ 

 
降りてきたのは、数十人のターバンを巻いた男達と三角形の帽子を被った髭を生やした男だ。

「この島に何の用だ?」

俺は船から降りてきた人間にいつものように無表情なまま問う。
聞いたのは、友好的に話し合える相手かの確認。
海賊全てが無法者の悪党、という訳では無いにしろ、大抵は力を行使し、理不尽を強いる悪党に過ぎない。

答えによっては対処が変わってくる。

「誰だ、テメェ?」

「この島に住んでいる者だ」

「......住んでいるぅ?嘘つくんじゃねぇ!この島には肉食の獣共がわんさかいるんだぞ?こんな場所に人が住める訳ねぇだろ!」

そう答えるとそれが合図と言わんばかりに船長が剣を抜いた。
剣はレイピアを太くしたようなデザインだ。
他の海賊達も続くように剣を抜く。
.....なるほど。

「それが答えか?」
「ああ、そうだなぁ。だが、ここで金目の物を出せば、命だけは許してやるぜ」

周りの海賊達を一瞥し、再び船長らしき男を見る。
どれも脅威になり得ない人間ばかり。
大した連中ではないと俺は判断し、返事を返した。

「出す必要性を感じない」

「......一々キザたらしく言いやがってっ、ならお望み通りここをテメェの死に場所にしてやるぜ!殺れ、野郎共ぉ!!!」

「「「オオーー!!」」」

海賊達の怒号が響く殺気に対し、俺の心を静かだった。
特に何をするでもなく、ただ立つ。
世界を使う必要はない、吸血鬼としての能力だけで充分、それでも有り余るくらいだ。

「気化冷凍法」

振り下ろされた剣を片手で受け止める。
すぐに冷気が俺の周りに漂う。

「ちっ、離せ......な、何だ!?体が、俺の体がぁぁあああ!!?」

シュゥゥゥゥゥパキィン!!

海賊の体は剣を伝い、凍りつき、数秒と待たずに氷の彫刻へと姿を変えた。
片手で掴んでいた剣を放すと重力に従い、落ちていく。

ガシャン!

氷と化した男は落ちた衝撃でバラバラに砕け散った。
だが、それでも俺の心は静かなままだ。
優越感も、罪悪感すらない。

寧ろその光景に唖然としたのは、海賊側だった。

「あ、悪魔の実の、能力者か!?」

「ま、マジかよ。あれは噂だろ?」

「か、勝てる訳ねぇ。こんな化け物!!」

一人一人が恐慌し、体が震えていた。
だが、今さら遅い。

己の愚かさを呪いながら、消えて行け。

「ぐぅっ!?」

俺は手近な海賊の首を持ち上げ、手で吸血する。
体が満たされるのを感じる。
やはり、動物よりも人間の方が良いようだ。

「ば、化け物.....に、逃げろ、逃げろォー!」

1人の叫びに周りの仲間の海賊達は打ち合わせたようかのように船に走った。

男を持ち上げたまま船に逃げる連中を見る。
逃げられると思っているのか。
無知とは時に残酷だ。

俺は吸血し終えた海賊を手から放し、腰にある無限ナイフを数本取り出す。
練習成果を試すのに、丁度良い。
ふとDIOの決め台詞が蘇る。

「チェックメイトだ」

ヒュンヒュン......!

グサッと音を立てて、全員が倒れた。
背後からの奇襲、それに加え、獣で慣らしたナイフは獣に比べ、遅い人間を正確に克つ簡単に絶命へと至らしめた。
だが、やはり何も心には浮かばない。
俺は感情が人より薄く出来てるのもかもしれない。

海賊船の甲板に上がり、船長を探す。
無論生かして置くつもりはない。
だが、何人かはゾンビ化させ、眷属としこの船を動かす人員として、残しておく必要がある。
この島を出るためにも。

「出てこい。居るのは分かっている」

その為にも順番に物事を進めていく。

海賊達はこの船に逃げ込んだ時点で死を受け入れたに等しい。
例え、島に逃げても少し死の時間が伸びるだけだが。

「わ、分かった。今出る.....」

少しして船長室から顔を青ざめさせた船長と海賊2人が出てきた。
既に手には剣は無く、ただ両手を上に上げている。
抵抗する気は無さそうだ。

「生きているのはお前達だけか?」

「そうです.....」

答えたのは、強気そうな少女だ。
だが、今はそのなりも潜め、ブルブルと震える様は小動物を連想させる。
必死に涙を堪えたような瞳でこっちをじっと見ていた。

「では、覚悟は決めて」

「ま、待ってくれ!あ、謝る、船にある宝も全部やる!だから命だけは」

無様に這いつくばった船長に少女以外の海賊の男が這いつくばる。
生への執着心がそうさせているのだろう。
普通の人間は死に直面すれば、何とか逃れようとする。
そして。

「お前の言っている宝はお前が死ねば、必然的に俺の物だ。謝罪に至っては非生産的な行為なだけで意味はない。よってどれも交渉素材にはなり得ない」

逃れられない事を知り、絶望する。

「お前らの死は変わらない」

パァン!

そう言い終えた途端、俺の頭を銃弾が貫いた。
俺はバタッと船の甲板へ俯せに倒れる。
額の血が頬を伝い、甲板を汚す。

「へっ、馬鹿が!調子に乗りやがって」

船長の声と共に俺の体へ足が乗せられる。

撃ったのは、船長だ。
迂闊にも懐に隠していた銃で頭を撃ち抜かれたようだ。
油断していた。
だが、やはり......

「何が交渉素材になり得ない、だ!」

やはり無知とは残酷だ。

ガシッ!

「何だ?......あ、あああぁああああ」

足の違和感に下を向いた船長は恐怖のあまり顔から汗を多量の汗を流し、先程よりも顔を青くしながら足の違和感の正体を食い入るように見た。

「幽霊でも見たような顔だな。船長?」

そこには船長の足を掴んだDIOがいた。

吸血鬼に一般的な常識はないと同義だ。
胸を刺せば、死ぬ、頭を撃ち抜けば、死ぬなどの常識は通用しない。
元々存在自体が常識から外れている、非常識な存在なのだから。

船長が叫ぶ前に掴んだ足へ指を食い込ませ、吸血と同時に吸血鬼エキスを流し込む。
じたばたと暴れ、慈悲を乞う行為に最早意味など皆無だった。

やがて、体から熱が消え、俺は日が当たらない屋内へと船長を放った。
まだ朝方、ゾンビ化させても日に当たっては意味がない。
額の傷は既に船長の血により、跡形もなく治癒していた。

それでふと思い出す。
全員をゾンビ化させると航海は大抵は夜になる事は避けられない。
それだと効率が悪く、日中に何か非常事態が起きても、対処すらできなくなる。

俺はしばらく思案した後、振り返り硬直している海賊2人を見た。

「では.....お前達には選択させよう。抵抗せずに俺に殺されるか、俺の配下となり、服従を誓うか、選べ」
「......」

少女と海賊の男はひきつった笑みを浮かべ、頭を縦に振る。

この選択肢の中で選べるものなど1つしかなかった。
それは元より俺も承知していた。
そう、これはただの建前だ。

絶対の服従を誓わせさせる為の鎖。

「明日の早朝、出港する。船出の準備は任せた。それと船長の死体は外に出すな」

「は、はい!」

「了解です!」

返事を聞くと、すぐに俺は船を降りた。





 
 

 
後書き
おかしな所があるかも知れませんが、後で直します。
間違った言い回しなどの指摘と正しい言い回しも教えてくれると嬉しいです。 
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