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八条学園怪異譚

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第四十一話 百物語と茶室その五

「調べてもわからぬだろうな」
「博士でもですか」
「その犯人のことは」
「わからぬししかも触らぬ神にじゃな」
 祟りなし、そういうことだというのだ
「少なくとも悪人以外は殺めておらぬしそれがせめてものか」
「けれど怖いですね」
 愛実は顔を顰めさせて行った。
「ああしたことをする人がいるっていうのは」
「そう思うがのう。しかしそれも世の中じゃ」
「怖いものや人がもあったりいるのもですか」
「人間も色々で妖怪も色々じゃ」
 博士は怪談の話に戻してきた、この話をしているとどうも気分がよくないからだ。
「それで怪談もな」
「はい、じゃあ茶室に行きます」
「今度はそうします」
 二人で博士に答える、そうしてだった。
 その日の夜に大学の茶室に行き確かめることにした、その茶室の夜はどういったものかは博士が話した。
「あそこも宴会の場所じゃが」
「それでもですか?」
「何かあるんですか?」
「今日は妖怪君達ではなくじゃ」
「あっ、幽霊の人達がですね」
「集まるんですね」
「うむ、そうなっておる」
 今夜はそうだというのだ。
「あそこは日によって妖怪さんと幽霊さんが集まるのじゃよ」
「何で別れてるんですか?」
 聖花は博士にその理由を尋ねた。
「そこがよくわからないですけれど」
「たまたまじゃ、あそこは集会場所に向いておるからな」
「茶室だからですね」
「茶室は茶道と共に話をする所でもある」
 これは戦国時代、織田信長の頃からだ。信長や秀吉も茶の席でよく政治のことを話していたという。閉じられた部屋で顔を見合わせる為そうしたことをするのに向いているのだ。
「だから妖怪さん達も利用することがあってな」
「幽霊さん達もですか」
「そうなっておる、あそこはな」
 こう二人に話す。
「どっちも使っているうちに自然と使用日の割り当てが決まったのじゃよ」
「それで今日は幽霊さん達ですね」
「そうじゃ、ただ妖怪さん達は飲み食いをするが」
「幽霊さん達は違いますね」
「身体がないからそれはない」
 茶室にいてもだというのだ。
「そのまま話す」
「そうなんですね、じゃあ」
「今回は」
「君達だけで楽しむことになる」 
 その飲み食いをだというのだ。
「それで君達茶を淹れることは」
「麦茶とか玄米茶なら」
「紅茶なら」
 二人が話に出したのはこういった茶であった。
「淹れられますけれど」
「お抹茶は」
「そうじゃろうな、茶道は普通のお茶とは違う」
 日本のものともイギリスのものともだ、全く違うというのだ。
「あれは独特じゃ、茶器も使うからのう」
「お抹茶はお姉ちゃんがよく淹れてるけれどね」
「愛子さんそういうことも得意だからね」
 二人は抹茶から愛実の姉である彼女のことも話した。
「お姉ちゃん茶道もしてるから」
「とても美味しいお抹茶淹れてるわよね、いつも」
「けれど私達はね」
「そっちのお茶はね」
 出来ないというのだ、それでだった。
 博士は二人にだ、彼女と一緒に行けばいいと言った。その彼女はもう一人しかいなかった。 
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