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少年は魔人になるようです

作者:Hate・R
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第72話 少年達と少女は新たな局面に落ちるようです


―――――――――――――――――――――――――――――

Side アスナ

『よぉ、姫子ちゃん!まぁたアリアと一緒か!』

『『ナギ、うるさい・・・。』』

「ウッハハハハハハ!いつもながら完璧にハモるな!」


私がアリアと"咸卦法"の練習してると、いつものようにナギがじゃましてくる。

・・・この人はにがて。うるさいし、うるさいのがついてくるし、何より―――

ポンポン
『またアリアと一緒に遊んでくれていたのか。ありがとうな。』
ペシッ
『・・・あなたのためじゃ、ない。アリアがすきなだけ。』

『うむうむ、それこそ何よりだ。』


この人もまた、いつものように私の頭をポンポンと撫でて来る。ふりはらってもまた撫でて来る。

そして、私に嫉妬してアリアがしゅーまに飛びつくと、アリアをぐりぐり撫で始める。

・・・『しりがる』め。だから、この人はきらいなの。私から、簡単にアリアをとっていくから。


『そんなこんなで悪いんだけど姫ちゃん。"咸卦法"のコツ、教えてくれないかな?』

『・・・コツ?まず、自分を無にするの。それで、こうやって、こうやって・・・。』


"咸卦法"っていうのは、ガトウから教えてもらった強化・・・魔法?技術、っていった方があってるかも。

左手に魔力、右手に気を集めて、それを合体させると―――


『こう。』
ボッ!
『え、えぇっと……?こうして、こうして……こう!(ボゥン!)うわっ!?』

『アッハハハハ!タカミチ、まぁた失敗か!』

『うぅん、そんなに難しいかねぇ?こうしてこうして、こうだろ?』
ゴゥッ!!
『あ、相変わらず器用ですね……。』


いつもみたいにタカミチが失敗して、集めた魔力と気が暴走する。

その横でしゅーまが右手の人差し指と中指だけで"咸卦法"を使って、右手だけを強化する。

・・・すごく気にいらないんだけど、私よりじょうず。


『タカミチ、お前は難しく考えすぎだといつも言ってるだろう。』

『そーだぜ!だって、こうしてこうs(ドゴンッ!)はぶぅっ!?』

『………愚か者めが。お前は考え無すぎなんだ。』


タカミチがガトウに注意されて、なにをかんちがいしたんだろう?ナギも"咸卦法"を試して大爆発した。

あぁ、やっぱりこの人たちは―――


「・・・うるさい。」

Side out

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


Side 明日菜

「・・・うるさい。」

「えぇっ!?あ、明日菜さん!自分で起こせって言っておいてうるさいは酷くないですか!?」

「せやで、明日菜~。はよ起きんと遅れてしまうえ?」

「………えっ!?」


ネギと木乃香の声に驚いて飛び起きちゃう。

いや、そっちまでそんなに驚かれると、ちょっとだけ申し訳なくなるんだけど。

・・・って、なんだろう今の夢。ネギのお父さん達と愁磨先生達・・・と、私?

いやいや、何かの間違いだって。夢って自分の望む事見るらしいし。ネギといるうちに感化されたのよ。


「(感化・・・"咸卦法"?アリカ先生に教えて貰った技?ガトウ、って、誰――――――――!?)

うぅぅ……っ!?」

「あ、明日菜さん、大丈夫ですか!?」

「明日菜!?しっかりしぃ!!」


"ガトウ"――――その名前を思い出した瞬間、頭が割れそうになって倒れこんじゃう。

断続的に頭に浮かんで来る―――タバコの臭い、私を守る背中―――悪魔――――切り裂かれる―――


「カッ!ハ、ハ……はぁ、はぁ………。」

「どうしました、明日菜さん!大丈夫ですか!?」

「あ、だ、大丈夫よ……。うん、平気………。」

「ほ、ホンマに?何なら保健室とか……って、ノワールはんおらんか。」


頭痛が治まって少しすると普段通りに動けるようになって、さっきの事はよく・・・いや、全然思い出せない。

なんだか、大切な事を思い出しかけた様な気がするんだけれど・・・。


「って、あぁーーー!!バイトに遅刻しちゃうじゃない!?」

「え、ええ。だからそう言ってるじゃないです、か?」

「パン一枚焼いといて!」

「はいはい、了解~。」


木乃香がパタパタとキッチンに走って行くと同時に、私はいつも通り着替え始める。

それと同時に、ネギも窓から飛び降りて走り込みに向かう。と言うか向かわざるを得ないんだけど。

約二分後、いつものジャージにツインテールでパンを咥えて、私はバイト先へ走った。

・・・さっきの事なんて、微塵も思い出せないまま(・・・・・・・・)

………
……


「ちょぉっとお!華の夏休みだってのに拉致る気!?」

「何を言うておるか。休みだからこそいつもより長く修業するのじゃ。

只でさえお主はアレなのに、そんな事ではネギ如きにさえついて行けんぞ。」


夏休み初日、朝。バイトが終わったところでアリカさんに捕まり、家までズルズル引っ張って来られた。

確かに私も修業には賛成だけどさ。学祭時のあのザマじゃこの先やっていけないだろうしさ?


「だがな、アリカ。今は朝飯食ってるんだ。お行儀良く食べなさい。」

「えぇえ~そう言うでない愁磨。ダイオラマの中なら一分でも………。」

「ア・リ・カ?アリアを見てもそれが言えるか?」

「ふぐっ!ぐぅぅぅ、仕方ないのう。そら、お前も食うが良い明日菜。」

「えぇぇえ!?私はいいわよ!そんなにお腹減って(グゥゥゥゥ~)…………いただきます………。」

「うむ。今日はアリアが作ったんだ、心して食えよ?」


愁磨さんに叱られたアリカさんにご飯を勧められて、断ろうとした時私の忌々しい腹の虫が正直に白状した。

何故かスススッと愁磨さんとアリアちゃんの間を空けられて、仕方なくそこに座る。

キッチンから私とアリカさんの分のご飯がフワ~っと魔法的な感じに運ばれて来る。

手を合わせて食べてみると・・・。


「美味しい………。」

「・・・・・・そ。」

「(ズゾゾゾゾ~)………美味しい。」

「・・・そ。」


「(ちょっとシュウ。なぁにこの子達すっごく可愛いんだけれど。)」

「(いや、元々仲は良かったんだし当たり前と言うか当然と言うか?アリアの反応見れば分かるだろ。)」


アリアちゃんの薄い反応をナチュラルに受けて、黙々とご飯を食べる。

愁磨さん達のヒソヒソ話は隣に座っているせいか聞こえる様に喋っているのか。

・・・・この反応で機嫌が良いの?わ、私には分からない・・・・・。


「………お、おかわり。」

「ん・・・。」


でも、無口な妹がいたらこんな感じなのかな?と思ってしまう。いやいや、有り得ない有り得ない。


「・・・ん。」

「ありがと。(モグモグ)…………………な、なに?」

「(じーっ)・・・・・・・・・・・。」


味噌汁のおかわりを受け取って食べてたら、アリアちゃんがじっと私を見つめてた。

・・・これ、ひょっとしてひょっとするのかな?や、だとしたら何か目覚めそうなんだけど。


「……ふふっ。美味しいわよ。アリアちゃんって料理上手いのね。」

「・・・別に。」


自然に笑いが込み上げて来て、褒めたらフイッと向こうを向かれた。

・・・・・・・・・・ま、ま、まさか・・・これは!?照れてる!?照れてるの!?

お、落ち着きなさい私。そうじゃなかったら不機嫌にさせるだけよ!


「もぉぉぉ、可愛いわねアリアぁぁ~~~!!でもちょぉっと嫉妬しちゃうわねぇ?」

「そうだよなぁ!俺らが言っても最近は反応薄いのにさぁ!!」

「・・・・べ、別に。な、なんでもない、もん・・・・。」

「二回もどもったじゃと!?おのれ明日菜ぁぁぁぁーー!今から修業じゃ!今すぐ食え!!」

「・・・よく、噛んで?」

「あ、うん。しっかり味わうわ。」


狂ったアリカさんを愁磨さん達に任せて、私はまた黙々とご飯を食べる。

ああ、やっぱり照れてたのね・・・。まぁ、分かった所で何か出来る訳じゃないんだけれど。

・・・しかし騒がしい事この上ないわね。まさかとは思うけれど、いつもこうじゃないわよね?


「あ、おかわり。」

「・・・ん。」


でも、嫌じゃない。

私に家族が居なかったと言うのもあるかも知れないけれど、何と言うか・・・。

父さんと母さんと、姉と妹と・・・ここは、他人の私でも自然と家族になれそうって言うか、なんていうか。


「ん。」

「ありがと。」

「は・な・せぇぇぇええーーーーーー!!」


うん。嫌いじゃない。

Side out


Side 愁磨

「やっぱり嫌ぁぁぁあああああああああああああーーーーーー!!」
チュドーン! チュドーン! ドッカーーーン!!
「何を言っておるか!さっさと私に一撃入れんか!!」


朝飯を食ってから10分、いつもよりキツめの攻撃が明日菜を襲い続けている。

目標はいつも通り『アリカに一撃当てる事』。戦場で一番に潰すべき固定砲台への攻撃練習だ。

成果は・・・まぁ、持久・耐久力の多大な増強には繋がっている。


「ハァッ!やぁあああああ!!」

「ほう、"咸卦法"を一瞬で使えるようになったか。その程度の上達が無いと苛め甲斐が無いと言うものじゃ!」
ドゴォァァァァアアアーー!
「ちょっと、本音漏れてるんですけどぉ!?」


アリカがいつも通り作っている隙をついて、明日菜が一瞬で"咸卦法"を使用、僅かながら距離を詰める。

昨日は出来ていなかったんだが・・・毎日練習でもしてたのか?だとしたら目覚しい進歩だ。


「シュウ~、お客様よ~。」

「えぇぇえー、誰だよ?俺は明日菜が慌てふためきつつ哀れに踠く様を見ていたいんだが?」

「それがねぇ?坊や達と近右衛門がセットで来てるのよ。『どうじゃ、弟子同士また戦わせてみんかのう?』

とか言って。あっちではつい昨日戦ったばっかりなのによ?」

「ほぉぉぉう?俺らの鼻を一回明かしただけじゃ飽きたらんとでも言いたいのかねぇ。

面白い、小太郎を全快させておけ。」

「ふふふ、了解~。」


ノワールが小太郎を折檻とオシオキついでの特訓場兼牢獄であるこのダイオラマ球の世界の果てへ飛んで行く。

その間に俺はログハウスへ上がり、玄関を開けるやいなや腹いせにネギへデコピンをかます。


「い、痛いじゃないですか!僕が何したって言うんですか!?」

「喧しいわ!恨むんならお前の横にいる妖怪を恨みやがれ!なぁぁぁあぁあぁああ?オイ!!

チョーシくれてんのもいい加減にしやがれヤァ!?ア゛ァ!?」

「い、いや、そこまでキレられる覚えがないんじゃが……。」

「気にすんな若造。盗んだバイクで走り出したくなる単なる青春万歳なキレやすいお年頃だ。

さ、行くぞ。そろそろウチの方も出来上がった頃だろ。」

「……………ネギ君、ワシ帰っちゃダメかのう?」

「何でですか?と言うか、学園長先生が来たいって言ったんじゃないですか。」


朝の一件もあり、俺が無駄にキレてみたら近右衛門が一瞬で疲れた顔で項垂れ、ネギは不思議そうな顔をする。

地味な所で俺に慣れているか慣れていないかが分かる。他人に合わせる気は無いのでどうでもいい訳だが。

そして、その二人が気になりすぎてて視界に入らなかったネギパーティの面々も一緒に地下へ。

ダイオラマ球の中にある魔法陣を特定の順番で進んで行く。最後に到達した場所は―――


「わぁ………きれいです~。」

「綺麗なのですが、こ、これは青い薔薇(ブルーウィッシュ)!?優曇波羅華、仙桃七顆、不凋花夢幻花、

これなんかアスポデロスです!?な、何故こんな物が………。」

「良く知ってんなぁ。全部正解だ。」


俺が創った実在・空想問わず、全ての花が咲き誇る花園。当然、こんな場所で戦う訳ではない。

これはあくまでカモフラージュ。魔法陣を呼び出し、世界樹まで飛ぶ。

全員を軌道エレベーターへ詰め込み、300㎞程上昇。扉を開けると、そこは中世の闘技場。

その中央に、腕組みをして獰猛な笑みを携えた小太郎が仁王立ちし、その横にはノワールとアリカが。


「まぁぁぁああぁぁああぁあっとったでネギィ!そらもう何ヶ月も待った感じがすんで!!」

「実際、8か月だからな。真っ暗じゃ時間間隔も無くなるだろう。」

「は、8か月も!?そ、そんな事が……可能なんですか、そうですか。」


ネギはふぅ、と溜息一つ。それを合図代わりに、俺と近右衛門、小太郎とネギ以外は障壁付きの観客席へ。

土魔法で武闘祭と全く同じステージを創り上げ、両端に立たせる。


「時間無制限、術・魔法・武器制限無し!相手の気絶・戦闘不能・死亡を持って戦闘終了とする!

両者異存は!?」

「もっちろん無いわ!!」

「は、はい。ありません!!」

「では、構えい!!」


小太郎はいつも通りの右手を前にした半身ではなく、両手を軽く開き腰溜めにし腰を落とした構え。

対するネギはいつも通りの左腕を前にし、体をそれに隠すような構え。

小太郎の構えを変えさせた理由は二つ。当たり前の構えなぞつまらないと言うのが一つ。そして―――


「始めぇい!!」

「『戦闘の為(バルトフェルド)「ハァッ!!!」ガ……!!」
           ズンッッ!
「ネギせんせー!!」

「アイヤー!あれは痛いアルよ。」


ネギが強化する、その1秒の隙。小太郎は足の裏から狗神を出し、強化後とほぼ同じ速度で距離を詰める。

そして腰溜めにした両手を回転させ、ネギの腹部へ両掌底を叩き込むと同時に狗神で追撃。

これが二つ目の理由、絶対の先手を取る為の構え。相手が強化する前に一撃、吹き飛ばして追撃する事により

自分のみ強化出来る状況を作り出す。


「『狗族獣化』ぁ!!『犬上流 天・元・降・波』ぁぁぁぁぁぁあ!!!」
ドギュゥッゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
「ガ、フッ!『穿つ聖天(ラゥゾ・ヴェチェクニクタ)』!!」
ズッキュゥゥン!
「ハッ、しゃらくさいわ!!」


小太郎は飛び上がり、狗神を捻じりもみじの"魔炎(フォイエ・タウバー) 柱"の様にネギへ降らせる。

ネギは何とか体勢を立て直し、光の柱で自分の当たる部分のみを消し飛ばし、それはそのまま小太郎へ向かう。

ほぼ力を失ったそれは当然、小太郎の裏拳で弾かれる。が、その滞空時間でネギは強化を済ませてしまう。


「はぁぁぁぁぁ~………これは追加ねぇ。」

「ああ、追加じゃのう。スロースターターの分際で余裕かますとは。」

「あ、アハハハハハ……小太郎殿も災難でござるなぁ。」


観客席が邪悪な気で満たされつつある中、近々自身の身にかかる不幸を全く知らない小太郎は、

ネギと武闘祭の時と全く同じ状況で打ち合っていた。いや、そうなるように仕向けた(・・・・)のだ。


「雷矢加速、"天竜伏虎"!!」
ドドッ!
「がふッ……チッ、やっぱそれには反応し切れんわ!」


ネギが魔法の射手(サギタ・マギカ)の雷の矢を踵の後ろから10矢ずつ撃ち込んで、打ち上げと叩き付けの蹴りを放つ。

あちらも、この短時間で更に成長している。

しかし小太郎も狗神で防御出来るまでに反応速度と術効率が上がった。


「うぉぉぉおおおッッッ!『狗音爆砕拳』!」

「それはっ!見切ってるよ!雷矢収束、『雷華崩拳』!!」

「それこそいい加減見切ったでぇ!!」
ドゴォ!!
「なっ…………!」

「そぉいや!!」
ズッ―――ガァン!!

小太郎の正拳を完全に見切ったネギは、雷矢を137本使いクロスカウンター気味の正拳を打つ。

が、それを見切っていた小太郎が右拳を合わせ迎撃し、左手にも纏っていた『狗音爆砕拳』でネギを殴る。

強化術以外防御も出来無かったネギは声すら上げず壁にめり込んだ。


「ハッ!まさかこんなんで終わりとか抜かさんやろなぁ、ネギ!!」

「―――ラステル・マスキル・マギステル!"波源せよ 上弦の月!地上を満たせ 覇軍の弓矢!

皆を穿て 地を裂け 天を埋めろ! 汝こそ夜の光!"『天の始原(アルファット・ルナリア・ファンタズマ)』!!」

「上かぁ!!『狗音連装』!ウーララララララララララララララアラララァァ!!」
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!


壁にめり込んだと見えたネギは上空30m程に現れ、黄金の弓を召喚し殲滅魔法を降らせる。

吹き飛ばされた瞬間『我が身集う清廉なる風(ハイルネル・ハインド)』で透明化、同時に風魔法で身代わりか。

ダメージと消費魔力無視の一発狙い・・・悪くない。

対する小太郎は十重二十重に狗神を纏い、拳の連撃でそれを迎え撃つ。

・・・で、さっきからこいつは何をやっているんだ?楽しむのは結構だが、いい加減キレるぞ。


「こんな見え見えの攻撃がワイに通用するとでもおもっとんのか!?ふざけ―――」

「巫山戯ているのは貴様だ小太郎。いつまで俺達に恥をかかせる気だ。とっとと終わらせろ!!」

「うぐっ!わ、分かったで。」

「ネギ君、君もじゃ。いい加減にするとよい。」

「………はい、学園長先生。」


俺が叱責すると、小太郎は漸く本気を出す気になりネギへ向き直る。だが、それはネギとて同じ。

しかし、その意味はまるで違う。


「ラステル・マスキル・マギステル!!"風よ 雷よ 光よ!無限に連なり其を包め 彼を焼け 我を照らせ!

切り裂け 刺し穿て 叩き潰せ!!"『全きこの身を剣と化し(エントーティスキス・キ・モノ・アヴトーブリオラ)』!!」
ズガガガガガッガガガガガッガガガガガガガガン!!


ネギが腕を地面に突き刺すと、小太郎を中心とした直径30mの球範囲に風や雷や光で作られた武器が出現。

三千を優に超えるそれが、小太郎を貫いた。

三属性混合の殲滅呪文だが、この通り対人もこなす便利かつ超高威力な魔法。だが―――

バォウ!!
「……これがワイの新しい強化術。『狗神流(・・・) 獣化連装・"黒狗神(モーザ・ドゥーグ)"』や」

「戦術魔法を食らって無傷……!?愁磨さんでもあるまいし!!」


武器群を尾の一撃で吹き飛ばし、無傷の小太郎が現れる。

姿は常の獣化よりも腕と尾が二割ほど増して巨大化し黒化するだけだが、その力は以前の比ではない。

獣化した上で自分の使役する狗神を1000匹纏う事で、狗神の王に近い力と性質を手に入れた。


「凄まじいのう………。しかしあの術、少々危険ではないかの?」

「肯定だ。呼び出して使うだけなら兎も角、ハーフの小太郎がそれを体内に入れりゃ、汚染される。

使い過ぎればそれこそ狗神と同じワンコロの姿になるだろう。」


当然、そんな危険な術を習得させたのは小太郎が望んだからだ。

ネギに負けたのが相当悔しかったのか、はたまた俺達に苛められるだけよりかは新しい技を習得してやろうと

思い切ったのか諦めたのか。どちらにしろ、これで色々前に進むだろう。


「今回はワイの勝ちやな、ネギ。」

「……悪いけれど、僕は諦めが悪いんだよ!!"ラス・テル マ・スキル マギステル!

神光 皇杖 輝天 聖浄我を喰らいて闇を晴らせ!"」

「ヘッ!そうでなくちゃおもろないわ!!」


ネギはそれでも、今残っている魔力で使える最強の魔法を詠唱する。

・・・それを5発も当てれば、小太郎が今みたいに棒立ちしてるだけより少しはマシな展開になっただろうに。

火力だけに頼る所はまだまだだ。


「『救世主の(アートロポス)聖天(ヴェチェクニクタ)』!!!」
ボジュゥゥゥゥッ!!
「はぁぁぁぁぁッッッ!!」
ドッ ――――――
「がっ………!!」
――― ズドォ!!


光の柱を完全に突っ切り、グーパン一発。今度こそ本体のネギは壁にめり込み、ピクリとも動かなくなった。

さて、これで男の子の問題は解決した訳だが、思い出した事項が一つ。


「(………ネギま部、どうしよう。)」


このままでは、下手したら魔法世界に来るのがネギと明日菜だけになりそうだと言う事だった。

Side out 
 

 
後書き
魔法世界編突入。と言っても少々は修業期間になりますが 
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