転生とらぶる
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魔法先生ネギま!
0391話
ズンッ、と大きな音を立てて俺よりかなり背の高い、3.5m程はあろうかという巨人は地響きを立てながら地面へと倒れこむ。その巨体のタフさで俺の攻撃を防いでいたのだが、さすがに相方の妖精が倒れてしまって魔法によるバックアップが無くなってしまうと持ち堪えるのは不可能だった。
そもそも、この準決勝の対戦相手である巨人型の亜人のプロフィーロと妖精のエレイスマは物理と魔法で役割がきっちり分担しているタイプだ。敵の攻撃をその巨体を活かして防ぎつつ、その怪力で敵を叩きのめすプロフィーロ。魔法で相方の援護をしつつ、氷の魔法攻撃をメインとするエレイスマ。ただし厄介だったのは巨人と妖精というその大きさの差だ。
当然向こうとしてもそれは理解していたのだろうが、プロフィーロの身体を使ってその身を隠しながら『氷爆』を連発された時にはさすがに焦った。まず魔法を潰そうと思っても、小さいだけに見つかりにくいし。
それでも結局は『紫炎の捕らえ手』で捕まえてしまえば逃げ道がない以上はどうにも出来ずにダウンした。
『プロフィーロ選手、エレイスマ選手、両者気絶です! これによりナギ・スプリングフィールド杯、キズクモ予選大会での決勝進出一番乗りはアクセル選手となります!』
司会者の声が闘技場へと響くと、わあああああ、という声が聞こえて来る。
……中には悔しげに賭け札を空中にバラ撒いている奴もいるが。
ちなみに前回の賭けで揉め事が起きたので、今日は念の為にあやか達は宿屋で待機している。まぁ、漏らす程まで脅したんだから仕返しなんかは考えないと思うけど念の為だな。
6人程で巨人のプロフィーロを運んでいくのを見ながらインタビュアーがこちらへと来るのを待つが……
スタッフ用の出入り口からマイクを持って入って来た相手を見て、思わず唖然とした表情を浮かべてしまう。何しろ、そのインタビュアーというのがリュボースだったからだ。
「初めまして、今日のインタビューを担当させて貰うリュボースといいます。よろしくお願いしますね」
いつもの無表情は何処にいったのかと言いたいくらいに満面の笑顔を浮かべながら頭を下げてくるリュボース。ただ、良く見るとその笑顔はあくまでもそう取り繕っているだけのものだとすぐに分かった。
そしてその視線に込められている力は、あからさまに自分に合わせろと言ってる。
……しょうがない、ここはリュボースに恩でも売っておくか。
「ああ、よろしく頼む」
「それにしても、今日の戦いは凄かったですね。このキズクモの街でパワーNo.1と言われているプロフィーロ選手相手に、まさか近接戦闘で勝つとは思ってもいませんでした」
「確かにあの巨体から繰り出される力は脅威だが、その力に頼りすぎている面もあって技術は今ひとつだったからな」
実際、技術だけで見ればここまで上がってこれる程のレベルでは無かった。それをその巨体の身体能力で補っていたのだろう。
「それは前々から指摘されてはいましたが、それでも実行出来る人が少なかった訳ですが……」
「このキズクモにいる拳闘士は決してレベルが低い訳じゃない。俺が勝てなくても、そのうち誰かが同じようにして勝っていただろうさ」
わあああああああ! という歓声。この街の拳闘士のレベルが低くないという箇所に自尊心を刺激されたのだろう。
「そうですか。私も闘技場のスタッフとしてアクセル選手の言葉を嬉しく思います」
そう告げてくるリュボースの顔には、先程と違って本当の笑みが浮かんでいるように見えた。こいつも色々と底知れない所はあるけど、この街やそこに所属している拳闘士が好きってのは事実なんだよな。
「それで、次はいよいよ決勝戦となります。対戦相手は、この次の試合で決まる訳ですが……」
「俺としてはシルザリアとラナクーナの2人と戦ってみたい所だが」
シルザリア、ラナクーナ。この2人は虎と鳥の獣人だ。そして俺と同じく拳闘士団に所属していない個人出場の選手。そう、以前何度か会話をした事のあるあの2人だ。
「なるほど。その2人とはお知り合いで?」
「知り合いと言うか、個人出場という意味で何度か話したことのある程度だな」
「私としては、その2人と準決勝で戦うアラン選手とピエトラ選手に注目していますが」
リュボースの言葉に、宿のTVで何度か見たアランとピエトラを思い出す。
確か狼型の獣人と身体に植物を巻き付けている女の2人組だったか。植物を使ったトリッキーな攻撃方法が目を引いた覚えがある。
「確かにあの2人と戦うのも面白そうだ。どっちが勝っても決勝が面白い試合になるのは間違い無いだろう」
「はい。何しろこのキズクモの闘技場でもトップクラスの実力を持っていますからね。アクセル選手が今日戦った2人とも何度か戦っていますが、全勝しています」
まぁ、狼の獣人だけに速度はプロフィーロに圧倒的に勝っているし、植物を使った妨害行為とかもあると相性は悪そうだよな。
「では、インタビューはこの辺までとさせてもらいます。今日はどうもありがとうございました。次の決勝もワクワクするような試合を期待しています」
リュボースはそう言い、小さく頭を下げてから戻っていく。
それを見送ってから、俺もまた選手控え室へと向かうのだった。
「おめでとさん」
選手控え室に入った俺を出迎えたのは俺を祝う声だった。
声のした方へと視線を向けると、そこにいたのは虎の獣人だった。その隣には鳥の獣人もいる。
噂をすればなんとやら、シルとラナだ。
「いや、まさかお互いここまで来れるとは思わなかったが……お前さんの試合は見応えがあった」
満足そうにシルが頷くと、その横ではラナもまた同様に頷いている。
「確かに先程の戦いは見事でした。己の力でまるで暴風のようにその四肢を振り回す相手の攻撃を、ヒラリヒラリとまるで川に流れる木の葉のように回避する様はさすがと言ってもいいでしょう」
「まぁ、ナギ・スプリングフィールド杯の本戦で優勝を狙っているんだ。あのくらいはな」
俺がそう呟いた時、選手控え室のドアが開き闘技場のスタッフであろう男が顔を出す。
「シルザリア選手、ラナクーナ選手。そろそろ試合の時間ですので準備の方をお願いします」
「ああ、すぐに行く」
「うむ。では私達も決勝への切符を手に入れてくるとしよう」
「ここのTVで見てるから決勝まで昇ってこいよ」
俺のその言葉に、2人揃ってニヤリとした笑みを浮かべて控え室を出て行く。
その姿を見送った俺は、いつもなら宿に帰る所なのだがここで試合を見ていく事に決め、近くにある椅子へと腰を掛ける。
「おや、珍しいですね。今日は帰らないんですか?」
「うおっ!」
その瞬間、突然部屋の入り口から聞こえてきた声に思わず反射的に身構えるが、その声の主がリュボースであると知り深い溜息を吐く。
こいつ、気配が掴みにくいんだよな。これも無表情なのが関係してるのか?
「そんなに驚かれるのはあまり嬉しくないんですが」
「いや、なら気配を消して近付いてくるなよ」
「淑女の嗜みですので」
「……どこの淑女だ、それは」
いや、あるいは長瀬のような淑女ならあり……なのか?
「私としては、決勝の相手はアクセルさんの希望してる方じゃなくてアランとピエトラの方が嬉しいんですけどね」
「そうなのか?」
「はい。決勝戦を戦うのが両方ともこの街の拳闘士団に所属していない拳闘士というのはちょっと外聞的に……それに、観客の盛り上がり的にも片方は知名度の高い方が盛り上がりますし」
そんな風に会話をしている間に、試合が開始される。
シルが瞬動で前へと出て、その拳で狼型獣人のアランへと殴りかかる。
それを回避したアランが、シルの横を通り抜け様に鋭い爪で脇腹を斬り裂こうとするが……
「へぇ。さすがですね」
リュボースの感心したような声が部屋の中へと響く。
シルの脇腹へと突き刺さったかと思ったアランの爪だったが、皮膚すらも斬り裂く事が出来なかったのだ。あれは種族特有の能力か? あるいは気とか魔力を使った防御手段か。
「こっちは互角だが……」
画面に映っているもう一方。鳥型の獣人であるラナとピエトラの戦いへと視線を向ける。そこではピエトラが一方的に攻められていた。
何しろ、鳥型の獣人だけあってラナは空を飛んでいるので植物がメイン攻撃手段であるピエトラには相性が悪いのだ。
背中の翼から羽根を連続して撃ちだしているラナ。それをピエトラは自分の周囲へ蔦を張り巡らせて防いでいる。
たまに何らかの種を飛ばして反撃しているのだが、闘技場内だけとは言っても空を自由に飛び回っているラナに種を当てるのは難しいらしくことごとくが空を切っている。
「残念ですが相性が悪すぎますね。ラナクーナ相手にはピエトラではなくアランの方が相性は良かったと思うのですが……」
リュボースの言う通り、ピエトラが為す術もないと踏んだアランはシルの攻撃を掻い潜ると狼の獣人らしい素早い動きでピエトラへと駆け寄り、お互いの相手を交換する。
もちろんシルとラナにしてもそれを防ぐのはそう難しい事では無かった筈なのだが、自分達もそれを望む所だとばかりに距離を取って2人の準備が整うのを見守っていた。
「彼等は勝つよりも大切な何かがあるのでしょうか?」
いつもの無表情に若干不思議そうな表情をして呟くリュボース。
「あの2人の目的は、ナギ・スプリングフィールド杯の優勝というのもあるが、一番大きいのは自分達の名を売るという事らしいからな。相手の全力を出す前に潰すというよりも、その全力を出させた上で勝つというのを狙ってるんだろう」
俺がそう呟いている間にも、アランが空中を跳躍してさらに虚空瞬動を使って空を飛んでいるラナへと追い縋る。
当然ラナもまた黙ってそれを見ている筈も無く、空中を飛び回って距離を取りつつ先程と同様に羽根で攻撃……と言うか、牽制しつつ手に持っていた剣で斬りかかっているその様子は、俺がリビングアーマーやスケルトンから手に入れた剣を使ってた時のような力任せの我流ではなく何らかの流派を収めているというのがしっかりと分かった。
にしても、鳥型で剣を持ってるってどうしても修学旅行で戦った妖怪や鬼達を思い出すな。刀と剣の違いはあれど。
「どうやらこちらの方も相性は良いようですね」
リュボースの視線の先にはシルとピエトラの地上戦。近接戦闘に持ち込みたいシルだが、ピエトラの使う植物により地面から生えている蔦がその身を縛り上げているのだ。
だが、シルもさすがに準決勝まで上がってきた事もありそのままやられっぱなしではない。なんと強引に蔦をブチブチと引き千切りながらピエトラとの距離を縮めていく。
「……どんな馬鹿力ですか。彼女の植物はその魔力を使って生み出された分、強度はかなりのものだというのに」
呆れたような表情で呟くリュボースだが、画面の中では既にシルは巻き付いてくる蔦を引きずり、千切り、叩き落として進んで行く。
そしてガバッとばかりに大きく口を開く。
何か、俺の永久石化光線と似たような構えだな。となると恐らく……
「へぇ」
シルの口から何らかの攻撃が放たれたのだろう。その前方にあった蔦やピエトラの能力か何かによって地面から生えていた植物が放射状に砕かれ、破壊されていた。
「アクセルさん、あれは何をやったのかわかりますか?」
「さて、実際に見ていたのならともかく映像だとな……まぁ、恐らく魔力か気を練り込んだ声を指向性を持たせて発射したとかじゃないかとは思うが」
画面の中では咄嗟に植物を大量に自分の前に集めた結果だろう。ピエトラ自身は殆ど無傷だった。だが、武器となる植物が失われてはパワーファイターと言ってもいいシルに対抗出来る筈も無く、そのまま顎先を揺らすような一撃を受けると脳震盪で気絶する。
「上も勝負が付いたようだな」
ピエトラが気絶した為だろう。モニタは上空での戦いを映していたが……
虚空瞬動を利用した俊敏な狼の獣人の攻撃も大空を自由に羽ばたく剣士には届かずに、右脚を切断されて地面へと落下。そのまま気を失う。
「勝負あり。ですね」
「だな。結局は俺の希望通りか」
モニタでは脚を失って気絶したアランをスタッフが運び出している。ファンタジー世界だけに脚の1本や2本は普通に魔法で何とかなると知っているのか、観客達も特に騒いでいる様子は無いようだった。
後書き
名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:715
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
ギアス(灰色)
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
異形化
撃墜数:392
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