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占術師速水丈太郎 五つの港で

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第十三章


第十三章

「そのせいで総監部にいまして」
「預かりという形ですか」
「そうです。そこでも女性自衛官、ウェーブというのですがね」
「セクハラをしていたのですか」
「残念ですが」
 そうだったと。また三原の顔が曇った。
「正直厄介者でした」
「そうした人間ですか」
「ですから容疑者も多いのですが」
「それは普通の死に方をした場合ですね」
「はい、ああした死に方ですと」
 三原の首は三度捻られることになった。
「どうにも。人間のしたことには思えませんので」
「だからですね」
「我々の捜査は難航しています」
「それで私がなのですね」
「そうです。それでですが」
「まだ証拠は不充分です」
 ここではこう述べた速水だった。
「申し訳ありませんが」
「左様ですか。まだですか」
「もう少しお待ち下さい」
 そしてこうも述べたのだった。
「話を解決するにはです」
「では。御願いできますね」
「受けた仕事は必ず解決します」
 これは彼のポリシーでもあった。それは自分自身にも言い聞かせている言葉であった。
「ですから」
「わかりました。それでは」
「それにしても。後ろから心臓の部分をですか」
「かなりの力でした」 
 今度はその殺され方についての話だった。
「機械で押した様に。しかも」
「しかも?」
「触れた形跡がありません」
 ここでもなのだった。
「全くです。空気をそのまま押したかの様にです」
「空気をですか」
「そのまま圧迫した様な」
「成程、それはまたかなり異様な殺人方法ですね」
「少なくとも人間のものとは思えません」
 まさにその通りだと言う三原だった。
「これはです」
「そうですね。それではです」
「それでは?」
「ここでのことはわかりました」
 呉のことはだというのだ。静かにこう述べたのである。
「それはです」
「おわかり頂いたのですか」
「はい、後はです」
 ここまで話してからまた言う速水だった。その口調は変わらない。
「私にお任せ下さい」
「任せて頂いて宜しいですね」
「はい、私が依頼された仕事ですし」
 そうした事情も理由に出すのであった。速水は微笑んでさえいた。
「それで」
「わかりました。それでは」
「有り難うございました」
 ここまで案内し説明してくれた三原に対して礼を述べるのだった。
「おかげで助かりました」
「いえ、どうもです」
「あとですが」
 ここでふと聞き忘れていたことを思い出したのだった。それで敬礼をし終えたばかりの三原に対して再び尋ねたのであった。その尋ねたことは。
「この被害者ですが」
「朝倉哲也三曹ですか」
「運用というマークでしたね」
 このことを尋ねるのであった。
「確か」
「そうです。ずっとこの呉で勤務していまして」
「呉でなのですか」
「あとは江田島にいたこともあります」
 三原はこのことも述べたのだった。
 
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