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魔法少女リリカルなのは~転生してうちは一族になりました~

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第一話「転生者の今」

クソ女神に転生させられてからはや10年。


何の屈辱か俺は赤ん坊からもう一度人生をやり直すはめになった。
しかも親が俺を生んで直ぐ事故って死んだ?

なんの波乱万丈かとギャーギャーわめく事しかできない俺は、こころの中でそう思っていた。
このまま施設にあずけられるのかと思いきや、まさかの俺を引き取るとるという人物が現れた。

『はぁ~い♪アオグ君の新しいママのうちはカグヤでーす♪ちなみにおっぱいはの大きさは90cmだよ~ん』

まさかの俺を転生させた張本人である女神が俺の母の妹だという設定を作って俺を引き取りに現れた。
……これなら施設に預けられた方が1000倍マシだ。

『アオグ君~?ミルクの時間でちゅよ~』

(!?何ブラ外して胸を出そうと…!?)

女神が俺の親代わりになった9年間は本当に恥辱の毎日だった。


そして転生してから10年後。


俺が10歳になると共に女神は部下から戻ってきてくれと連絡が入ったらしく、長らくこの世界から姿を消す事になった。

『いやぁ~!!私アオグ君と離れたくないですぅぅぅ!!!』

『……フンッ!』

しがみ付く女神を引き剥がし芭蕉扇で吹き飛ばすし、
魔方陣のような場所に女神を放り捨てた。
ああ暑苦しい。

『酷いですぅ!アオグ君!お義母さんと離れることがさみしくないんですか!?』

『黙れ。これでも精神年齢は三十路だ。親と離れるくらいでさみしがるか』

魔法陣の中で見えない壁を涙を流しながらドンドンと叩く女神。どうやら女神でも一度あの陣の中に入ると出られないようだ。

『うえ…ひっく…酷いです、アオグ君……』

『………』

マジ泣きし始めた女神。
さすがに女に泣かれるのは気分が悪い。
それにこの10年間で、最初こそ嫌悪していたが今ではこのアホ女神のことをそれなりに大切に想っていた。
すくなくとも家族くらいには。

本当に時間って偉大だなっておもうな。

『あー……わ、わるかったって。だから泣くなよおふくろ』

俺は不本意ながら女神におふくろと呼ぶことにした。
こいつは自分の事をおふくろと呼んでもらうと、どんなに機嫌が悪くても直ぐに元に戻る。


『いよっしゃ~~!!!アオグ君パワー充電完了!!これで、あっちでのお仕事もがんばれちゃいます!!……フッ、ちょろいな。嘘泣きに騙されるようじゃアオグ君もまだまだ---』

『……火遁』

『へ?』

印を結び、口の中に炎をため込む。
女神の顔が恐怖に歪む。

『ちょ、アオグ君!?いやアオグさん!?嘘です嘘!!だからその口から---』

『豪火滅却!!』

『いやぁぁぁぁぁ!!!』

巨大な炎が女神の立つ陣に向け吐き出す。
陣を破壊できるかわからないが、迫る炎を間近で見れば相当な恐怖感を覚えるはずだ。

煙が晴れた先には炎が直撃した陣が何事もなく存在していた。
しかし、中に居た女神はあまりの恐怖に目を回しており、その顔を見た俺は思わずガッツポーズを取った。
ざまみろ。
10年間滅多に使うことのなかった忍術だったが、こういう事には役に立つ。
そうこうしている間に陣が強く輝き出し、気絶している女神を包みこむと光の球体に変化した。
球体は瞬く間に空へと消えていった。

「さて……遅れるわけにはいかん、ボチボチ動くか」

変化の術を解いて元の身長に戻ると、木の幹に置いていた学校指定のカバンを肩に担いで、朝早くから騒いでいた公園近くの森から出ていく。実年齢は三十路だが肉体年齢はチンチクリンなガキの体そのもの。変化の術を使って身長は大人ほど伸ばすが、本来はガキの姿だ。
見た目的に義務教育を受けなくてはならないため、俺は現在私立聖祥大付属小学校というそこそこ金の掛かる学校に通っている。
百歩譲って小学校に通うのは認めはしたが、何故か女神はわざわざこの金のかかる学校を選んだのだ。聖学に入学させた理由は知らないが、どうせろくな理由じゃない事は確かだろう。が、なんであろうと学費を払ってもらっている身なので学校を指定されるくらいは大目に見てやっている。聖学のスクールバスが来る場所まにつくと俺は仮眠をとる。

そしてしばらして……俺の目に飛び込んできたものは……


「起きろっていってんでしょうがぁっ!!」


それは小さく綺麗な手だった。
そろも何故か握り拳だ。

それが俺の顔面をブン殴ろうと迫って……

「!?なにをする!」

頬に拳がぶつかる瞬間、ギリギリで拳を躱すことができた。
なんて奴だ……ついに平手では飽き足らず、グーで襲ってきたか。

「あっ!やっと起きたわねアオグ!」

「あっ、やっと起きたわね…じゃない。お前はもう少し真ともな起こし方はできないのかアリサよ?」

俺に拳をぶつけようとしてきたこの金髪の少女の名はアリサ・バニングス。
俺の1つしたの後輩なんだが……見てのとおり、凶暴な少女だ。
黙ってればそれなりの美少女なんだが、こんな事は本人には話すことはできるはずもない。

「しょうがないでしょ!何度呼び掛けても返事はしないし、肩揺すっても反応がないなら、殴るしかないじゃない!」

「……まるでカマキリのメスだな。旦那さん首からむしゃむしゃ食っちまうな。絶対結婚したら、旦那とその子供を反論できないように恐怖政治で黙らせるな」

「なんですって!?」

胸ぐらを掴まれて、ギャーギャーギャーが俺が失礼だとかもう少し先輩らしくしろだとか言ってくる。あー耳痛たい。てか1つ年下(実際は20年下)の女の子に胸ぐら掴まれるってどんな絵面?

「ア、アリサちゃんその辺にしようよ。皆見てるよ!」

アリサに話し掛けたこの青みのある紫色の髪をした少女は月村すずかだ。
今俺の胸ぐらを掴んでいるアリサ(カマキリ)とは違い、お淑やかで守ってやりたいオーラを常に出していて、将来彼女と付き合う男は勝ち組とも言える。
すずかの一言で周りの注目の的になっている事に気付いたアリサは恥ずかしそうにしながら、胸ぐらを離して、すずかの隣に立つ。

「……えっと…さっきはごめん。流石にやりすぎたわよ……おはよう、アオグ」

「デレながら話す事か……おはよう」

まぁこういう素直に謝ることもできるところがあるから、友達もいるんだろう。
じゃなければ誰もこいつの傍には近づこうとしないだろう。

「アオグ君おはよう!」

「おはよう、すずか」

会って数分たってようやく挨拶を交わした俺たち。順序がメチャクチャだな。
数分してバス停前にスクールバスが停車し、俺達3人はそれに乗り込む。

「ちょっとアンタ!なんで毎回そんなとこに1人座るのよ!」

「騒ぐな。朝から騒いで疲れていてな……休ませてくれ」

毎回俺はバスの2人用座席の通路側の席にカバンを置いて、1人外の風景を見ながら短い仮眠をとるんだが、それも長続きする事はない。

「ほら、私達と一緒に座るわよ」

「お、おい!」

強引に手をアリサに引かれ、奥の後部座席に連行される。
という風に俺の1人の時間はバスに乗り込んで数分で終わる。
俺もこんな事を3年も続けてるのに学習能力がない。我ながら自分の頭の悪さに泣けてしまうな。

「ふっふ!本当にアオグ君とアリサちゃんって仲良しだね」

「何処をどう見たらそう見えるのよ……」

「さっきのアレを見て普通そう見えるか?どうみても完璧俺にがイジメられてたぞ」

「アンタはまだそれを引きずってくるの!?」

こういう騒がしい朝から俺の1日は始まる。昔は随分ウザッたかったが今はそうでもない。これも慣れっていうヤツなのだろうか?

「すずかちゃん、アリサちゃん、アオグ君。おはよう!」

次のバス停からバスに乗り込んだ人物の中で、茶髪をツインテールに結んだ少女、高町なのはが俺達の座る後部座席まで歩いてくる。

「あァ、おはようー……」

「おはよう、なのはちゃん」

「アンタはもう少し真ともな挨拶をしなさいよ」

「お前はもう少し真ともな起こし方をしろ、カマキリ女」

「なんですって!?」

「にゃはは……」

「またはじめちゃった……」


本当に俺の日常はこんな毎日だ。
今思えば、コイツらとの出会い方も女神との出会い並に強烈だった。
アレは俺が二年生になったばかりの頃。

休み時間に暇だったから適当に外を歩いていたら、何やら言い争う声が聞こえ、声の聞こえた場所に自然と足が動いた。いつもの俺だったら、わざわざ面倒事とわかってて首を突っ込むような事はしないはずだが、その時は自分から不思議と関わろうとしていた。

『……へ?』

そして向かった先で目にした光景を見て俺は思わず間抜けな声を出していた。
そこには沢山の花で彩られた花壇の前で、おどおどしているすずかと、自分の頬を押さえるアリサ、目を潤ませて手を振り切ったなのはが立っていた。
取り戻しつつある前世の記憶と転生生活の中でも実際に女の子が女の子をぶった現場を見た事のない俺はだだ3人を唖然として眺めていた。

だがそれもアリサがなのはに飛び掛かったことで見物するわけにもいかなくなった。
俺は驚きながらも2人の間に入ってケンカを止めに入った。

『おい!』

『誰よアンタ!関係ないのに邪魔すんじゃないわよ!』

取っ組み合う2人を引き剥すが、それでも互いに怒りをぶつけ合おうとするなのはとアリサ。
板挟みになっている俺は俺で、暴れ続ける2人の爪が頬に触れ、皮膚が切れて血が飛び散る。
あの光景は端から見れば、俺がなのはとアリサに二股を掛けて修羅場に立たされているようにも見えなくもなかった。

まぁ大人はともかく、たかが小学生にそんな場面を連想できるとは到底思えないから、そんな勘違いは起こらないだろう。

いくらケンカの仲裁のためとはいえ、女の子相手に手を振るうわけにもいかい。
打開策が見つからず手を焼いていてた俺は、瞳力で気を落ち着かせようとしたそんな時だった……

『やめて!!』

それまでおろおろしていたすずかが突然叫んだことで、頭に血が登っていたなのはとアリサは勿論、俺自身も驚いてしまっていた。

『もう喧嘩しないで……お願い……』

我に返り2人の注意がすずかに向いている間になのはとアリサを引き離す。

『……やっと落ち着いたか……で?喧嘩の原因はなんだ?』

少し落ち着いた2人を見て、また2人に火がつく前に喧嘩の原因を探ることにした。

だが……

『こいつが私をぶったのよ!』

『何言ってるの!それはあなたが、あの子のヘアバンドを取ったからでしょ!』

ブチッ

『お・前・らァ……』

俺の目の前でまた言い争いを始めた少女2人(クソ餓鬼共)。
2人を見ていた俺の頭の何で何かが弾けた。



『いい加減にしろォォォォ!!』


前言撤回。

俺の静止を忘れ、不毛な言い争いを続けるなのはとアリサに怒りを抑えることができず、俺は脳天目がけて鉄拳を振り下ろしたのだった。


後に目に涙を溜め、痛みを和らげるため、頭を両手で押さえるなのはとアリサ、涙を拭うすずかから喧嘩の発端になった原因を聞くと、アリサがすずかをからかってヘアバンドを無理やり取ってところに偶然その場に居合わせたなのはがその場面を見て、すずかを助ける為にアリサをひっぱたいたことから事が始まったという、いかにも子供らしい理由から始まった喧嘩だった。

あとは原因を作ったアリサがすずかに謝り、なのはも理由はともあれ手を挙げたことをアリサに謝罪し、アリサもなのはにごめんと一言謝り、事態は終息。

そしてこの喧嘩をきっかけに、3人は友達になり、絆を深めていき、なんやかんやでコイツらと俺も付き合う事になっていった。

「まぁ…こういうのも悪くないよな」

「アオグ、何1人ごと言ってんのよ」

「あースマンな。アリサと結婚した男は尻に敷かれて、涙を流す毎日を強いられるんだろうと思ってたらつい、本音がこぼれてしまったようだ」

「ア、アンタねぇ……」

バス停前での仕返しの意味で、アリサをわざと怒らせて胸ぐらを掴まれるがそれを涼しい顔で楽しむ。何度も言うが、本当に俺の日常はこんな毎日だ。

前世の俺は人と接する事を煩わしく思っていた。
気を許した一部の人間とだけは関わりを持ってはいたが、それも自分の行動が阻害されるような事があれば煩わしく感じ縁を切っていき、気がついたら周りから誰もいなくなっていた。
そう……以前の俺は自己中心的な考えで、人と足並みを揃えようとはしないはみ出し者…俗に言う嫌われ者だった。
それは転生して聖祥に入学してからも変わらず同じだった。
変り者は死んでも変り者だと聞いた事があったが本当にそうだ。

俺自身が証明している。

だが、それもこの3人と知り合ってから少し変わったような気がする。
こいつら限定ではあるが、俺は今の自身の変化を無意識に楽しんでいるのかもしれない。

「……学校ってつまらないな。ミサイルでも落ちて校舎全壊させないかな」

時刻は一時過ぎ。
学校の屋上でなのは達と合流した俺は持参の弁当を食べながら、中学時代唯一俺と言う人間を理解した上でつるんでいた悪友と、授業をサボって立ち入り禁止の校舎屋上で2人でよく使っていたセリフを口にする。

「アオグ君、毎日お昼の時間になったら同じ事を言うよね?学校って楽しいよ」

「はぁ…子供でいいよな、なのはは。俺は人生の中で学校が楽しいなんて思った事なんて一度もない」

「子供ってアンタも子供じゃないのよ」

「見た目は…な。中身は立派な三十路の社会の面倒くささを知っている冷めた人間だぞ?」

俺は自分が転生した事はあまり隠す事しない。
逆に今みたいに話しのネタにする事すらある。

「またワケのわからないことを……」

「アオグ君ってたまに変わったこと話すよね。私達より1つだけ年上なのに、なんだか大人の人と話しているような感じがする事があるんだ」

俺の言葉を聞いたアリサはワケのわからないとでも言うかのように呆れた物言いで話し、すずかは今までの俺と言う人間と接してきた感想を話す。

「それ、間違ってないぞ。まぁ20歳っていう子供から大人になる節目を迎えても、大人になれない奴は子供のままだけどな……」

「え?それってどういう--」

やはりなのは達にはまだ理解できる内容ではなかったようだ。
俺はこの年齢の中で、なのは達は少し大人びていると思っている事がある。
例として上げれば、3年前の喧嘩でなのはがアリサに対して告げた、“痛い?でも大事な物を取られちゃった人の心はもっともっと痛いんだよ”という言葉だ。
幼稚園から上がりたての幼子の考えられる内容にしては随分と大人な考え方に思えるからだ。
こういったところを見て俺はこいつらに興味を持ったのかもしれない。

「今はわからなくていいんだよ。いつかそれとなくわかる時が来るはずさ……将来、な?」

「将来かぁ……アリサちゃんとすずかちゃんは、もう結構決まってるんだよね?」

「家はお父さんもお母さんも会社経営だし、いっぱい勉強して、ちゃんと後を継がなきゃ、ぐらいだけど」

「私は機械系が好きだから、工学系で専門職がいいなと思ってるけど」

本当、考え方が大人びているよなこいつら。
前世でのらりくらりと生きていた俺と比べたら天地の差なほど立派な少女達だ。

「そっか、2人とも凄いよねぇ……ねぇ、アオグ君は?」

なのはが今度は俺に話しを振ってきた。

「そうだな……俺の将来の夢はアリサと結婚して幸せな家庭を持つことだな」

「は、はあぁぁぁ!?」

「「ウソ!?」」

「ちょっと、アオグ!!ア、ア、アンタ、私のこと……」

「嘘だよ。お前ら馬鹿だろ?冗談もわからんのか?」

「ア、アンタねぇ……」

朝と同じくまた怒りに体を震わせているアリサが胸ぐらを掴むが、俺は変わらない態度でなのはに話しかける。

「で、なのはは将来何をしたいんだ?」

「え?」

「私も気になるな」

「やっぱ喫茶翠屋の二代目じゃないの?」

「いいんじゃないか、それも1つの将来の選択だ……あとアリサお前いい加減胸ぐら離せ。それと顔近い」

「なっ!?」

俺から指摘されて、自分の状態に気付いて顔を赤くして慌てて離れるアリサ。
ほんっと扱いやすいな。

「う~ん……アオグ君の言う通りかも。それも将来のヴィジョンの1つだよね……」

今のなのはは自分にはアリサやすずかと違い明確に将来の目標が定まっていない事で、やや落ち込んでいるように見える。

「やりたいことは、何かあるような気もするんだけど、まだそれが何なのか、はっきりしないんだ。私、特技も取り柄も特に---」

「……螺旋……」

「へ?あの、アオグく---」

「丸!」

なのはの前にたった俺は握りこぶしをなのはの頭に落とした。
痛そうだ。

「にゃあ!?」

頭に感じる痛みから目尻から薄ら涙を流すなのは。
更にそんななのはにアリサが追撃に彼女の背中に跨って頬を引っ張り始めた。
どうやらなのはの卑屈な言葉に頭に来たようだ。

「一丁前な事言うな、ジャリが。成功どころか挫折すら経験した事のないガキが笑わせるなよ?」

「そうよ!だいたいアンタ、理数の成績この私より良いじゃないの!それで取り柄がないとは、どの口で言うワケ?」

「あーん!!にゃめて!!だって私文系苦手だし、体育も苦手だし~!」

「あっ!ふ、2人ともダメだよ!ねぇ!アオグ君もお弁当食べてないで止めてよ~!」


などとすずかが俺にヘルプを求めるが、面白いので放置。

まぁこの第2の人生は暇する事のない充実した日々なのは間違いない。



 
 

 
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