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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第68話:怒らせる・笑わせる・泣かせる……何が目的?

(スタンシアラ)
マリーSIDE

やはり持つべきものは非常識な親だね。
いい加減並ぶのにも飽きてきた所で、まさかのジャンピングチャンス!
パノンの居ない現状は抱腹絶倒なんてムリだから、さっさとファーストチャレンジ失敗して、待望の芸人を迎えに行きたいのだ!

不貞不貞しい態度のパパを先頭に、皆様の痛い視線を浴びながら王様の前へ馳せ参じちゃう私達。
もう雰囲気からしてお笑いをやる状況じゃないわぁ(笑)
失敗前提じゃ無かったら、絶望的な気持ちになってたわね。

「ほらどうした……余の事を笑わせる為に皆への迷惑を無視して練習してたんだろ。今が成果を見せる時ぞ……早く初めんか!」
イラッとくる王様のお言葉……非常識な振る舞いをしたのは私達(正確にはパパとウルフ)だから下手にでるが、そうじゃなかったらイオナズンだ!

「偉そうに……」
しかし、マイパピーがボソッと何かを呟いた。
この場に居る皆さんが聞こえる様な声で呟いた。
出来れば誰にも聞こえない様な小声で呟いて欲しいが、皆さんが聞いちゃえる様な大声で呟いた!

「お前……今、何と言った……?」
「偉そうだってんだよ! お前が笑いたいって言うから、方々から人々が集まり珠玉のネタを披露してやってんだろ! それなのに何だ……その偉そうな態度は!? そんなに笑いたいのなら、そこら辺に居る部下に擽ってもらえばいいだろ!」

凄ーい……私のパパ凄ーい!
この世界でお父さんは王様じゃ無いのに、余所の国の王様相手に無礼千万な口調で文句たれちゃったよ!
殺到する兵士等への備えをして、逃げ出す準備を整える私達……すると、

「擽られて得る笑いに何の意味がある!? 余の求めている笑いはそんな事では無い!」
「そんな事は解ってるさ! アンタは今の混沌とする世界に明るい要素を欲してるんだろ? でもなぁ、その為に出した御触れが『王様を笑わせろ』ってのは、やはり求めている笑いとは違うんだぞ!」
何やら意味深な事を良い王様の動揺を誘うパパ。

「キ、キサマの様な非常識な男に……余の求めるモノが解ると言うのか!?」
「解るさ……アンタは自分にではなく、人々に笑顔を取り戻したくてこんな御触れを出したのだろう? こうする事で世界中から“笑い”を携えた人達が集まり、この国の人々を笑わせてくれる……例え世界が混沌としてても、笑いを取り戻せるのではと思い、こんな馬鹿な御触れを出したのだろ?」

あれあれ?
本来はパノンが言うはずの科白を、私のパパが言い出しちゃったゾ!?
良いんだって、そんな事を言わなくても……『おもしろくない。出直して参れ!』って言われて、他力本願全開でパノンを尋ねれば、全てが解決する事になってるんだって!

「アンタが本当に人々の笑顔を求めてるのであれば、天空の兜をこの伝説の勇者に託し、世界が平和になるのを祈るべきだ。こんなくだらない事の賞品に使うのでは無く、本来の持ち主に返し正しく使用して貰える様にするべきだ!」

「ほ、本当にその者が伝説の勇者なのか? 世界を平和に導く勇者様なのか!?」
先程まで憮然としていた王様が、驚いた表情で立ち上がりシンちゃんの方へ歩み寄る。
まるで縋るべき何かを見つけたみたいに。

「そうだ。彼に兜を託せば、世界を平和にすることに近付く……残りの武具もこれから手に入れるから、安心して政務に勤しめ」
シンちゃんを見て、パパを見て……大きく頷くと、部下に何かを指示する王様。

「勇者殿……疑う訳ではございませんが、皆の目の前で天空の兜を被って下さい」
そう言うと部下の人が持ってきた立派な箱に入った天空の兜を差し出し、シンちゃんに被る様お願いする。

「あ、はい……」
シンちゃんも促されるまま箱の中に両手を入れ、兜を取り出すと頭へ装備する。
最初は大きかった兜だが、スルスルと縮まりジャストフィットしちゃいます。

「「「おぉ~!!」」」
其処彼処から聞こえる歓喜の響めき……
目の前に世界を平和にする伝説の勇者が現れたのだから当然だろう。

「どうか……どうかよろしく頼みます! 世界を……人々を救った下さいませ!」
遂には泣き出し、シンちゃんとパパに握手する王様……
困惑顔のシンちゃんと、この事態を演出したパパのウンザリ顔が笑えた。







色んな意味で居たたまれない雰囲気だったらので、早々に城から退散し宿屋に集まる私達。
……納得いかん!
パノンはどうした!? 何故私にお笑いを提供しない!!

「ほ、本当に勇者だったんですね俺……」
「本当に勇者だったんだね……君」
こっちには勇者が居るから、無駄な御触れを出してないで兜よこせって言った張本人(パパ)が、“シンちゃんマヂ勇者”に驚いてる。

「え、リュカさんは俺が勇者かどうかを疑ってたんですか!?」
「いや……真偽は兎も角、証拠が今まで無かったじゃん! だから周囲の人達の思い込みかも……ってのは無視出来なかったんだよね(笑)」
そんな疑い持ってるのに、何で強気発言で兜せしめてるんだよ!?

「俺もその点は疑ってましたけど……スタンシアラ王家を怒らせてまで、俺が勇者だから兜よこせって言った人の言葉とは思えない……俺が本物じゃ無かったら、あの場はどうしてたんですか!?」
「全力で逃げた!」

流石だ……
この男の無責任さは常人の思考を凌駕する。
でも、そんなことより私はパノンを見たかった!

「ところで……リュカ殿とウルフに伺いたいのだが、順番待ちをしている最中のあの騒動は、この状態を呼び込む為の芝居だたのか?」
ザ・常識人のライアンちゃんが、ホイミンちゃんを(はべ)らせながら私のパパとダーリンに問いかける。

「リュカさんはどうか知らないけど、俺は違うよ。暇潰ししてたら因縁付けられて、頭きたから因縁返ししてやった!」
「僕も似た様なもんだ……」
流石だ! 即座に話を合わせられるなんて……完全なる師弟である!

「ま、まぁ無事に兜を入手出来たのですから、経緯などは良いじゃ無いですか皆さん!?」
『皆さん』とトルネコさんは言うけれど、軽蔑の眼差しをしているのはライアンちゃんだけ……
他の皆さんは諦め顔です。

「そうよ、無事に兜を手に入れたんだから、他の事はどうでも良いじゃん! それより、天空の武具入手を祝って、モンバーバラで打ち上げしない? 今あそこに面白い芸人さんが居るらしいのよ! みんなで見に行かない?」
どうしてもパノンを諦めきれない私は、打ち上げと称して皆を導く……

「何でそんな訳解らんものを見る為に、そんな遠くまで行かなきゃならないんだ? この近くで……スタンシアラで開演してるのなら解るが、そんな無駄な事はイヤだよ」
「遠くないわよ! お父さんがルーラを使ってくれれば、一瞬で目的地に着「僕はモンバーバラに行った事無い!」
えぇ~……キングレオ周辺に居たのに、モンバーバラへは行ってないの!?

「あ……でもウルフならモンバーバラに行った事あるよね!? マーニャさんとミネアさんと一緒に行動してたんでしょ!? ルーラでバビュ~ンと行けるわよね!?」
「行けるけど、俺のルーラじゃ皆さんを運べない。このパーティーは大所帯だから、俺のルーラでは全員を移転させる事は出来ない」

「じゃぁ……お父さんをモンバーバラに連れて行って、その後戻って「めんどくせぇよ! 何で僕の興味が無い事に、これ以上付き合わなければならないんだ? この時代に連れてこられたのだってマリーの所為なのだから、これ以上お前の我が儘に付き合わさせるのは止めてくれ!」

こ、この時代へ来る事に巻き込んだのは私の所為じゃ無いわよ!
アホ神が勝手に巻き込んだんじゃない!
でも皆さんの顔を見る限り、モンバーバラへ行きたいと思っている人は居ない……

何なのこの冒険旅行は!?
見たかったパノンを見せて貰えず、やっと再会出来た彼氏は二股開始するし……しかも腹違いの姉とよ!
私にとって良い事何も無いじゃない!

「そ、そうだ……もしかしたらお母さんがモンバーバラに居るかも「ウルフは行った事あるんだよな……ビアンカは居た?」
「居ませんでしたよ。仮に今現在ビアンカさんがモンバーバラに居たとしたら、あれ程の美人だ……怪しい繁華街全開のモンバーバラから絶世の美女の噂が流れてくるはずです。でもそんな噂は聞いた事無い……つまりビアンカさんはモンバーバラに居ませんよ」

くそっ!
新しい女が出来てからウルフが私の我が儘に付き合わなくなった……
『そんなウルフは嫌い!』とか言っても『あっそ……じゃリューノとヨロシク励みます♡』って感じになってるのね!?
ムカツクわあの女! 絶対にウルフは独占させないんだからね!

マリーSIDE END



 
 

 
後書き
はい。パノンの出現はございません。
ファンの方、申し訳ありません。
マリーのパノンへの拘りは、この為の布石です。 
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