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ヘタリア大帝国

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TURN87 再編成の合間その五

「インド、東南アジア、オセアニアに」
「それにアラビアもだからな」
「極めて深刻です」
「わかってたけれどな」
 話を聞くとだとだ、イギリスは苦りきった顔になった。
「これはもうな」
「はい、その為戦力の再編成も」
「本国とアフリカだけだからな」
「戦力も四分の一になっています」
 国力の衰退がそのまま戦力の衰退にも直結していた。
「積極的な攻勢も難しいです」
「まずいなんてものじゃねえな」
「女王陛下、モンゴメリー閣下ともお話しますか」
「ああ、そうだな」
 今度の戦略も練り直そうというのだ、イギリスもロレンスのその提案に頷く。
「元々そのつもりだったけれどな」
「はい、では女王陛下の下へ」
 ロレンスはイギリスに言った、そのうえでだった。
 主な王族と提督、国家達がセーラの前に集った、セーラは長方形のテーブルの主の座に座りそのうえで一同に言った。
「祖国さんからの報告ですが」
「ああ、読んでくれたか」
「はい、四分の一ですか」
 こう言って溜息をつくのだった。
「予想していましたが」
「深刻ね」
 エルザもここで言う。エルザはセーラの右手の席、エイリスで先代女王が座る席にいてそのうえで言ったのだ。
「これは」
「はい、ですが」
「攻勢には出るのね」
「そうします」
 その通りだというのだ。
「そうしなければ」
「ソビエトやドクツとのこともあるから」
 外交としての問題もあった。
「攻勢に出ることjは約束したから」
「どちらも全く信用できませんが」
 イギリス妹がそのソビエトとドクツのことを話す。
「特にドクツは」
「ソビエトは自分達を絶対の正義だと考えています」
 ここでモンゴメリーも言う。
「そうした考えの持ち主は相手を裏切ることに躊躇しません」
「相手を悪と断じたらですね」
「そうです」
 モンゴメリーはカメルーンにもその通りだと答える。
「絶対の正義は独善です」
「そして独善の持ち主はですね」
「相手を裏切ることをその相手が悪とみなせば」
「躊躇しませんね」
「だから危険です」
 ソビエトはそうだった、そして。
 今のドクツについてはセーラが言った。
「私はヒムラー総統に会いましたが」
「あの人やばいぜ」
 イギリスも見抜いていた、ヒムラーのその本質を。
「一見するといつも笑ってるがな」
「はい、腹に一物あります」 
 そうした人物だというのだ。
「非常に腹黒く今回も間違いなく」
「漁夫の利狙ってるわね」
 エルザが指摘した。
「私達やソビエトを前面に立たせてね」
「自分達は楽してよね」
 マリーもドクツの真意は察した、彼女もそれだけの政治センスを持っているのだ。
 それでこう言ったのである。
「戦後の欧州の中心になろうって考えてるわね」
「そういう奴だな、あの兄さんは」
 イギリスも同じ見方であるから言う。
「全然信用できねえな」
「ソビエト以上に」
「それでもなんだな」
「はい、エイリスは約束は絶対に守ります」
 セーラの返答は毅然としていた。 
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