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とある碧空の暴風族(ストームライダー)

作者:七の名
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幕間
  Trick@03-2_俺の工場(ファクトリー)に


裏参話其ノ弐






一頻り会話が終わると、女子たちは一緒にお風呂へと入った。

一人暮らし用の部屋、その風呂場となればかなり狭い。

それでも美雪が一緒に入りたいと駄々を超えたので渋々ながら4人は入ることにした。

美雪の提案に一番喜んだのは白井(もちろん狙いは御坂)だが、美雪の純粋な目を
見たがために、自分の欲望に絶望して大人しく、御坂を視姦することすらなく
お風呂に入った。奇跡だ。


その間、信乃は夕食の準備をしていた。
だが、予想よりも5人の女子のお風呂時間が長くて調理を完了して一人暇を
持て余すことになった。

その間に小烏丸(こがらすまる)メンバーのA・T(エア・トレック)データを見て
今後の訓練内容を考えることにした。


・・・

・・




「気持ち良かった♪」

「そうだね、雪姉ちゃんと一緒に入るなんて久しぶりだし」

「お姉様、わたくしとでしたらいつでも一緒に入ってビリリリリッ!?

 お姉様の愛の鞭・・・・黒子は全部受け止めますの・・・・・(パタ)」

「まったく! あんたは!! 今日は大人しくしていたと思ったのにすぐこれ!?」

「落ち着いてくださいよ御坂さん。ん? どうしたの初春?

 なにか落ち込んでいるように見えるけど」

「美雪さんの胸・・・・・身長は私と同じぐらいなのになんで・・・・」

「水着撮影と同じように落ち込んでますのね初春。

 仕方ないですの。幼児体系の初春ですから」

「白井さ~~ん、ひどいです~(泣)」

「落ち込むことないわよ初春。私も似たようなもんだし」

「佐天さんはまだいいじゃないですか!!
 膨らんでいるんですよ! 女性の形をしているんですよ!!
 揉むことができるんですよ! 手のひらサイズは正義ですよ!!!

 私なんて・・・・私なんて・・・」

「絶壁、ですの。小学生と何も変わりありませんわ」

「白井さんだけには言われたくないです!!」

「あら初春、少しO★HA☆NA★死 をしましょう」

「・・・・・ねえ皆、忘れている?

 ここは信乃にーちゃんの部屋で、あそこに男がいるってことを/////」

「「「あ・・・///////」」」

お風呂場で女子タイムを満喫していたあまり、そういう事を忘れていた3人。

気付いていた美雪は恥ずかしくて途中から会話には参加せずにいた。

そして信乃からツンデレという名の羞恥心を教えられた御坂美琴だけが早急に
会話を打ち切る行動に出た。

顔を真っ赤にしてソファーに座っている信乃を見る5人。

だが信乃からは全く反応はなく、本ほどの大きさの端末から小烏丸の情報を見ていた。

「黒妻さんはパワータイプ・・・・ドントレスさんみたいな感じで・・・

 でも、走り(ラン)をもう少し鍛えてから道系統の練習を始めた方が・・・」

「なんだろう・・・

 入ってきたときに美雪さんが言っていた、女のプライドが粉砕するとか・・・
 分かる気がする」

「ありがとう佐天さん」

佐天の肩をガッチリ掴み、美雪はホロ泣きをしていた。

「佐天さんも雪姉ちゃんも落ち込まないで!!

 ほら! 信乃にーちゃんも何か言って!!」

(おれ)の前でそんな話はしないでね」

「全部聞いていたんかい!!? それなら反応してよね!!!」

「無視を通すほうが面白いと確信していたから(キリッ)」

「ドヤ顔で何言ってんのよ!? 面白いってだけで女子2人の心に傷をつけるな!!」

「なにを言っているの琴ちゃん? 俺はそういうキャラだよ?」

「そうだったねそうでしたね!! 表向きの顔が丁寧だから直ったと思ったら
 よりひどくなっているのは気のせいですか!?」

「気のせいだ。それにしても琴ちゃんのツッコミの技術が上がっているのは
 (ボケ)として嬉しい限りだよ」

「・・・・・もういいわよ・・・疲れたわ」

「えっと・・・」「・・・・」「・・・・なんですの今のは・・・」

「驚くのはしかたないよねみんな♪ あれが信乃の本当の姿です♪」

「普段の信乃にーちゃんが猫をかぶっているわけじゃないわよ。
 あれはあれで信乃にーちゃんに間違いない。昔と一緒よ。

 でも、プライベートで私達(かぞく)にはふざけた事をいうのよ!
 ほんの(たま)にしかふざけないくせに! 内容がイライラする!!」

「琴ちゃん落ちついて」

「誰のせいよ!?」

「琴ちゃんの反応の良さに少し調子に乗っちゃったな。
 ごめん、今から自重する」

悪びれもなく信乃は謝っていた。

「でも本当に前より嘘吐きがひどくなっている気がする。

 悪い意味でも良い意味でも」

「旅していたときに師匠にあったから。教え直してもらった」

「師匠って、姫母さんが『師匠』って呼んでいた
 個性があまりない男の人でしょ♪?」

「・・・・ひどい言いようだけど俺も同感だからスルーしておく。

 その師匠で当っているよ。小さい時も遊びに来てくれた時に習っていたけど、
 今度は間違いなく師弟関係として戯言を教えてもらったんだ」

「へ~♪」

「信乃さんとそのお母様が『師匠』とお呼びするぐらいですから、
 それほどすごい人なのでしょうね」

「いや、全然すごくはない」

『え???』

謙遜と言った雰囲気は一切ない。

信乃は人に対して過大も過小の評価もしない。それは5人も知っている。

だからそのような評価をする人を『師匠』と呼ぶのかを不思議に思った。

「・・・・ではなぜ弟子入りしてますの?」

「ん~、弟子入りは間違いないけど、
 どちらかと言えば師匠と呼んでいるだけとも言えるね。

 師匠を『師匠』と呼ぶ理由は2つ。

 1つ目は戯言の弟子入りをしたから。当然、師匠と呼ぶのは普通だな」

「「「戯言?」」」

美雪、御坂の2人を除いた3人が尋ねた。

「説明するのは難しいけど・・・簡単にいえば嘘のことだ。

 師匠は舌先三寸口八丁ってぐらいしゃべるのが得意なんだ。

 色々な事件に巻き込まれたことがあるけど、ほとんど口だけで
 解決している。

 逆にいえば戦わずして勝つ、または(しの)ぐ技術を師匠から学んだ」

「それで信乃さんは嘘をよく言うんですね」

「私達も頻繁に騙されちゃってますよね」

「嘘ではなく、≪戯言≫と言ってほしいね。
 戯言遣いの弟子を自称しているからね。

 2つ目の理由は・・・・実は師匠に弟子入りする前から師匠って呼んでいた。

 だから今も昔も、あの人への呼び方は≪師匠≫のまま」

「なんで師匠って呼んでたの? すごいとも思ってなかったのに」

「ぶっちゃけると・・・

 俺、あの人の本名知らない。
 母上が師匠って呼んでいたから同じように呼んでるだけ」

『はぁ?』

またしても5人がユニゾンした。

これは唯一、戯言遣いと面識がある美雪も始めて知る事実であった。

「・・・・姫母さんから聞いてないの♪?」

「母上も師匠の本名は知らないんだよ。
 一時的に師匠が母上の保護者にもなったことがあるらしいけど。

 まったく持って非常識極まりないよ、母上は。(自分の事は棚に上げてます)

 弟子入りした今も、分かっているのは苗字だけ。下の名前は依然不明のまま。

 苗字の方は『イチガイ』っていうんだ」

「それってつーちゃんと同じ! まさか!!」

「佐天さん正解、そのまさかだよ。

 師匠は位置外水の父親。
 つーちゃんと知り合ったのも師匠が関わっているんだ。

 ちなみにつーちゃんに師匠の本名を教えてって言ったことがあるけど
 ダメだった」

「謎・・・としか言いようがないわね」

「初春、調べられるかな? 小烏丸の一員としてつーちゃんの
 お父さんに会う機会があるかもしれないし!」

「ダメですよ佐天さん。面白半分でプライベートなことを調べようとしたら。

 それに学園都市の人ではなさそうですし、難しいと思いますよ」

実際は難しいどころか、≪政治力の世界≫の一家、壱外(いちがい)を調べるなど
一般人の初春では絶対に不可能であるのだが、信乃はそのことを言わなかった。

「さて、話し疲れたし夕食でも食べますか」

ピュキーン! と効果音が鳴ったような顔で御坂は信乃を凝視した。

「夕食!? 信乃にーちゃんが作ったの!?」

「う、うん・・」

今にも噛みつきそうな勢いで信乃に迫ってきた。

あまりの迫力に信乃も若干引いてきた。

「み、御坂さん、落ち着いてくださいよ。どうしたんですか?」

「信乃にーちゃんがご飯作ったのよ!? 落ち着いていられますか!?」

「信乃さん、そんなに料理が下手なんですか?」

「逆よ!!」

「琴ちゃん落ち着いて♪ その反応怒っているように聞こえるよ♪」

「部屋に来たばかりの時、料理好きだって御坂さんがいってなかったっけ?」

「信乃さんのご飯はそんなにおいしいのですか?」

「たしか水着撮影のときには珍味カレーを披露してましたね」

「あれは材料が悪かったから珍味になったのよ!
 むしろあの材料で食べられるもの作ったのよ、すごいしか思えないじゃない!

 今度は正真正銘の、普通の料理よ!!」

「そうですね。イチゴとか摩り下ろしトウモロコシからあの味は奇跡ですね。

 それなら期待しちゃいますよ」

「期待するのはいいけど覚悟した方がいいわよ。

 うちのお母さん、プライド壊されたから」

「「「え?」」」

何気なしに言った御坂の一言に3人は固まってしまった。

「旅から戻ってから更に上手くなっているから琴ちゃんも覚悟が必要かもね♪」

「大丈夫! すでにいろいろ諦めているから!!」

「それは女としてどうなんだよ琴ちゃん」

御坂家と仲の良い信乃は、当然御坂美琴の母である美鈴にも料理を出したことがある。

信乃の料理を食べた美鈴はおいしさに頬を緩ませ、そして母親という立場として
自分よりも料理が上手いことに複雑な顔をした。

同時に料理を食べた美琴が「お母さんよりおいしい!」と無邪気に言った言葉が
美鈴の致命傷となったのであった。

しかし今では御坂母子ともに信乃の料理を食べるときは女のプライドを放棄すると
決めているから問題ではない。

「てか、ひどい言いようだな。もう二度とご飯つくらねぇぞ?」

「「ごめんなさい!!♪♪」」

「・・・見事な土下座・・・

 さて、料理を盛り付けるか。3人共、食べるよね?」

信乃の言葉で3人は気付き、硬直から解放された。

「は、はい! 楽しみです!」

「そこまで言うのでしたら・・満足させてくださいですの」

「どうしよう・・・信乃さんの手料理は食べたいけど女のプライドが・・・」

純粋な初春、挑戦的な白井、恋する乙女の佐天が答えた。



そして一口目、3人のプライドは粉砕した。


ショックのまま無意識に2杯目に箸を進めた


自意識が戻ったときには3杯目を平らげた自分に気づいた。


そして再びショックを受けた、食べた量の多さに。
年頃の女の子にとっては食事量(カロリー)は大きな問題であった。


「あ、カロリーなら気にしなくていいぞ。
 低カロリー且つ栄養バランス考えたメニューだから。
 もちろんお米も特殊ブレンドで炭水化物も抑えてある」

(((お、お嫁さんに欲しい!!)))

と思いながら4杯目に進んだ。




結局5杯のご飯を食べ終えた3人。もう動けないと言った体勢で
満腹感に酔いしれていた。

そんな3人を残して御坂、美雪、信乃の3人は後片付けをしていた。
ちなみに御坂は何気なしに8杯完食、ぶっちぎりのトップだった。

「おいしかった~で~す~」

「ごちそうさまですわ。満足させていただきましたの」

「幸せ・・・・将来は主夫かな・・・ふふふ、私が稼がなきゃ」

「佐天さん、何を呟いているんですか?」

「ふふふ・・・」

「不気味です佐天さん! 戻ってきて下さい!!」

「はっ! 今の信乃さん聞いていた!?」

「? 信乃さんなら台所で食器を洗ってますけど・・・・」

「た、助かった」

「?」

「どうかした、佐天さん?」

「信乃さん!? なんでもないですなんでも!!」

丁度手を拭きながら台所から戻ってきた信乃に佐天は大きな声を出して否定した。

「それにしても良く食べましたね、4人とも。特に琴ちゃん」

「いやね~、お箸が止まんなくって」

「料理人、冥利に尽きるってことにしてやるよ。

 それじゃ、俺は隣の部屋に行くよ。5人でパジャマパーティー楽しんでね」

「ん? 隣って?」

「寮の隣の部屋。俺、二部屋借りているんだ」

「豪勢ですわね。なぜわざわざそんなことをしてますの?」

「行ってみればわかるよ♪」

「ん~、本当は見せたくないけど・・・いっか。

 案内しましょう、俺の工場(ファクトリー)に」






「すごい・・・・」

「・・・なにこれ」

「ここって今までいた部屋と同じ作りのはずでよね。雰囲気が全然違います」

初春同様、初めて見た4人は感嘆した。

部屋の隅々まで置かれているのは無数の工具と金属加工機器。

そして作業机の上にはまだ組み上がっていない機械 。

「A・T(エア・トレック)・・・・信乃さんが改造しているのは知っていたけど、
 ここまでの道具が必要だなんて大変ですね」

「改造どころか丸ごと作れそうですね」

「つくってるよ、丸ごと」

「・・・・本当ですか?」

「真剣と書いてルビは真剣(マジ)です」

「「あははは・・・・」」

例によって苦笑いを浮かべたのは白井と初春。

残りの美雪・御坂・佐天は揃って
「別に信乃ならそれぐらいはするでしょ」といった顔であった。

「あれ?」

気が付いたのは佐天だった。

工具だらけの部屋の中心になぜか何も置かれていない空間がある。

幅は1メートル四方。白い布が敷かれ、円や三角形などの図、
辛うじて文字だとは認識できる筆記体が書かれ、描かれていた。

「魔法陣みたいに見えるけど・・・」

「へ~。

 佐天さん、なんでそう思ったの?
 魔法とかオカルトから一番縁がない学園都市にいるのに」

学園都市の人間はオカルトを否定しやすい。

否定するゆえにオカルトの知識もあまり持ち合わせていないはずだ。

「私、弟がいるんですよ。一緒にゲームしたときに魔法使いのキャラが
 出してました。それに占いのサイトにも似たようなものをみました」

「なるほど」

「で、結局何で信乃にーちゃんの部屋にオカルトなものがあるの?」

「・・・・中国拳法の座禅修行で、特殊な場所で行うと集中力が桁外れに上がると
 言われている。

 そういったものに(あやか)って色々な模様が存在するらしいね」

「中国拳法といえば気孔ですもんね」

「そういえばこの前テレビでやっていた。気孔ってプラシーボ効果と似ているって。

 思い込みだけど、かなり効果があるって」

「気孔は非科学的ですがプラシーボ効果のような精神に働きかけるのでしたら
 集中力を上げるのには役に立つとも言えますの」

「A・Tのパーツって小さいから集中力必要そうですもんね!

 この気孔の図に座って信乃さんは座禅とかしてるんですか?」

「A・Tの組み立ては集中力が大事だよな。うん、集中力は大事」

「へー、やっぱり効果あるんだ! 私もやってみようかな?

 信乃さんとおそろい・・フフフ」

「ハイハイそこまでにしてくれ。女子は隣の部屋に戻って
 女子会でもやってろ。俺は眠いんだよ」

「全く眠そうに見えないんですけど、信乃にーちゃん?」

「うるせ、すぐに出て行け」

「わかりましたよーだ!

 みんな、こんな部屋なんてどうでもいいから早く行こう」

「待ってくださいよ御坂さん!」

「まぁ、わたくしもそれほど機械に興味があるわけではないですし」

「もうちょっと見ていたいけど・・・信乃さん明日ここに来ても「ダメ」
 ・・・ダメ?」

「ダメ。いくら小烏丸(なまか)の佐天さんでもあまり見せたくない」

「ぷ~! もういいですよーだ!」

佐天も頬を膨らませて出て行った。

4人は出て行った。

「信乃、私が気付いていないとでも思った♪?」

「・・・・何の事だ?」

片目を閉じて、肩をすくめておどけて返す。

「魔法陣の話だけど、信乃は一度も座禅に使っているとか
 集中力を上げるために使っているとか言っていないよね♪」

「ま、所詮戯言だけど」

信乃は一度として、魔法陣ではないと否定していない。

中国拳法の修行方法を紹介し、A・Tの組み立てには集中力が必要だと言っただけ。

ついでに言えば中国拳法も体験したわけではなく、旅の途中で話に聞いただけの事を
話したに過ぎない。

「ほら、最年長お前も行けよ」

「信乃、一人で寂しくない♪? 添い寝してあげる♪?」

「殴ってもいいですか?」

「冗談だよ♪」

信乃をからかって美雪は隣の部屋に戻って行った。

「・・・・魔法陣だと一発で分かるとは思わなかったな」

信乃は右手で図や文字が書かれた布に触れた。

佐天の言った魔法陣というのは正解である。

正確にいえば魔法陣ではなく錬成陣。

信乃が2つしか使えない魔術の内の一つ、錬金術。
それを補助する作用があるのかこの錬成陣であった。

A・Tのパーツは専用の物が多い。

A・Tが生産されていない現代で作り出すには相当な人脈(コネクション)
必要になる。また、パーツの材料も特殊で珍しいものが多い。材料そのものを
手に入れても、加工を他者に任せれば珍しい金属に引かれてワラワラと
金にしか興味が無い信用できない奴らが集まってくる。

だから信乃はA・Tの材料を金属の原石レベルから取り寄せ、後の加工は全て
錬金術を用いて自分の手で行っていた。

信乃の錬金術は、術速度が非常に遅いため戦闘に使う事が出来ない。

錬金術で罠にはめるため1メートルほど穴を作る、いわゆる落とし穴を
作るのでさえ30分も必要とする。

だが、錬金された物体の精度は高かった。

金属は純度が高ければよいという訳ではない。
ある程度の混じりものがある方が強度を増す金属がある。
最たる例が鋼だ。鉄の中に炭素を2%程含めることで強度が増す。

数量の不純物を均等に、適量に混ぜ合わせることは信乃の得意技であった。

そしてもう一つの魔術が解析魔術。

人間や物体の構造を把握する魔術。その把握能力により、A・Tの調律を行っている。

A・T全盛期では直接人間とA・Tの音を聞いて合わせることで調律をしていた。

信乃は諸事情により音を直接聞く方法を取らず、解析魔術を使って調律の代用をしている。

代用と言っても完全に調律した状態の90%以上、充分な結果をだすことができる。

錬金術でパーツを作り、解析魔術で調律をする。

すでに廃れたA・Tを信乃はこうして復活していた。

「さてと・・・・・怪我のせいで俺の音が色々ずれたし、調律をやり直しますか。
 まずは炎の玉璽(レガリア)からだな」

作業机に座り、A・Tをいじり始めるのであった。


つづく 
 

 
後書き
ごめんなさい。3話構成でしたが、手違いで1話分に2つ入っていました。
2つに分解します。 
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