八条学園怪異譚
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第四十話 開かずの間その一
第四十話 開かずの間
二人は狸達との宴の後数日は何もしなかった、そして二学期の始業式の後で二学期のはじまりのホームルームが終わり解散となってからだった。
彼女達の校舎の二階のトイレに入った、そしてすぐに花子さんを呼んだ。すると花子さんだけでなく扉から口裂け女とテケテケも来たのだった。
「あれっ、あんた達もなの」
「あんた達も出てくれたの」
「いや、さっきまで一緒に遊んでてね」
「昔のファミコンのゲームしてたのよ、視聴覚室で」
それで今も一緒にいるというのだ。
「だから来たけれど」
「何か悪かった?」
「いや、別にいいけど」
「別に邪魔とかは思わないから」
だからいいというのだ。
「それでだけれど」
「聞きたいことがあってね」
「次に行く場所のことよね」
トイレの掃除用具の扉を開けて出て来た花子さんが言う。
「そのことよね」
「そうなの、今度は高等部の普通科の体育館に行くけれど」
「あそこの倉庫にね」
「ああ、あそこね」
知っているという返答だった。
「あそこに行くのね」
「あっ、知ってるの倉庫のこと」
「そうなのね」
「知ってるわよ、この学園に何十年もいるのね」
花子さんは二人にこう返す。
「知らない筈がないでしょ」
「勿論あたしも知ってるよ」
「私もね」
口裂け女とテケテケも二人に話す。
「とはいっても中に入ったことはないけれどね」
「どういった場所かは知らないわよ」
二人共その場所の存在を知っているだけであった、その中がどういった状況になっているのかは全く知らなかった。
それでだ、テケテケが二人にアドバイスする内容はというと。
「このことは日下部さんがいいんじゃないかしら」
「日下部さん?」
「あの人になの」
「何か今回幽霊さん達の関連っぽいから」
だからだというのだ。
「まあそう思うだけだけれどね」
「じゃあ今夜は日下部さんのところに行ってね」
「それで聞いてくるわ」
「そうするといいわ、それじゃあだけれど」
テケテケは倉庫の話についてどうするかが決まってからだ、こう言うのだった。何故か楽しそうな笑顔になって。
「体育館の倉庫と聞いてね」
「倉庫って聞いて?」
「どういうの?」
「ほら、二人で入ってね」
こう言うのだった。
「男の子と女の子でって」
「ああ、そういうことね」
「こっそりっていうのね」
「そういうのは二人共興味あるの?」
「あまりそうしたお話は好きじゃないけれどね」
「私も」
二人はその顔を少し曇らせてテケテケに答えた、特に愛実はどうだろうという顔でテケテケに対して言った。
「というか体育館の倉庫でしょ」
「そうよ」
「埃多いでしょ」
言うのはこのことだった。
「特にマットが」
「中々鋭いわね」
「そうしたところでこっそり入ったら」
それこそだというのだ。
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