ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
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二部:絶世傾世イケメン美女青年期
五十八話:修道院へ
修道院に案内してくれるシスターのみなさんについて、移動しようとしましたが。
落下の恐怖と狭いタルに閉じ込められての漂流で消耗し、すっかり足腰が立たなくなって、マリアさんが砂浜に座り込んでしまいます。
先程のことが無ければ、これをきっかけとして芽生える恋もあるかもしれないので。
ヘンリーに、任せたいところですけれども。
役得とか言って、セクハラに及んでしまうようなヤツだと判明してしまったのでね!
中身はいい歳でも体は十代なんだから、仕方ない部分があるとは言ってもね!
そんな狼の前に、か弱く可憐な子羊を差し出すわけにはいかないんですよ!!
と、いうようなことを一瞬で考え終えて、ヘンリーがなんか言う前に、さっさとマリアさんを抱き上げます。
当然、お姫様抱っこで!
マリアさんがまた恥じらうように頬を赤らめますが、歩けないのはどうしようもない事実なので。
「すみません……ありがとうございます」
とか言いながら、少しでも私が動きやすいように、首に腕を回して掴まってくれます。
うむ、役得!
私もそれなりに消耗してるとは言え、ステータスの高さゆえに大して負担にはならないし!
女同士だから当然セクハラとか無いしね、なんというwin-win!
なんかヘンリーが、代わろうと言い出そうかやめようかみたいな感じでこっちに向けてる視線を感じますが、黙殺です。
ヘンリーも無さそうだがマリアさんを見ても完全に脈が無いので、もういい、渡さん。
手を出す前に好意が芽生えるようならば、それは考えるけれどもね!
と、考えているうちに修道院に到着し、部屋に通され。
客に使わせる部屋がいくつもあるわけじゃないので、ヘンリーも一緒の部屋ですが。
まあ、昨日まで普通に隣に寝てたわけだし、タルのような狭い閉鎖空間では無いし、人の目もあるし。
別に大丈夫だろうというか、大丈夫じゃなかったら返り討ち!
と決意を固め、マリアさんにキレイキレイした上でベッドに休ませます。
カッコつけたいときには不適切な名称なので、無詠唱で。
ふざけたいときとか気分を盛り上げたいときには、最適なんですけどね!
いいと思う!この名前!
ゲームでは荷物を持ってたからとか言って、着替える……というか、着替えさせられてるところですが。
子供時代の服が今さら着られるわけも無いし、このままでいるしかないか。
この露出の多い上にみすぼらしい奴隷の服で町に出るというのも躊躇われるものがあるので、できたらあとで、羽織れそうな布くらいは分けてもらうとして。
と、思っていると、シスターの一人が着替えの服と、体を拭くお湯を持ってきてくれました。
服は心の底からありがたいとは言え、お湯はキレイキレイがあるから、いらないと言えばいらないんですが。
「ありがとうございます。使わせていただきます」
折角なので、にっこり微笑んでお礼を言います。
キレイキレイで清潔にはなってもやはり、熱いお湯で体を拭いたりお風呂に入ったりするのも気持ちいいものだからね!
風呂なんていう贅沢品が無いのは、修道院なんだからまあ仕方ない。
早く町に行って、宿を取って。
お風呂に、入ろう!
と、このあとの行動を決定しながら、まずは弱ったマリアさんの顔とか腕とか、服から出てる部分を拭いてあげて。
さすがにヘンリーがいるので、服の下まではね!
必要に駆られてやってるわけでは無いから、追い出してまでするほどのことでも無いし。
ひと通り拭き上げて、今度は自分を拭き始めます。
と、なぜかヘンリーが挙動不審に。
「ヘンリー?どうしたの?」
「どうしたって、お前!目の前で何やってんだよ!」
「体を拭いてます」
「お前!少しは気にしろよ!お前は女で、俺は男なんだぞ!」
……ええー?
今さらじゃね?
脱いでるわけでは無いし。
先に、マリアさん拭いてたし。
まあマリアさんのほうは布団の陰で、ヘンリーには見えないようにやったけれども。
あと、セクハラしたあとでそんな純情っぽいこと言われても、反応に困るというか。
が、一応、何が不味かったのかは聞いておくか。
参考までに。
「脱ぐわけじゃないし、別にいいかと思ったんだけど。なんか、不味かった?」
「脱がなくても、そんなことしたらいろいろ見えるだろ!」
それも、今さらかと。
一応、下着とかは見えないように気を付けたし。
脇とか脚とかの際どいとこくらいなら、これまでも打ち合いとか組み手なんかの最中に、至近距離で散々見られてるわけで。
「心配しなくても、他の男性がいればしないよ。さすがに」
犯罪誘発というか、面倒なことになるのは目に見えてるからね!
よく知らない女性とかでも、失礼になるからしないし。
奴隷仲間のヘンリーとマリアさんしかいないから、したんだけど。
と言ってもマリアさんはいつの間にか寝てたので、実質ヘンリーだけだが。
「……そうか。…………なら、いい」
いいのか。
どんだけ考え無しだと思われてるんだ。
まあ、いいなら良かった。
ラインハットまでとは言えまだ少しは一緒にいるんだから、この程度のことでいちいち騒がれても困る。
「そんなことより、ヘンリーも拭いたら?気持ちいいよ。私たちが使ったあとで、悪いけど。キレイキレイのあとだから、そんなに汚くはないと思うけど。替えてもらってこようか?」
「……いいよ。そのままで」
と、私が絞り直して差し出した布を、ヘンリーが荒っぽくむしり取ります。
「じゃあ、悪いけど先に寝るね。さすがに、疲れた」
「おう」
「ヘンリーも、早く寝なよ。私より消耗してるはずだし。じゃ、おやすみ」
「ああ。おやすみ、ドーラ」
十年続けたこの挨拶もあと何回することになるのか、そろそろカウントダウンだなあ。
なんてことを思いながら十年ぶりのベッドに横になると、思ったよりかなり疲れてたようで。
あっという間に、眠りに落ちました。
翌朝。
ヘンリーに起こされました。
「おい。ドーラ。起きろ」
「はっ。もう、仕事?料理当番だっけ?」
ガバッと飛び起きる、私。
「寝惚けてんなよ。……つーか、寝起きなのに色気のカケラも無いな」
はっ、そうか。
もう、脱出したんだった。
そして色気ってなにそれ、おいしいの?
「寝起きでヘンリーに色気振り撒いてどうするのさ」
「そうだよな、お前はそういうヤツだよな。そんなことより、マリアさんだけど」
はっ!
まさか私が寝ているスキに、寝起きのマリアさんの色気に欲情した結果、私にもわけのわからない要求を
「これから洗礼受けるんだとよ。ドーラにも、できれば立ち会ってほしいとか」
なんてことは無いですか、そうですか。
ついでにフラグが立ったなんてことも、無いですね、そうですね。
「先に起きてたんだね、マリアさん。体力も無いし、弱ってたから、まだ寝てるかと思ってた」
「お前に庇われて、運ばれて、先に寝たんだから、そりゃ先にも起きるだろ」
「そうだけど。それを言うなら、ヘンリーはなんで私より先に起きてるの」
「俺は……、俺のことは、いいだろ」
そう言えば、なんか顔色が。
「……ヘンリー。もしかして、寝てない?」
「……横には、なった」
「言ってくれれば、ラリホーでもかけたのに……って、私が先に寝たからだね」
ラリホーは、覚えられました。
「とにかく。立ち会うなら、さっさと着替えろよ。俺は先に行ってるから」
「……わかった。すぐ行く」
コイツを寝かしつけるにしろ回復するにしろ、話はあとだね。
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