私立アインクラッド学園
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第二部 文化祭
第28.5話 かしましガールズトーク
前書き
ふぅ~
直葉話片付いた←
そろそろユイちゃん話やるべきかな?
「キリト君ってあざといよねー。可愛い女の子とは絶対に関わりを持つんだもん」
アインクラッド1の美人剣士・アスナ、アイドルビーストテイマー・シリカ、シルフの元気娘リーファは、アルヴヘイムでリズベットが開いた鍛冶屋«リズベット武具店»にて女子会を開いていた。
リズベットは溜め息を吐き、テーブルに頬杖をついて言う。
「それ、あんたが言っちゃうわけ? 生徒会美人副会長の«閃光»アスナさん」
「び、美人なんて……。そう言うリズこそ、«ツンデレ美少女鍛冶屋»って結構有名だよね」
「それ、すっごい不本意なんだけど」
「ですよね!」
シリカが激しく同意する。
「他の男性からの愛なんて、正直要らないんです……ちょっと怖いし! 欲しいのは、たった1人のイケメン黒髪剣士の心だけです……」
「おっ、言うねー。妹系シリカちゃん」
「でもあの人は、ちっともあたしをそういう対象として見てくれないんですよ。いつまで経っても妹なんです」
「それ、わかる!」
言ったのはリーファだ。
「シリカちゃんは、言っちゃえばまだ他人じゃないですか。でもあたしなんて、ずーっと本当の妹として暮らしてきたから余地もないんですよ!?」
リーファはテーブルに突っ伏し、「え~ん」と泣き声を上げる。リズベットがよしよし、とその頭を撫でた。
「しっかし大体鈍感すぎんのよ、あの男は。フラグ立てだって、ほんとは狙ってんじゃないのかしら」
「うーん……でも、天然だからこそ、なんとなく魅力があるんだと思うけどなあ」
リズベットの言葉にアスナが返答する。
「まあ……ちょっと鈍感すぎるとこは認めざるを得ないかも」
「お兄ちゃん……アインクラッドに入る前にも、恋愛したことなんて一度もなかったと思います」
「ま、まさか……もう彼女作る気ないとか!?」
「そ、そんなことはないと思いますけど……」
身を乗り出したアスナに、リーファは少し戸惑いながら首を振った。
「なんなんでしょうね……もしかしてキリトさん、異性には興味ない、いわゆるアレ系の方だとしたら……!?」
「……シリカ、キリトに限ってそりゃないわよ。だけど、かの有名な«閃光»のアスナにも揺らがないとは……なかなかの強者よねえ……」
リズベットは乙女らしからぬ盛大な溜め息を吐く。
「手っ取り早くキリト君に振り向いてもらうには……どうすればいいのかなあ」
「そういえばアスナって、キリトのこと«君»付けで呼ぶわよねぇ」
「だって、呼び捨てってなんだか抵抗があって……」
「呼び捨て……呼び……それよ、アスナ!」
リズベットはガタッと音を立てて立ち上がった。
「呼び方変えてみればいいのよ!」
「え……でもわたし、«キリト»なんてとても」
「キリトの本名ってなーんだ?」
「……桐ヶ谷和人くん。でも、今更«桐ヶ谷»なんて呼びたくないわよ。なんか親しみない感じするし」
「桐ヶ谷って言わなきゃいいじゃない」
「えっ……」
アスナは瞬時にその頬を赤く染めた。
「«かずと»って呼んでみりゃいいのよ」
アスナは数秒経ってから、こくりと頷いた。
──後に、この作戦は大成功に終わる。
「じ、じゃああたしは、«キリトお兄ちゃん»って呼んでみます!」
「お、お兄ちゃん!?」
リーファが素っ頓狂な声を上げる。
「はい! キリトさんはこれから、キリトお兄ちゃんです!」
シリカの言葉に、リーファは「なんだかなぁ」とボソボソ呟いた。
──と、店のベルが鳴った。
「あっ、お客様がいらっしゃったみたい。ちょっと行ってくるわね」
その客の姿を見て、アスナ達は驚愕した。
「キッ……キリト君!?」
「やあ、アスナ。あっ、シリカも……リーファも来てたのか」
キリトがシリカ達にひらひらと手を振る。
「──で」
キリトは首を傾げると、問うてきた。
「みんなで集まって……なんの話をしてたんだ?」
「えっ……な、なんでもないよ!?」
「そうか……文化祭のことだったら、俺も呼んでくれよな」
「う、うん!」
こうして、第一回«アルヴヘイム美少女女子会inリズベット武具店»は幕を閉じた。
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