久遠の神話
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第五十話 政府の判断その八
「その人は戦いを求め」
「僕達は戦いを止めることが目的だからこそ」
「はい、戦うことになります」
大石は言った。
「間違いなく」
「その場合ですけれど」
「彼は強いです」
「強いですか」
「工藤さん達のお話ですとたった一人で巨大な竜を倒しています」
カドモスの竜、それを倒したことだった。
「しかもその力は」
「何かまだわかっていませんね」
「それも気になりますし」
「強いことは間違いないですね」
「竜を一人で倒すことは容易ではありません」
これは大石も上城もだ。彼等にとって竜は怪物達の中でも最も手強い相手の一つであり一人では中々勝てない。
それで上城も言うのだった。
「僕も竜と戦ったことはありますけれど」
「どんな竜でした?」
「十メートル程度でした」
大きさはそれ位だったというのだ。
「翼があり空を飛ぶ竜でした」
「ワイバーン・・・・・・違いますね」
「多分ヘラクレスが戦ったやつです」
「そういえば十二の試練の中で出てきていますね」
大石は上城の話からヘラクレスの十二の試練を思い出して言った。
「リンドブルムだったでしょうか」
「そうした名前なんですか」
「そしてその竜とですね」
「闘ったことはあります」
「手強かったですね」
「はい、十メートルもありまして」
まずはその大きさだった。
「しかも空から襲い掛かってきて」
「手強いのも道理ですね」
「本当に強かったです」
「その竜の中でもです」
そのカドモスの竜は、というのだ。
「強烈な毒を持ち工藤さんと高橋さんでも二人がかりで向かうつもりでしたが」
「その竜を一人で倒したんですね」
「ですから相当な強さです」
「そうですか」
「剣はトゥーハンドソードとのことです」
このこともわかっていた。スペンサーが使う剣だ。
「かなり大きく重い剣です」
「重いんですね」
「それだけに威力はかなりですが」
だが重い、それ故にだというのだ。
「扱うことは難しいものです」
「けれどその人はその剣を」
「万全に使っている様です。剣技自体もです」
「凄腕ですか」
「用心して下さい」
大石の今の言葉は切実なものだった。
「これまでの相手の中でもとりわけ強い相手かも知れません」
「とりわけ、ですか」
「剣士の実力は伯仲しています」
様々な要因が重なりそうなっている。
「しかしその伯仲の中でもです」
「実力差ってありますよね」
「はい、そうです」
「多分これまでで一番強い剣士は権藤さんですね」
上城はこれまで手合わせした相手の中から述べた。
「あの人でしょうか」
「確かに彼は強いですね」
「はい」
「ですがまさかと思いますが」
「その権藤さんよりもですか」
「強いかも知れません」
こう上城に話す。
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