激突部活動!! バトルク☆LOVE
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二章 剣と拳のファーストアタック
「『えーッ!?なんですかそれー!!』」
剣刀館にミナトとサラのけたたましい大声が響く。
「びっくりするのは分かるけど本当のことなの。だから今週中に剣道部以外の部活動を見つけて試合しないと廃部になっちゃうわ」
あの部活動集会から一夜明けたこの日、B地区の高等部剣道部の一同はいつものように剣刀館にいた。
今日は日曜日だがこの剣道部は毎週土曜日を定休日とし、それ以外は基本的にこうやって練習しているのだ。
「ならてっとり早くどっか潰しちゃいましょう!私と小春さんの愛の巣がなくなるのは耐えられません!」
『そうっすよ!俺も先輩にお茶を入れる楽しみを奪われたくないっす!』
「お前らちょっとは部活に対する心配は言えんのか…」
彼女らの何とも自己中心的な主張に京介は思わずため息を漏らす。
まぁこれはいつものことと言えばそうなのだが、こんな非常事態の中でもそれを貫くのは呆れるのを通り越して感嘆に値する。
「昨日貰ったグループ分けの紙によると私達は『高等部グループの闘技』に分類されてるわ」
『・・・となると柔道や空手、少林寺拳法とか日本拳法のグループになるのか?』
「えぇ、それ以外にもレスリングや相撲、あと薙刀やフェンシング、弓道とかも同じグループね」
小春は熱心に用紙を見ながら返答している。
その表情はこのメンバーの中でも一層真剣味を帯びているように見える。
「薙刀とかフェンシングなら剣道とスタイル似てるから戦えるんじゃないですか?」
『確かに戦いやすいとは思うけど、どの部も名だたる如月学園の部活動。半端なレベルじゃないと思うわ…』
「むぅー…ではジャンル関係なく如月学園内で最も弱小な部活を潰しましょう!私と小春さんの…もとい剣道部の存続のためです!いやぁー仕方ないですよね!」
サラは汚れを知らないような純真無垢な笑顔で提案する。
彼女の腹黒さはきっと天性の才能なのだと思う。
「でもそんな部活を潰すのはどうも気が乗らないっす…」
『なに言ってるんですかミナト!そうでもしないとこっちが潰されるかもしれないんですよ!」
どうやらミナトはサラとは違いまともな良心というものがちゃんと備わってるようだ。
しかし現状ではサラの意見が一番筋が通ってるのも確かである。
「う~ん…どうしましょう。ちなみにだけどこのグループの中で1番弱い部活動は?」
『俺の知ってる範囲だとたぶん同じB地区の日本拳法部だろうな。部員はみんなヒョロヒョロのやつしかいないし、成績もこれといって残してなかったと思うぞ?」
日本拳法部はこの地区の端にある小さな集会場を借りてひっそりと活動している部活動だ。
部員も3人程しかおらず、この地区内では最弱と呼ぶのにふさわしい部活動である。
「B地区の日本拳法部っていったらたしか同好会から部活動になったんすよね?」
『あぁ、同好会の時は中庭とかで練習していたのをよく見かけたよ』
「そんな部活動と戦うの?流石に気が引けちゃうわ…」
彼らは人数が少ないからという理由でなかなか部活としての活動は認められなかったが、何度も何度も嘆願してようやく部活動として認証されたのだ。
普通の人なら多少なりとも躊躇するだろう。しかし
「世の中弱肉強食です!みなさんあまり乗り気じゃないようなので私が対戦を申し込んできてあげます!」
これは勇ましいというのか、デリカシーに欠けるというのか。
サラの中では殺る気満々といった感じだ。そしてこうなったサラは誰にも止められないということをこのメンバーはよく知っている。
「わかったサラ、じゃあ俺もついていく。…お前1人じゃ心配だからな…」
『なんですか京介さん、デレ期なんですか?やめてくださいキモいです』
「誰もお前を心配してねぇよ!!相手の心配してんだ!!」
サラ一人で行かせると「邪魔者は前もって排除します」とかいって日本拳法部のやつに多大な被害が出そうである。
「そうと決まれば明日の放課後にでも日本拳法部のとこ行くか」
『じゃあこの件は京ちゃんとサラさんにお任せするわ。それじゃ今日の稽古始めましょうか。しっかり練習してみんなでこの部活を守りましょう!』
「『おぉー!!』」
B地区剣道部は最後に一致団結の声をあげ普段以上に気合を入れた稽古に打ち込むのであった。
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