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私立アインクラッド学園

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第二部 文化祭
  第20話 再会

 
前書き
和人はアリスとユージオのことを忘れ、ユージオは和人のことを忘れた。

また、和人とアリス、ユージオの間に交流があったことも、誰しもが忘れていた──。



──てか神聖術すっげぇな!
そんなことできたっけ!?
……そんなツッコミやめろくださいね、わたしもちゃーんと気づいてますので。はい。(真顔 

 
 


「よし、歌詞が出来上がりましたよ! これ譜面です!」

 まりあはアスナに、作った曲の譜面と歌詞を渡した。曲名は『My independent destiny』。

「おおー! まりちゃんやるー」

 アスナは最近、まりあに『まりちゃん』なるあだ名をつけた。
 アスナが嬉しそうに歌詞を見ていく。何故だかその頬が赤く染まった。

「アスナ、俺にも見せてくれよ」
「やっ……嫌よ!」

 慌てたように譜面を隠された。

「な、なんで……」

 俺は何気にショックを受けた。

「だ、だって……」
「当日のお楽しみってやつですよ、キリト」
「そ、そうよ! まりちゃんの言う通り! 当日まで教えてあげないんだから」

 別に教えるくらいいつでもいいと思うのだが、口には出さないでおいた。

「……わかった。楽しみにしておくよ」
「う、うん……」

 だから、なんで赤くなるんだ。
 まりあは遠慮がちに譜面をもう2つ取り出すと言った。

「直葉ちゃんの歌だけ、2つあるんですけど……構わないですか?」
「え、なんでまた」

 俺が言うと、まりあは少し言いづらそうに説明した。

「直葉ちゃんには、あまりにも相反する2つの心があるようなんです。1つはアルヴヘイムでの楽しさなんですけど、もう1つは……その、この世界での苦しさやもどかしさと言いますか……」
「直葉に苦しさ、もどかしさ……? わ、わかった。今度本人に訊いてみるよ」
「お願いします」

 まりあは苦々しく微笑んだ。

 *

 昼休み。
 アインクラッドは全寮制で、無断外出禁止。その上その外出を許されることも、春休みや夏休み、冬休み以外は通常は滅多にない。
 ただ、それでは神経が参ってしまうということで、数年前学園内に色々な設備が整うようになった。
 たとえば花の丘。
 あと、«模擬街»なるものも設置されている。
 «模擬街»は名前通り«本当の街のような嘘の街»で、アスナやリズがよく遊びに行っている。その街の一角にはなかなか粋なカフェがあり、俺はここ2年間通い続けている。
 カフェの名は«ダイシー・カフェ»。
 経営しているのは、背の高い黒人男性アンドリュー・ギルバート・ミルズで、あだ名はエギル。
 俺はそのカフェの扉を勢いよく開いた。

「よっ、エギル」
「……キリト、そのあだ名呼びはなんとかならんのか」
「それはお互い様じゃないか」
「と言ってもだな、年齢が」
「はいはい、とりあえず麦茶頼むよ」

 エギルは「なんで麦茶なんだ」、「そこは水だろ」、「醤油出したろか」などキャラ崩壊寸前の言葉を口にしていたが、俺は聞こえないふりをした。

「……で? 最近新しいケーキが増えたとか聞いたんだけど」

 俺は言う最中、他の客──少年と目が合った。
 年はたぶん、だいたい同じくらい。亜麻色の柔らかそうな髪に、緑色の瞳。線の細い顔からは、どこか女性的な雰囲気が感じられた。
 ──どこかで会った気がする。

「……あ、君」

 少年は一瞬目を見開き、微笑んだ。

「あ、こないだの……」

 ──ようやく思い出した。
 こないだ廊下で衝突した相手だ。それでなんだか見覚えがあったのか、と一度納得したが、何故だかやはり違うような気がしてきた。
 もっと前に、出会って、同じ時を過ごしてきたような。傍にいることがしっくり来るような──そんな気がした。
 ──まあ、気のせいだろう。

「えっと……誰だっけ? 名前が出てこない……ごめんな」

 俺は頭を掻き回しながら言った。

「別に構わないよ、名乗ってなかったし。僕はユージオ、苗字はないんだ。よろしくね、桐ヶ谷和人くん」
「お、覚えててくれてるのか」
「まあね。なんでかな」

 ユージオと名乗った少年は首を傾げた。
 その後俺とユージオは色々な話をした。初対面なのに、やたらと馬が合ったのだ。
 俺は基本的に、人付き合いとか苦手なのだが。

「はは、面白いね君」
「お前こそ」

 ユージオは壁に掛かる時計を一瞥すると、立ち上がって言った。

「……っと、そろそろ校舎に向かわないと。授業に遅れちゃうよ」
「それなら心配ないさ」
「え、どうして?」

 俺は新作ケーキを頬張りながら返事をする。

「俺は本来、授業なんて最低限出てれば大丈夫な人だから」
「……成績がものすごく良いってこと? ちゃんと出席くらいしとかないと、留年とか……酷いと退学になっちゃうよ」
「それも大丈夫だって」
「え……もしかして君、«実技»優等生?」
「まあ、一応……」

 改めて口にするのは、自慢しているようで嫌だった。

「ぼ、僕もだよ。一応」
「え、君も?」
「うん。あのさ……よければ今度、一緒に討伐依頼でも受けようよ」

 俺も思っていたところだったので、なんだか嬉しかった。


 

  
 

 
後書き
明日奈「二話ぶりだっていうのに、またまたDEBAN少ないっていうね!約束通り、キリト君を呪っちゃいます☆」
和人「そんな約束、した覚えなんてないぞ!?」
ユージオ「た、大変だね……」


途中で出てきたアスナ曲の題名は、キャラソンから引用しております^^;

あ……愛さえあれば関係ないよねっ!

 
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