| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

久遠の神話

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十話 政府の判断その五

「白ブリーフとか」
「今時はいている人間はかなり少ないと思うが」
「ですよね」
「トランクスだ」
 彼の夏の下着は白いトランクスだというのだ。
「それかボクサーパンツだ」
「そういうのがあるんですか」
「夏の制服を見越して売店でも売られている」
「で、それを買ってはくんですね」
「そうだ。流石にブリーフはな」 
 工藤もそれについてはあからさまな拒否反応を見せて語る。
「俺もはくのは嫌だ」
「何かブリーフは」
「猥褻というかな」
「変にいやらしいんですよね」
「あのスナイパーもはいているがな」 
 何十年もの連載を誇る国際社会を舞台にした漫画だ。主人公は剃刀の様な目をしたアジア系の男で下着は白ブリーフなのだ。
 工藤はそのキャラクターの白ブリーフについてこう言い切った。
「変態味が強調されているな」
「また随分と言いますね」
「初登場のシーンを読んでそう思った」
 その白ブリーフ一枚で窓辺に悠然と立ち煙草を手にしていた、尚鍛えられた全身はムダ毛は一本もなく全身傷だらけだ。
「こいつは変態だとな」
「確かに。俺もあれは」
 高橋も言う。
「変態的だと思います」
「人の好みにはとやかく言わないがな」
「工藤さん的には変態に見えるからですね」
「はかない。一度興味本位で見たホモ漫画のサイトでもブリーフだった」
「ってそんなサイトも見たんですか」
「ネットスラングでよく見かけたからな」
 何故か多く出る、そして目についてしまうのだ。
 それで興味を持ってそのサイトを見てしまった、ネットの世界では実によくあることである。
「今では後悔している」
「そうでしょうね。そんなサイト見たら」
「ブリーフが怖くなった」 
 ただ嫌いなのではなかった。そこまで至ったというのだ。
「トラウマになった」
「ブリーフがですか」
「では考えてみろ。ブリーフ一枚の男の集団に囲まれて襲われたいか」
 工藤はある意味最悪の悪夢を話に出した。
「それもその男達は筋肉ムキムキで胸毛も脛毛もある」
「全然美しくないですね」
「尚且つだ」
 まだあった。
「頭は禿げていたり濃い髭がある」
「つまりガチホモですね」
 高橋はわかりやすく言った。
「それですよね」
「その通りだ」
「滅茶苦茶怖いですね。確かに」
「だから俺もだ」 
 高橋はまた言った。
「ブリーフが怖くなった」
「俺も確かにそういうのを見れば」
「怖くなるぞ。絶対にな」
「たまにあるんですよ。ホモの痴漢とか」
「そんなものがあるのか」
「ありますよ。同性愛者って日本じゃ普通ですから」
 宗教的、倫理的なタブーは確かにない。日本にあるのは好き嫌いである。同性愛についてはそれだけなのだ。
「ですから電車の中とかで」
「いるんだな、本当に」
「その趣味も色々で」
 高橋はそうした同性愛の痴漢について話していく。
「美少年以外にも年増専門とか」
「老人趣味か」
「そしてデブ専とか」
「恐ろしい話だな」
「本当に色々いますから」
「世の中怖いな」
「怖いですよ。俺もそうした趣味はないですから」 
 高橋も同性愛者ではない、あくまで女性だけだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧