バカとテストと召喚獣 吉井龍明の受難
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序章 ~出会い(さいかい)~
前書き
早く本編に行きたい・・・
マンションを飛び出してひたすらダッシュ!くわえた食パンを咀嚼するのも忘れない。
「アキ兄との話に夢中になっていたせいで遅刻するかも・・・」
いくら何でも入学初日から遅刻なんて洒落にならん。急がなくちゃ!
住宅街を縦横無尽に駆けて行く。物心ついた時から住んでるんだ。近道なんて幾らでも知ってる。
俺は学校までの道を出来うる限りの最短ルートで行く。ああ、せっかく雅と一緒に行く約束してたのにばっくれちゃった。あとで土下座して謝ろう。土下座なんて安いもんだ。…特に俺のは。
バカな事を考えつつやっと大通り近くの道へ。ああ。せっかくの制服が蜘蛛の巣やら草木で台無しだ。まあ、あんな狭い道じゃ仕様がないか。
大通りに出る前に制服を整えているとふと、俺の目にある少女の姿が映った。
(はぁ~可愛い子だな・・・)
思わず手を止めて見入ってしまう。それ程に彼女は可愛いかった。
俺と同い年だろうか?その割にはあどけない顔立ちをしているけど。でも何だか端から見てると大人っぽくて綺麗だ・・・
・・・髪を伸ばしているのかな?海の底よりも深い蒼色をしていて美麗という言葉が良く似合う。そして極めつけは
(胸・・・おっきいな・・・)
いや大きいなんて物じゃない。とてつもなくデカいと言うべきだろう。もしかしてあれアキ姉と同じ・・・とまで行かなくてもその手前ぐらいのサイズ、E位あるんじゃ?
などと女の子に見とれているとふと女の子が喋り始める。
「あの…カラスさん、お願いします!それを返して下さい!」
「・・・・・」
その女の子は電柱のカラスに向かって必死に叫んでいた。見ればちょっと涙目になっている。
「うう・・・困りました・・・入学式までもう間もないのに・・・」
「カァー!カァー!」
「ふあ!?」
カラスがいきなり叫びだし女の子に襲いかかったている・・・って冷静に分析してる場合じゃない!
「危ない!!!」
「え…?きゃあ!」
女の子を咄嗟に(軽く)突き飛ばしカラスを迎え撃つ。
「カアー!」
「痛…!ンニャロウ!」
「ガアー!」
チョップをお見舞いしてやった。するとヘロヘロしながらカラスは逃げて行った。ふう・・・ん?
「何だこれ?」
袖口に何かキラキラした物が。六角形の雪結晶の形をしていて裏に何かにくっつける為と思われるクリップが。
「あ、あのぅ・・・」
「へ?」
「あの、私永久野有栖と言います。先程は危ない所を助けて頂きありがとう御座います。えっと・・・」
「あ、俺は吉井龍明。龍明って呼んで」
「じゃあ私のこともアリスって呼んで下さい。・・・あ、それ」
彼女・・・アリスは俺の手、いや正確には俺の手が握っている髪飾りを見つめている。
「これ、君の?」
「・・・はい。大切な友達に貰った大切な物なんです」
どうやらアリスがカラスにこれを取られていたようだ。確かにそんな大事な物ならカラスにも立ち向かうよね。
「はいこれ。そんなに大事な物ならもう取られたり無くしたりしないであげてね」
「・・・はい!ありがとう御座います!」
俺に頭を下げてから髪飾りを頭に付けるアリス。
「どう・・・ですか?」
髪飾りを付けたアリスが正面から俺に向かい合う
その瞬間俺の中の古い記憶がフラッシュバックした。
『たっくん!こっちこっち!キャハハハ!』
『待ってよ○○○』
「!?」
・・・あれ?何だ、今の?
「?どうしました?」
不思議そうに俺を見つめるアリスがそこにいた。
俺がこの空虚感の正体を知るのはそれ程後では無かった。
これが。俺と永久野有栖の実に7年振りの再開だった事を知るのは約三日後。
後書き
さあ早く本編になれー!
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