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八条学園怪異譚

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第三十九話 狸囃子その一

                 第三十九話  狸囃子
 狐達との宴を楽しんだ愛実と聖花は今度は狸達がいる中等部に向かうことになった、そしてその前にだった。
 学園内の神社に入りそこで茉莉也の話を聞くことにした。二人は夏休みの部活が終わって昼食の後に神社に入った。
 茉莉也は神社の外を箒で掃除していた、見れば巫女姿だ。
 その巫女姿で掃除をしている彼女を見てだ、二人はまずは驚いた顔でこう言った。
「ええと、何ていうか」
「新鮮な光景よね」
「そうよね、先輩が真面目に掃除されてるなんて」
「巫女姿はよく見るけれど」
「巫女は掃除をするものよ」
 その茉莉也が箒を手に二人に返してきた。
「それで清めるものよ」
「いや、先輩がお掃除されてるのが」
「イメージになくて」
「毎日してるわよ」
「そうなんですか?」
「今回はじめて見ましたけれど」
「だから、私は巫女なのよ」
 それ故にだというのだ、茉莉也にしてもこのことは真剣に言う。
「巫女は清めるものだから」
「お掃除もちゃんとされてるんですか」
「それも毎日」
「そうよ、私だって飲んだり悪霊退治だけしてる訳じゃないのよ」
 こうした雑用と言われていることもしているというのだ。
「ちゃんとね」
「そうなんですね、先輩もやっぱり巫女なんですね」
「しっかりされてるんですね」
「そうよ、それでだけれど」
 このことを話してだ、そしてだった。
 茉莉也の方からだ、二人にこう問うた。
「それで今日は何で来たの?」
「今度は中等部に行くつもりで」
「それでお話を聞きたくてなんです」
「ああ、狸さん達のことね」
 茉莉也は中等部と聞いてすぐに事情を察して述べた。
「それでなのね」
「そうなんです、あそこだと狸さん達はどんな感じですか?」
「いつも通りですか?」
「いつも通りっていえばいつも通りね」
 茉莉也は掃除を中断して二人に話す。
「狐さん達と一緒よ」
「やっぱりそこで遊んでなんですか」
「そうなんですね」
「そうよ、一緒よ」
 こう二人に答える。
「その辺りはね」
「そうなんですか、一緒ですか」
「じゃあ狐さんの時みたいな感じでいけばいいんですね」
「いいわよ、ただね」
「ただ?」
「ただっていいますと?」
「狐は尻尾だけれど」 
 茉莉也もここでこの話をするのだった。
「狸は尻尾は増えないから」
「何か八畳敷きとか言われたんですけれど」
「それってどういうことですか?」
「って知らないのね」 
 茉莉也は二人の言葉に眉を曇らせ首を捻って言った。
「狸のことに」
「だからどういうことですか?」
「わからないですけれど」
 二人は困った顔になるばかりだった、そう言われても全くわからないのだ。
 そrでだ、首を捻って話すのだった。
「どういうことですか?」
「八条学園と関係ないですよね」
「漢字が違うわよ」
 同じ『じょう』という言葉でもだ、条と畳で違うというのだ。 
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