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万華鏡

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第三十八話 夏の巫女その九

「じゃあね」
「うん、明日にでもね」
 飲もうと話してだ、そしてだった。
 琴乃は身体の泡をシャワーで洗い落とした、そのうえで言うことは。
「それじゃあ交代ね」
「ええ、じゃあ次はね」
 景子が応える。
「私ね」
「うん、私もう髪の毛は洗ったから」
 それでだというのだ。
「景子ちゃんゆっくりしてね」
「有り難う、それじゃあね」
 こうした話をしてだった、五人は風呂で身体を清め。
 ラフなジャージ姿で景子の家の居間に入った、そこに入るとすぐにだった。
 景子の母、娘によく似た彼女が来てだ、こう笑顔で言って来た。
「じゃあ今からお素麺茹でるわね」
「あっ、私が茹でるから」
 景子はその母にすぐにこう言った。
「お母さんゆっくりして」
「駄目よ、景子ちゃんもうお風呂入ったでしょ」
「だからなの?」
「また汗かくでしょ、お母さん最後にお風呂入るから」
 だからだというのだ。
「ここはお母さんに任せてね」
「そうしていいの?」
「いいのよ。もうお湯は茹だってるし」
 既に茹だたせているというのだ。
「お素麺入れるだけだから」
「それだけなの」
「お素麺はすぐに出来るから」
 他の麺と比べてもだ、細いだけに。
「もうそこで待っててね」
「それじゃあ」
「お素麺食べる用意もね」
 そちらもだというのだ。
「出来てるから」
「おつゆも?」
「ええ、梅干も生姜もね」
 おつゆに入れるそういったものもだというのだ。
「って買ってるのそのままあるじゃない」
「あっ、そうね」
「お葱だけは刻んだから」
 それはだというのだ。
「そういったのだけ出してね」
「お箸とお碗ね」
「ええ、それで食べてね」
 こう話してそしてだった、五人はその素麺を食べる為のお箸やお碗は自分達で出した。勿論おつゆや葱もだ。
 そうしているうちに大きなガラスの容器に水や氷と一緒に入れられた素麺が来た、景子の母はそれを持ってきてから五人に行った。
「おかわりもあるわよ」
「えっ、おかわりもですか」
「あるんですか」
「一杯あるからね」
 だからだというのだ。
「遠慮なく食べてね」
「はい、じゃあ食べさせてもらいます」
「今から」
 景子以外の四人が応える、そしてだった。
 四人で実際に食べる、琴乃は素麺をおろし生姜と葱を入れたおつゆの中につけて一口飲んでからこう言った。
「これが三輪素麺なのね」
「どう?」
「美味しいわね」
 目を輝かせて景子に言う。
「こんな美味しいお素麺なんて」
「そうそうないでしょ」
「私はじめてかも」
 一口だけではない、つるつると食べながら言う。
「これだけ美味しいお素麺なんて」
「そうでしょ、三輪素麺って違うのよ」
「美味しいのね」
「そうなの、だからね」
 景子は琴乃だけでなく他の三人にも笑顔で話す。 
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