ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―
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旧校舎のディアボロス
第14話
前書き
今回で一章終了です。
是非見ていってください。
終わった。結末はどうであれこれで終わりだ。
「大丈夫か、イッセー?」
倒れそうになったイッセーを支える。
「体中が痛いわ。特に足が痛い」
「そうか、ファーストエイド」
回復魔法をかける。前と同じく、応急処置にしかならないが無いよりましだろう。
「お疲れ」
祐斗が俺たちの前に来た。どうやら下も終わったらしい。
祐斗も怪我はなさそうだが見た目はボロボロだ。
「おせぇよ。色男」
「ごめんね。部長に手を出すなって言われたんだ」
「部長に?」
祐斗の後ろに部長と朱乃さんが居た。
「そうよ。あなたたちなら、堕天使レイナーレを倒せると思ったもの」
部長たちも無事だったようだ。
「部長、どこから?」
「地下よ。私たちに向かってきた堕天使を消し飛ばした後、祐斗たちが居る場所に飛んだの。
教会の地下だったから緊張したわ」
どうやら、作戦は見事に嵌っていたようだ。
「部長たちが来てくれたおかげですぐに終わらすことが出来たよ」
あの神父たち、まるでゾンビか黒光りするアイツみたいだったからな。
接近戦をする二人だけじゃ、遅れは取らないが殲滅には時間がかかっただろう。
「あらあら、教会がボロボロですわね」
朱乃さんのその言葉に辺りを見渡す。確かにボロボロだ。
堕天使か神父が壊したであろう十字架や何かの像。
俺とフリードの銃撃戦の痕や、小猫が投げた長椅子。
極めつけはレイナーレを殴り飛ばしてできた大穴。
「ここが捨てられた教会でよかったわ」
「どうしてですか?」
イッセーが聞いてみた。
「どこかの所有する教会だったなら恨みと報復を受けていたかもしれないわね」
家を荒らされたようなものだ。頭に来ないわけがない。
イッセーは少し血の気が引いていた。恨みと報復という言葉に反応したのだろう。
「今回はあの堕天使が勝手に使っていただけだから大丈夫よ」
部長はイッセーに安心させるように言う。
「・・・部長、連れてきました」
姿の見えなかった小猫が聖堂の入口から現れた。レイナーレを引きずって。
「ありがとう、小猫。朱乃、起こしてあげて」
「はい、部長」
朱乃さんは返事をすると手をかざし水を作り出しレイナーレに被せる。
「ゴホッ!ゴホッ!」
レイナーレがせき込みながら目を覚ましたようだ。
「御機嫌よう。堕天使レイナーレ」
「・・・グレモリー一族の娘か・・・」
「リアス・グレモリーよ。短い間だけどお見知りおきを」
「貴様がここにいるということはまさか・・・」
部長の名前を聞くとレイナーレの顔が引きつっていく。
「ええ、あなたが足止めによこした堕天使は私が消し飛ばしたわ」
「嘘よ!!」
レイナーレはひどく狼狽する。それを見た部長は三枚の黒い羽を取り出した。
「堕天使ドーナシーク、カラワーナ、ミルテット。これを見ればあなたならわかるでしょう?」
レイナーレはその羽を信じられないものを見る目で見ている。
どうやらその羽はその3人の堕天使のもののようだ。俺にはすべて同じにしか見えないが同じ堕天使であるレイナーレには違いが判るのだろう。
「部長は若い悪魔じゃ天才と呼ばれるほどの実力があるんだ」
「その一撃はどんなものでも消し飛ばす。滅亡の力を持つ侯爵家のご令嬢。別名『紅髪の滅殺姫』と呼ばれていますわ」
怖い二つ名だ。バイサーの時消し飛ばしたように見えたが、消し飛ばすほどの力ではなく消し飛ばす力だったわけだ。
二人の説明を聞いていた時。部長はイッセーの籠手を見て驚いていた。
「・・・赤い竜の紋様。そういうことね。堕天使レイナーレ。あなたの最大の敗因はイッセーの神器を見誤ってたことね」
「なに?」
部長の言葉にレイナーレは怪訝そうに見る。
「『赤龍帝の籠手』。これが。イッセーに宿る神器よ。名前くらいなら聞いたことあるでしょう?」
「・・・『赤龍帝の籠手』!!『神滅具』の一つ・・・!!」
『赤龍帝の籠手』は聞いたことがないが『神滅具』なら知っている。神や魔王すら滅ぼすことのできる13種類ある神器だ。
イッセーが宿しているのはその一つなのだろう。
「伝承通りなら、十秒ごとに力を倍加させる力を持つ神器。力を高めていけば上級悪魔や堕天使幹部。果てには神すら屠れるわ」
なんて力だ。十秒ごとという制約があるものの、時間をかければ、たとえば1分間溜めれば元の100倍を超える力がでることになる。だが
「強力だがリスクがあるな。普通なら時間をかけるなんてことをしないだろうし、相手がそれを知っていたらなおのことだ。今回は慢心してくれていたのが良かった」
「うっ!」
慢心されると困るので釘は刺しておく。
仮に今の俺とイッセーが本気で戦ったら悪いが負ける気はしない。
倍加される前に決着をつけれる。動きも読めるというのもあるが。
「でも、面白いわ。さすが私の下僕くん。もっともっと可愛がってあげるわ」
「・・・すみません。部長、ここまでしてくれたのにアーシアを助けれなくて・・・」
「イッセーのせいじゃないわ。もともと私がこの地に堕天使を自由にさせていたのが悪いの。それにイッセーはまだ悪魔になったばかり。これから皆で強くなって行きましょう」
「はい」
「じゃあ、最後のお務めを果たしましょうか」
そういうと部長はレイナーレに向き直る。
「堕天使レイナーレ、あなたを消し飛ばしてあげる。もちろん、彼女の神器は返してもらうわ」
「じょ、冗談じゃないわ!この力はアザゼル様とシェムハザ様に・・・」
「愛に生きるのもいいわね。でもあなたの愛は薄汚れている。私はそれを許せない」
部長の手に魔力が籠る。一撃で消し飛ばす気だろう。
そこに
「俺様、参上!」
イッセーが空けた大穴からフリードが現れた。
祐斗から受けた傷は処置をしたのか、血は流れていないようだ。
「ありゃりゃ、俺の上司様ダイピンチってやつですかい?」
まさか、こいつ。レイナーレを助けに来たのか?
「フリード!!私を助けなさい!!」
レイナーレはすぐにフリードに命令をする。
「んー、お生憎様。おれっちも満身創痍なわけでして。あなた様を助けれる余裕なんてないでござんす」
なら、何しに戻ってきたんだ?助けるつもりがないなら戻ってくる必要はない。
ましてや、戦えないのに戻ってくるなんて。
俺の思考を読んだかのようにフリードが答える。
「おれっちが戻ってきたのは宣戦布告のためざんす。
そこの騎士と魔法使い。祐斗と朔夜って言ったか。おめでとう!オタクら俺の殺したいランキングトップ5にランクイン!
てなわけで、次あった時はロマンチックな殺し合いをしようぜ?」
「なら今すぐ始めよう」
俺はすぐさまに魔法を放つ。
あいにく俺はそんな物騒な奴を野放しにしておくような人間じゃない。
体力的にはきついが、法力は『源力の湧泉』があるのでまだまだ余裕がある。
だから今ここで押さえておこう。
「アハハ、ほんといいねぇ。だけどおれはもう限界なんでトンずらさせてもらいます!じゃあ、バイチャ!!」
魔法を躱しいちもくさに逃げて行った。追いたいところだがあの手の輩がただで戻ってくるわけがない。
何かしら仕掛けてあると思ったため、追うことはしなかった。
「部下にも見捨てられるなんて哀れね」
レイナーレは震えている。そして、その眼はイッセーを捕らえると媚びる表情をした。
「イッセー君!私を助けて!!」
レイナーレは天野だった時の声色でイッセーに言う。
やめろ。
「この悪魔が私を殺そうとしているの!」
レイナーレは言葉を続ける。
だまれ。
「一緒にこの悪魔を殺しましょう!!」
堕天使はさらに言葉を続ける。
・・・
「私あなたのことが―――」
「もうしゃべるな」
俺は銃口を向け撃鉄を起こす。
もう限界だ。これ以上イッセーの心を踏み荒らすな。
イッセーも限界だったのだろう。後ろを向いて俺たちに言う。
「グッバイ、俺の初恋。朔夜、部長。お願いします・・・」
その言葉に俺は引き金を引き、部長は魔力を放つ。
「消えろ」
「私の下僕に言い寄るな」
バンッ!
ドンッ!
銃声と爆発音が同時に鳴り響き、堕天使は消え、床には黒い羽が舞っていた。
◇◆◇
そして、堕天使が居た場所には緑の光を放つ指輪があった。アーシアの神器だ。
部長はそれをそれを両手で受け止める。
「これをアーシアに返しましょう」
「でも、アーシアはもう・・・」
そう、もう遅い。アーシアは死んでしまっている。
俺たちが間に合わなかったばっかりに堕天使に神器を抜かれた。
神器は魂と結びついている。それを抜かれるというのは魂を引き裂かれるようなもの。
肉体の一部を切り裂かれても治療すれば助かる場合もあるが、魂ではそうはいかない。
故に死んでしまう。
教授曰く、死なないように抜くすべもあるそうだが、膨大な時間に魔力、高度な技術が必要とも聞いた。
そんなことを思い出したところで無意味だ。もう死んでしまっているのだから。
「これ、何かわかるかしら?」
そういうと部長は俺たちにチェスのビショップの駒を見せる。
これはもしかして、『僧侶』の悪魔の駒だろうか。
「アーシアを『僧侶』として悪魔に転生させるわ」
「え?」
イッセーが声を上げる。
「イッセーには説明が遅れたけど。『悪魔の駒』には実際のチェスと同じ『兵士』が8つ。『騎士』が2つ。『僧侶』が2つ。『戦車』2つ。『女王』が1つの計15つの駒が『王』に与えられるの。『僧侶』の一つは使てしまっているけどもう一つあるわ」
そういうと部長はアーシアの神器を彼女の指にはめ、『僧侶』の駒を持たせる。
「我、リアス・グレモリーの名において命ず。汝、アーシア・アルジェントよ。今再び我が下僕となるため、この地へ魂を帰還させ、悪魔と成れ。汝、我が『僧侶』として、新たな生に歓喜せよ!」
部長が唱えると『僧侶』の駒は赤い光を放ち彼女の中に入り、『聖母の微笑み』も緑の光を放ち彼女の中に入っていった。
少しして、アーシアの瞼が動き出した。
それを見てイッセーがアーシアのもとに駆け寄る。
「・・・あれ?」
そうアーシアが声を出す。
本当に生き返った。実際に見ても信じられない光景だ。
でも本当の事だ。
「イッセー。あなたが面倒見なさい。あなたは先輩悪魔なのだから」
部長はそうイッセーに声をかける。
俺は部長のもとに行く。
「部長。ありがとうございます」
そうお礼を言い頭を下げる。
「ええ、あなたもフォローお願いね」
「はい」
そして俺たちはイッセー達を見る。
イッセーはアーシアを強く抱きしめていた。
「・・・イッセーさん?」
「帰ろう。アーシア」
◇◆◇
翌日の早朝、部活で朝練をしている生徒並みに早い時間に俺たちは登校していた。
「昨日は疲れた」
俺はそうもらす。本当に疲れた。昨日は気にしなかったのだが、朝になって疲れが来た。
「はは、そうだね」
「・・・それだけの価値があったと思います」
小猫の言う通りだ。あの後、説明を聞いたアーシアは少し落ち込んだ表情をしたものの、俺たちと一緒に居られることの方が嬉しかったのかすぐに表情を戻した。
あの笑顔を見れたんだ。それだけの価値がある。
「そういえば、昨日聞きそびれたんだけど。あの銃弾は?」
「・・・私も気になります」
堕天使に放った銃弾だろう。イッセーの神器の事やアーシアの転生で色々あって聞かれてなかった。
「あれは、魔弾だな。お約束だが教授特製。
基本、アンコールに弾を込める必要はないが機構は既存の銃と同じだ。だから普通の銃弾も放つことが出来る。
そして、弾にも細工をしたのがあの魔弾。種類はあるがあれは威力重視のものだ。」
「ものすごい威力だったね」
「・・・翼が消し飛んでいました」
「あー。あれは俺も想定外だった。本当なら翼の根本を打ち貫いて片翼を離すつもりだったんだ」
まさか、片方の翼がきれいになくなるとは。
「・・・じゃあ、なんで?」
「ここからは仮説だが、俺の神器だと思う」
「君の神器は法力を溜めるものなんだろう?どうして威力が上がったんだい?」
「俺はあの時、神器の方から法力を送ったんだ。前の戦闘で俺自身の法力が減っていたから。
ただ、切れていたから調節なんてせずに適当に法力を銃に送ったんだ。一瞬にしてな」
「あれだけの量を一瞬にかい?」
「おそらく」
普通ならホースから出る水と同じく一度に出る量が決まっている。それ以上の量を放つならバケツに水を入れるように溜めないといけない。
だけど俺はその動作をしなかった。俺自身あの量を一度には出せない。だから神器の力だと思った。
「・・・つまり、力に物を言わせたわけですね」
「そうなる。まぁ、これはまだ仮説だから今後検証していくつもりだ」
この話はまとまったので気になっていたことを聞く。
「そういえばイッセーの駒の価値って聞いてるか?」
チェスの駒には価値が存在している『ポーン』一つを基準に。『ナイト』と『ビショップ』が3つ分。『ルーク』が5つ分。『クィーン』が9つ分だ。
『悪魔の駒』にもこの基準が採用されており、転生者がこの価値を上回る場合駒が複数必要となるらしい。
『神滅具』を宿すイッセーだ。十分価値は高いと思われるが。
「『兵士』8つだって」
「8つ・・・」
イッセー一人で『兵士』すべて使っていることになる。価値で言えば『女王』に次いで高い。
「イッセーは大変だな。要は8人分の働きをしなければいけないのだから」
「そうだね」
「・・・しっかり働いてもらいましょう」
戦闘なら神器の力で働けるが普段は大丈夫だろうか。いまだ前代未聞の契約数0件、しかし評価が高いを継続中なんだが。
「まぁ、今はその話は置いておこうよ。せっかくの歓迎会なんだしね」
「そうだな。新人もできたことだしアイツも気合が入るだろうからな」
「・・・部長のケーキ、楽しみです」
「アーシアさん、駒王学園に来るそうだよ。君たちのクラスさ」
「そうなのか?なら、フォローしないとな」
「・・・朔夜先輩はフォローばっかりです」
「・・・10年間もアイツのフォローばっかりしていたからか、こんな性格になったんだ」
そんな会話をしながら部室に到着した。俺たちは挨拶しながら部屋に入る。
そこには制服姿のアーシアが居た。
「おはようございます。みなさん!」
もう、大丈夫そうだ。イッセーの怪我もアーシアに治療してもらったため完治している。
「あらあら、みなさんもうお揃いですか」
朱乃さんがケーキを運んできた。
「さて、歓迎会を始めましょう」
その言葉で歓迎会は始まり、登校時間になるまでみんなで騒いだ。
後書き
次は設定+αを上げます。
出来上がり次第すぐに上げると思うので待っていてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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