皇太子殿下はご機嫌ななめ
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第2話 「認めたくないものだな。自分の若さゆえの過ちというものを」
前書き
戦艦も欲しいと思う今日この頃。
第2話 「やっちまった」
ここのところ毎日、ブラウンシュバイク公爵やリッテンハイム侯爵が顔を見せにやってくる。見るたびに顔色が悪くなってきた。
あいつらもあいつらで色々現状を調べているのだろう。
ざま~みろってんだ。
士官学校を卒業した俺はノイエ・サンスーシで執務を行っている。なんでこうなった。宇宙に行きたかったのに。ザ○だって乗りたかった。
専用機も出来てるというのに、俺のクシ○トリアぁぁぁぁ。帝国の白い悪魔と呼ばれたかったんだ。白い機体じゃないけど、イゼルローンの悪夢でもいいぞ。
ちっ、あの爺が余計な事を言いやがったからだ。
リヒテンラーデ侯クラウス。やつが俺を地上に縛りつけようと画策したのだ。重力に魂を引かれている爺がっ。
親父も親父で、好きにさせてやれといっときながらも、リヒテンラーデの言うなりになりやがるし。なんていうか、ちょーむかつくーってやつ?
まあそれはさておき、ちょっと近況報告。
原作ブレイクしているとはいえ、ちょっち気になってラインハルトの事を調べようとして、まずはキルヒアイスの実家を調べさせた。
お隣さんだからな。場所はすぐに分かったのだが……。
その後がいけない。
いけないのだ。
また同じ事をしでかしてしまった。
原作ブレイク再び。
お忍びでラインハルトの顔を見に行ったさい、アンネローゼを見て、
「ほー結構美人だな」
と言ったのが悪かったぁー。
アンネローゼは親父のところではなくて、俺のところにやってきてしまったのだ。
ザ○の時と同じじゃねえか。
なんも考えてなかった。不用意な一言がどんな結末を迎えるのか、ザ○の時に学んだはずだろ。俺ってやつぁ~どうしてこうなんだ。
そしてラインハルトのあの目。
対象が親父じゃなくて、俺になったんだなー。
がっでむ。さのばびっち。ふぁっくゆー。
ぶっちゃけていえば、アンネローゼは好みではないんだ。どっちかというとフレデリカ・グリーンヒルとかエヴァの方が好みだ。ヒルダはラインハルトにあげよう。引き取ってくれるとありがたい。
寝取りも寝取られも興味はねえ。
その上俺はまだ嫁さんもいないんだぜ。嫁さんいないのに、寵妃はいるってどういう状況だよ。本妻いないで愛人ばっか。ろくなもんじゃねえ。
八つ当たりと分かってはいるがっ!!
腹立つからラインハルトをホモ野郎にくれてやって、調教してやろうか? ついでに赤毛もセットでくれてやる。ふたりまとめてくれてやるわっ!!
私は一向にかまわんっ!!
誰かラインハルトを調教したいと思う者を募集するぞ。
我こそは、と思う者はぜひ応募してくれ。
宛先はこちら……。
なんて一人芝居をしてたら、リヒテンラーデの爺がやってきて、ばっちり見られてしまった。
あの呆れたような目。
ちょーむかつくー。
■ノイエ・サンスーシ 皇太子の間 リヒテンラーデ候クラウス■
ルードヴィヒ皇太子殿下がまた奇矯な行動をなされている。
この方を見ていると人というものは、二面性を持つものなのだと思わされるのだ。
門閥貴族の雄であるブラウンシュバイク公爵家。リッテンハイム侯爵家。そのどちらも自主的に税制改革に乗り出したという。貴族の有識者のみならず、平民たちとも意見を交し合っているらしい。
その噂は帝国全土にと広がり、貴族達は渋々と、平民達は好意的に受け止めている。
貴族達が皇太子殿下を恐れ多くも何とかしようと思っても、ブラウンシュバイク家やリッテンハイム家がそれを許すまい。殿下とのあいだにどのような会話があったのかまでは知らぬが、帝国は変わろうとし始めている。
いうなれば、平民達の誰か何とかしてくれという思いを、皇太子殿下が受け止めたのであろう。
名君の器だ。
だが同時に妙に子どもっぽい部分もおありになる。
汎用人型機動兵器がそれだ。
ザ○とか言っておられたが、皇太子殿下を乗せるわけには行かぬであろう。
皇太子殿下がいなくなれば、改革は頓挫するのだ。暗く澱み、停滞し続けていた帝国にようやく、明るい希望が見え始めているというのに。平民達の不満も爆発するやも知れぬ。認めるわけにはいかぬな。
それにしても“帝国の白い悪魔”や“イゼルローンの悪夢”などと、どこからそのような呼び名をかんがえているのやら……。あのお方は、ご自身が皆の希望を一身に背負っているという自覚に乏しいのだ。まったくもって困ったお方だ。
■幼年学校 ラインハルト・フォン・ミューゼル■
姉さんが後宮に連れて行かれた。
さるやんごとなきお方の下へと向かうらしい。その相手というのが皇太子だそうだ。
ここのところ帝国を改革しようとしているらしいが、やはり皇太子も腐りきった貴族どもと同じだったのだ。
何がこれからは良くなるよ、だ!!
皇太子などに何ができる。
やつも腐りきっている貴族だ。必ず姉さんを取り戻してみせる。
■皇太子の間 ルードヴィヒ・ゴールデンバウム■
ふと背筋に怖気が走った。
誰かの恨みが俺の元へとやってきているらしい。
ふむ。ラインハルトだな。
いい度胸だ。俺に喧嘩を売ったことを後悔させてやるぜ。俺は親父みたいに甘くはないし、優遇もしてやらんからな。欲しければうぬが力で時代を創るが良いわぁー。
俺の嫌がらせから逃れる事ができるのであればなぁー。
けっけっけ。
まあ冗談はこれぐらいにして、ベーネミュンデ侯爵夫人に子どもができたらしい。
俺の回りでもその話題が聞こえている。
原作どおり、毒殺しようかとも思ったが、やめておく。甘いといわれようとも、ガキを殺すのは嫌だ。生まれてくるのが男か女かは知らんし、知りたくもない。
男で帝位が欲しければ、くれてやる。こんな崩壊寸前の帝位で良ければな。
俺ならやるといわれても、欲しくはない。
でも俺は皇帝の息子に生まれちゃったからなー。しょうがねえよなー。皇太子だしなー。
生まれてくる赤ん坊は神様が、まだ人間を見捨てていないというメッセージを携えてくるという。あれの子どもが大きくなる頃には、もう少しマシな帝国を遺してやれるだろう。
そっからはお前が何とかしろと、押し付けてやろう。早く大きくなれよー。
そして俺はお気楽な生活を満喫してやるぜ。ビバ、酒池肉林。
夢は広がる。空高く。
生まれてくるのを待ってます。
祝電を打ってやろうかと思ったが、爺に止められてしまった。
「乱を起こすような真似はおやめ下さい」
だとー。本気で祝福してるんだがな。
誰も俺の事を分かっちゃくれない。さーびーしーなー。くっすん。
ところで原作組じゃないが、ザ○のパイロットに面白い連中が集まってきた。
アルトゥル・フォン・キルシュバオム少尉を筆頭に、
ミヒャエル・ヴルツェル少尉。
グスタフ・シュタム少尉。
ユリウス・ツヴァイク少尉。
ヨハン・ブラット少尉の計五名だ。
士官学校のザ○パイロット一期生だ。こいつらにはまずイゼルローンに行って貰おうと思っている。そこでザ○の運用に関して研究をしてもらう事になっているのだ。
まあ最初はワルキューレにおんぶにだっこだろうがな。
使い物になってくれれば良いんだが……。
俺もイゼルローンに行ってみたい。というかやはり一度ぐらいは、行かねばならんと本気で思っている。皇太子として艦を率いていかねばならなくなるだろうし、皇太子親征をせねばなるまい。
そしてまたもや近況報告。
MSのデザインをいくつか、いやかなり出してやっていた。まあその中の試作品ができたというので見に行ったら……。
よりによってジ○ング。
しかも足の絵まで描いていたというのにっ。
「足なんか飾りですよ。偉い人にはそれが分からんのです」
と言いやがった。
お前も転生者かぁー。
思わず殴り飛ばした俺は悪くないと思う。
そのあとでアプサラスなんかどうだ? と聞く俺も大概だと思う今日この頃、まる。
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