魔法少女リリカルなのは~その者の行く末は…………~
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Chapter-3 Third Story~Originally , meeting of those who that you meet does not come ture~
number-22 The beginning of the name of time slip
前書き
タイムスリップという名の始まり。
この場合は、三桜燐夜。
光と闇。
この相反する二つの言葉を聞いて何を思うだろうか。
まずは光。
光はあたりを照らしてくれるものや、眩しいものという捉え方もできる。ある宗教を信仰していたりすると光は聖なるものであるという捉え方もある。
半面、闇はどうか。
暗いもの。何も見えなくて、一人でいると孤独になってしまうもの。光と同じようにある宗教を信仰していれば、邪悪なる者、悪であるという捉え方だって出来る。
性善説や性悪説も捉えようによっては全く違うものになる。
では、聖なるものと聞いて何を思い浮かべるだろうか。――――天使? 神様?
それは人によって違うものである。
……話は少々ずれてしまうが、一般的な二次創作に今となっては当たり前となった神様転生というものがある。
その中では神様は、真っ白で何もない空間の中にいるとよく解釈されている。それで、転生特典というものをテンプレート的に受け取り、そして送り出されるときにどういう手段を用いられるか。
一概にそうとは言えないが、穴に落とされるという手段が最もオーソドックスなものだと思われる。しかしそれは、闇の行為ではないのか。
穴というのは、暗闇を一番に連想されるものだと思う。穴とは世間一般的に暗いものだ。
真っ白な空間にいる神様が真っ暗な穴の中に落とす。何とも矛盾した行動なのだろうか。それでは、目を瞑るという行為はどうなのか。
あれも目を瞑ると真っ暗になる。正しくは薄らと光が入る程度だ。
……もうやめよう。これ以上やるときりが無い。
そんな逃避から抜け出して、本題を。
「どうして、俺と瓜二つなんだ……?」
公園で寝て、起きて家に帰ろうとしたら目の前で立ち塞がれた。そして、その立ち塞いだ人物が三桜燐夜であるのだ。
しかも、公園で少しの間だけ寝ていたはずなのに、海鳴市の風景が変わっていた。いや正確に言えば、目で見て何処だ此処となるほどでもないが、明らかに寝ていた時間に変わったとかそういう小さな動きではないのだ。
上手く言い表せないが、とにかく違和感を感じているといってもいいのかもしれない。
しばらく燐夜は何かを感じ取ろうとしていたが、目の前にいる奴からは闇にしか感じられず、かといって戦おうともせず、動かないままでいるのだから困ってしまう。
ここで燐夜は、一歩も動いていないのだから動いてみようという結論に達した。確かに、目の前の奴が立ちはだかってから一歩も動いていない。動いてみるのはいいのかもしれない。――――知り合いであるのなら。
「我流、九星一白、一刀真空裂破」
一歩を燐夜が踏み出した途端、相手――――これからは、偽・燐夜と呼称――――が燐夜にしか使えない技をほぼノータイムで繰り出してきた。
そんないきなりのことに焦った燐夜は、咄嗟にしゃがんだ。すると居合の要領で振るわれた刀は燐夜の頭の上を音もなく通り過ぎて行った。そして、振るわれた刀から放たれた真空波は住宅を一棟全壊させた。
燐夜はその光景を見て、中に誰かいるのではないかと思ったが、よくよく見ると辺りを結界で覆われていた。この結界は、解くと何でも元通りという便利なものだったはずだが、誰が張ったのだろうか。
そんな疑問を頭の片隅に追いやり、エクレイアを呼び出そうと思ったが、踏みとどまって一本の剣を展開した。
「我流、九星四緑、四線魔戟・黒天」
この戦いは長引かせるわけにはいかなかった。燐夜にとって、目の前にいる偽・燐夜より、何か感じるこの違和感の正体を見破る方が優先だったのだ。
この技を通して見えた相手に浮かび上がる黒点を寸分たがわず切った燐夜。この技の特性として、黒点を斬れば相手は死ぬというものがあり、偽・燐夜は光となって消えていった。
燐夜はまだあたりの警戒を怠ることなく、気を張り詰めていたが、しばらくして何も感じることがなかったため一気に気を緩め息を吐いた。
やはり、まだ体が出来上がっていないのでこの技を使うのは一回が限界だった。しばらくはもうこの技『四緑』を使えない。燐夜はまだ九星の中の一から四と六しか体得していないのだ。
ここで一息つこうと休める公園にまた戻ろうとしていた。
だが、それは叶うことがなかった。
「――――燐夜!?」
ふいに誰かに呼ばれた。
呼ばれたということは、この結界内に存在できる人物。即ち魔力持ちであることなのだが、燐夜はなのはしか知らない。しかもなのはは燐夜を君付けで呼ぶのだ。ということは、今燐夜を呼んでいる声は赤の他人。そう割り切った燐夜は無視することに決めた。
燐夜は呼ばれて一度は歩みを止めはしたが、自分となんら関係を持たない人であると判断すると無視してまた歩き始める。しかし、その歩みも止まる。正しくいうのであれば、止められてしまっただ。
肩を掴まれ引き留められてしまった燐夜は、仕方がなく後ろに振り向いた。
振り向いた先にいたのは、レオタードに似た服、おそらくバリアジャケットだろうものと身に纏い、マントを羽織っている金髪ツインテールの少女だった。それもかなり、可愛い部類に入るだろうか。
しかし、燐夜にはそんな美少女の友達なんていない。
「燐夜だよね!? 私だよ、分かる?」
「失礼ですがお名前を教えてください」
相手は燐夜が敬語を使っていることに疑問を持ったみたいだが、燐夜にとっては初対面の少女なのだ。敬語を使うのも至極当然のこと。
燐夜とほとんど変わらない身長の金髪少女は自分をフェイト・テスタロッサと名乗った。ちなみに9歳だそうだ。
名前を聞いては見たが、やはり知り合いの中にはそんな名前の人物はいない。外国系の名前は、燐夜はアリサ・バニングスしか知らない。
ますます目の前にいる少女が誰なのか分からなくなり、混乱し始めてきたが自己紹介してくれたのだから一応返すことにした。
「なんだか良く分からないけど、俺は三桜燐夜。9歳だ」
次の瞬間、金髪ツインテール――――フェイトは固まった。
◯
あの後フェイトと名乗る少女は自分の年も言ってくれた。燐夜より二年遅れて生まれて9歳なのだそうだ。そしてようやく違和感の正体に気付くことが出来た。
燐夜は未来にタイムスリップしていたのだった。二年後の海鳴市へと。
どうしてこんなことが起こっているのだろう。そんな疑問もフェイトが答えてくれた。
どうやら、二年後の燐夜も関わったらしいが、闇の書事件というものがあって、その事件は無事に解決したんだけどその時の副産物的なもので闇の欠片というものが出来たのだそうだ。それで、その欠片が不規則に海鳴市で実体化して燐夜と同じ姿になったのだということだ。
しかも、この件はまた別な問題が絡んできているようで、その闇の書の奥深くに眠っていたシステムU-Dというものが強大な力を持っているそうで、これからそのU-Dの対策を練ろうとしてフェイトが、管理局の次元航空船『アースラ』に転移するところで燐夜にあったということがフェイトから語られたことである。
それでもやはり、燐夜には関係ないことだった。
未来に来たら、それなりに楽しみたいことだってある。どうせ解決したら元の世界に戻ってしまうのは分かっているのだから。だったら、この二年後の海鳴市を満喫した方がいい。そう判断した燐夜は、一緒に行こうというフェイトの提案を断ってどこかにフラッと行こうとしていた。――――それは叶わなかったが。
突然、フェイトと燐夜の足元に緑色の魔法陣が展開された。とっさに範囲外に逃げようとした燐夜であったが、発動の方が早くてフェイトと一緒に転移されてしまった。
いきなりのことに若干慌てている燐夜だが、フェイトが全く動じていないことに軽くショックを受けてようやく落ち着いてきた。
燐夜はどうにかして逃げたい。けれども、地球の軌道上に位置するアースラからは転移ポートを使わなければならない。
今は、艦長を待っているそうだが、この隙に逃げ出したい。叶わないことではあるが。――――なのはがものすごい笑顔で後ろから燐夜を抱きしめているのだから。
こんななのはを見るのは初めてだった燐夜は、フェイトに理由を聞いた。
こちらの世界の燐夜は、闇の書事件の時に姿を消しているということだそうで、しばらく会えないと思っていた矢先にここにいる燐夜――――即ち、二年前の燐夜が来て同じ年齢であることもあってこうなってしまったということだった。
さらには、説明を終えたフェイトも我慢できないとか言って燐夜に抱きついた。そんな時である。
「あら、ずいぶんと楽しそうにしているじゃない」
アースラの艦長が来たのは。
しかもその人は、燐夜にとってはあまり会いたくない人で。100%の気まずさが訪れている。
――――リンディ・ハラオウン。
嘗て燐夜が管理局入隊試験の時に完膚なきまでに叩きのめした女性。傷一つ負うことなく、デバイスによる物理攻撃だけで倒した人。
あの時はまだ二等空佐だったが、4年もたつと艦長になっている。
何でか日本風に部屋がまとめられた艦長室で、リンディが燐夜と向き合う。それに負けじと燐夜も相手から目を逸らすことなく見据える。
本来であればこんなことをしている余裕なんてないのだが……交渉が必要だったのだ。
システムU-Dを倒すためには、戦力が必要。未来から来た子たちと闇の欠片から生まれた三人娘のコピー。それに、はやてとその騎士たちになのはにフェイト。これでも心強いのだが、ここにかつて最年少で佐官レベルまでに上り詰めた燐夜がいれば、揺るがないものになる。
早く逃げ出したい燐夜と協力してほしいリンディ。
二人の利害関係は微妙なところでずれていた。
「……なのはさんにフェイトさんはちょっと外してもらえる?」
「「……はい」」
今まで二人は触れることの無かったこと、なのはとフェイトが燐夜に抱きついている件だが、リンディの頼みで渋々と言ったところだったが艦長室から退出してった。
これで一対一の話し合いとなる。
先に切り出したのはリンディだった。
「回りくどい真似はしないわ……、単刀直入に聞くわ。協力してくれないかしら?」
「別に構わない」
あっという間に交渉が成立した。
後書き
最近、神様転生について思うこと。
……あの神様って、だいたい出落ちキャラなんじゃあ――――
9/26 修正。
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