魔法少女リリカルなのはStrikerS ~賢者の槍を持ちし者~
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Chapter24「影が追い求めし世界」
前書き
アンケートは続々と投票されてます。
ご協力感謝いたします。
また、本日23:59分を持ちましてアンケートを終了いたしますので、まだ投票する予定があるお方はお早めに済ませられることをおススメします。
「やはりは“2番目”は奴に敗れたか……」
夕暮れの湖のほとりの水面上に立つ、ドーム型の豪華な屋敷の一室で、地球でルドガーと戦い時歪の因子化したエルツーの最後の姿をモニターで見る仮面の男。
エルツーが完全に消滅するのを確認すると、興味がないとでも言うかのようにモニターを消す。
「まるで彼女が彼に敗れる事をわかっているような口振りだねぇ」
椅子に座り、仮面の男の背に話し掛ける白衣に身を包んだ男……ジェイル・スカリエッティ。
時空管理局から次元世界全土に広域指名手配がかかっている次元犯罪者……それがこの男の名前だ。
生体改造や人造生命体の開発に異常な執念を抱く正真正銘本物マッドサイエンティストであるそんな
彼が日の光すら入る事のい自分のラボからこんな真逆の自然豊な場所に来ているのにはある目的があった。
「本来アレは魔導師や騎士、魔力を扱う者専用だ。骸殻能力者との戦闘などナンセンスだ」
「確かに一理あるな……しかし、後者との戦闘を除けば君の子供達は当初予想していたスペックを越えるモノになってはいるんだがね」
「それは結果論だ。本来の計画は魔法と骸殻の力を組み合わせ、新たなる“鍵”を生み出す事が目的だったはずで、戦闘能力などあくまでも二の次だった」
「そう……確かにそれが本来の計画だったよ。そして失敗した……」
リンカーコアを持つ者を素体にし、その身体にクルスニクの血---つまりDNAを組み込み、人造的に魔導師と骸殻能力者のハイブリッド体を作り上げる事が本来の計画だった。
だが実際は魔導と骸殻とどちらかに偏ったモノとなってしまい、骸殻側に傾いた場合は骸殻事態がそう簡単に覚醒するモノではなく、覚醒しなかった素体は何の変化もなく、魔導側に偏っても、ほぼ何も変化なかった。
この方法での実験体がエルツーであり、数少ない成功体でもあった。
ただしこれは現段階の方法の結果だ。
「『プロジェクトW』……当初のモノとは大きく路線変更したものだな」
「元々欠陥だらけの計画だったんだよ。そして予想通り素体にした魔導師はクルスニク一族の血に対し拒絶反応を示し……フフ、まさかあんな事が起きるとは思わなかった……その後は君も知るとおり今の製造方法に切り替えた事により5割は成功率が上がり、確実に鍵を手に入れる所まで着実に近づいている……あの初段階での犠牲も決して無駄ではなかったという事だね」
「その犠牲の上で完成したのがあの出来損ないか」
仮面の男はモニターに無邪気に笑う生前のエルツー姿を映し、指を差す。その冷酷な扱いにスカリエッティは仮面の男を嗜める。
「いけないねぇ。彼女は君の娘のようなものだよ?もう少し思いやるくらいの言葉を贈る程度に---」
「奴は私の娘などではない。勝手に奴がそう呼ぶだけだ。不愉快この上ない」
「やれやれ……」
呆れたような口調でお手上げとでも言うかのように、両手を上げるスカリエッティ。
机の上に置いてあった黄金の懐中時計で時間を確認すると、白衣に懐中時計を収める。
「確かに頂いたよ。造形は色彩以外はレプリカとそう変わらないようだが……」
「心配はいらん。貴様が私の時計を解析し作ったレプリカとは違いそれは純正だ。2番目と同じような事にはならん」
「成る程……しかしそんな希少な時計を君でいう出来損ないに渡しても大丈夫なのかな?」
「出来損ないの中でも4番目はそれなりに期待があるようなのでな……それに出来損ないには、出来損ないの持っていた物が似合いだ」
「 ? 」
「目的の物は渡した……さっさと失せろ。私は多忙なのだ」
「相変わらず私の扱いが不粋で残念な気もするが、それはそれで君らしくあるから安心するよ。それではまた会おう……“治療”も程々にしたまえよ」
「フン……」
魔方陣がスカリエッティの足下に現れ、スカリエッティは自分の拠点の1つでもあるラボへと転移し、屋敷を後にする。
「……目的を果すまでは、どんな事をしてでも私は生き残ってみせる……例え……」
漆黒のフードを手に取り、自らに覆い被せ、顔に手をやり仮面を外すと、壁に掛けているバイザーを顔に着け、外へと繋がる扉に手をかけ、ドアノブを引く。
「私が欲した未来を手にした“奴”をこの手で消しさる事になったとしてもな……!」
銀の懐中時計を胸の前で突き出すように翳し、仮面の男の姿は漆黒の異形の者へと変貌し、何らかの魔法を発動させその姿を消した。
その翌日。
時空管理局・本局所属の数名の武装隊員が何者かの襲撃を受け、意識不明の重体となるという不可解な事件が起きる。地上限定だったとはいえ、ここ数週間で似たような事件が立て続けに起こっている事に対し、事態を重く見た本局の重鎮は、地上本部の実質トップでもあるレジアス・ゲイズ中将に海と陸がこの件に互いに手を取り合い協力していくよう提案するが、これをレジアスは拒否。
両者の対立の溝は、陸の一方的な反発により益々深まる事になるのであった。
後書き
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