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万華鏡

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第三十八話 夏の巫女その五

「気候自体がね」
「沖縄も確かに暑いけれどさ」
 美優もだ、額の汗を拭きながら話す。
「ここも暑いよな」
「木やお池もあるのに」
「今は特別なのよ」
 景子は琴乃達に話す。
「人が多いせいよ」
「普段は違うのね」
「そう、今は特別なの」
 夏祭りで人が多いせいだというのだ。
「普段はずっと涼しいから」
「それで過ごしやすいのね」
「だからね、今は我慢して」
 これが景子の言葉だった。
「後でいいことがあるから」
「お風呂ね」
「あとお酒もあるから」
 ここでもこれが出るのだった、
「それとお料理もね」
「出店の?」
「あっ、また違うから」
「じゃあ何が出るの?」
「いつもうちは夏祭りの後はね」
 その時はというのだ。
「また別のが出て来るから」
「別のっていうと?」
「何なの?」
「流石に生臭物はないけれど」
 お祭りの時だからだ、そうしたものは避けているというのだ。
「お餅とかが出るから」
「ああ、お餅なの」
「それが出るのね」
「あとお素麺ね」
 これも出るというのだ。
「それ楽しんでね。冷えたお酒と一緒にね」
「ああ、夏ね」
「夏らしいわね」
「夏はお素麺でしょ」
 景子もにこりとして話す。
「やっぱりね」
「確かにね」
 琴乃は素麺と聞いて目を輝かせていた、そのうえでの言葉だ。
「あれよね、やっぱり」
「よく冷やしてね、冷たいお水で」
 景子はその素麺についてさらに話す。
「しかもおつゆに梅干に生姜に」
「揃ってるのね」
「うちは皆お素麺好きだから、それにね」
「それにって?」
「お素麺がまた違うのよ」
「違うってどう違うの?」
「よく来てくれる人に実家が奈良の人がいて」
 その奈良県からの話だった。
「奈良はお素麺が名産なのよ」
「あっ、三輪素麺ね」
 奈良の素麺と聞いてだ、里香が言って来た。
「それなのね」
「そうなの、三輪素麺だから」
 それでだというのだ。
「また違うのよ」
「そうなのね」
「そう、他のお素麺とは味が違うから」
 琴乃だけでなく四人全員の話す。
「もう美味しくて思わず笑顔になる位よ」
「そこまで美味しいのね」
「そう、だから楽しみにしててね」
「うん、じゃあね」
「勿論お酒も冷やしておくから」
 そちらもだというのだ。
「楽しみにしておいてね」
「やっぱり夏はお酒もよく冷えてないとね」
 どうかとだ、彩夏が話す。 
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