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万華鏡

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第三十八話 夏の巫女その二

「彩夏ちゃんってやっぱり」
「胸?」
「そう、胸がね」
 そこがだというのだ。
「大きいから」
「ううん、またその話なのね」
「実際に大きいから。八十五よね」
「八十八よ」
 それだけあるというのだ、自分で。
「確かに何ていうか」
「大きいでしょ」
「確かにね」
「着物の上からでもわかるから」
 その形がはっきり出ているというのだ。
「はっきりとね」
「そういう里香ちゃんも小さくないわよ」
 彩夏はその里香にこう返す。
「八十はあるでしょ」
「それはそうだけれど」
「小さくないわよ、一六〇だとね」
 それだけの身長で八十あればだというのだ。
「それに私の胸って何か垂れてるけれど」
「そうなの?」
「里香ちゃんの胸形いいから」
 彩夏が言うのは形のことだった。
「私それが羨ましいけれど」
「いや、私から見ればね」 
 里香にしてみれば彩夏が羨ましいというのだ、二人はお互いに言うのだった。
 しかしだ、その二人に景子が言って来た。
「最近違うから」
「違うって?」
「何が違うの?」
「うちのお兄ちゃんが言ってたけれど」
 彼女の兄から聞いた言葉だというのだ。
「最近の男の子って好みが分かれててね」
「小さい胸が好きな子もいるのね」
「そうなのね」
「そうよ、いるのよ」
 そうだというのだ。
「形の好みもそれぞれらしいのよ」
「小さくてもいいのね」 
 里香はもう着物の下に完全に覆われた自分の胸を見て言った。
「そうなのね」
「そう、だからそうしたことを話してもね」
 意味がないというのだ、そしてだった。
 景子は自分の袴の帯を締めたうえでだ、他の四人に言った。
「じゃあ今からね」
「巫女のお仕事ね」
「夏祭りのお手伝いね」
「そう、それするから」
 だからだというのだ。
「頑張ろうね」
「何か汗だくになりそうね」
 琴乃は巫女の服と今の暑さから話した。
「水分補給が大変そうね」
「麦茶用意してあるから」
 景子は水分のことも話した。
「それとお祭りの後でお風呂も用意してあるから」
「その後でなの」
「替えの下着ある?皆」 
 景子は四人にこのことを問うた。
「そっちはどうなの?」
「ええと、替えの下着は」
「ちょっと」
「今のうちに買っておく?近くのコンビニで」
 景子は四人の話を聞いてこう提案した。
「まだ少しだけ時間があるから」
「そうね、じゃあね」
「今のうちにな」
 四人も景子の言葉に頷いてだった、そうして。 
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