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ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?

作者:あさつき
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一部:超絶美少女幼年期
  五十話:苛酷な労働の日々が始まります

 散々お姉様方にキャーキャー言われて、皆さんのカットを終えて。

 私に添い寝する権利を巡ってお姉様方の間に争いが起こりかけましたが、私の憂いに満ちた眼差しと言葉で、矛は納めて頂いて。

 牽制しあった結果、今まで通りヘンリーの横に置いとくことで、話はまとまったようです。


「……ドーラ。……お前」
「言ったでしょ?可愛い女の子は、大好きだって」

 家族扱いで、攻略する予定は当初は無かったんですけれども。
 仕方なかったんだよ、みんなが面白半分に、外堀埋めようとかするから。

「大丈夫!言った通り、マリアさんにはちょっかいかけないし!他でも気に入った子がいたら、本命ならちゃんと遠慮するから!」

 気に入った子がいなくとも可能性を考えて、どんどんお勧めはしていきたいところですが。
 そのせいで泣く子が出てはいけませんからね、築かせないよ、ハーレムなんて!
 私が女だから、プラトニックだから、許される(と思う)ことなんだから!

 あくまでお勧めして様子を見ながら、脈があれば推し進める感じで!

「……お前は俺を、なんだと思ってるんだ」

 えーと。
 イケメン(美女)ライフにおける宿敵(ライバル)で、コリンズ回避における宿敵(ラスボス)で、回避に成功さえすれば、生涯の友に成り得る存在?
 転生者(おなかま)であることも含めて。

「……聞きたい?」

 例えそっちにあったとしても、こっちにその気は無いと、いっそ宣言してしまったほうがいいのかね?
 理由はともかく。

「……いや。いい。まだ、いい」
「そう」

 進んで言いたいことでも無いから、いいならいいや。
 理由を問い詰められると、かなり困るし。
 もしも本当にその気があった時に、さすがに良心が咎めるというか。

「じゃあ、寝ようか。明日から急に、お仕事が始まらないとも限らないしね。おやすみ、ヘンリー」
「おう。……おやすみ、ドーラ」



 と、軽くフラグを立ててしまったので。

「仕事だ。全員、出ろ」

 翌朝、朝食を済ませたところで、例の人間ぽいヤツ(魔物)が、扉を開けて声をかけてきました。

 いよいよ、苛酷な労働の始まりですね!


 我々、奴隷の住み処である穴蔵の外には、他にも数名の人間ぽいヤツ(魔物)が、ムチを手に待ち構えておりました。
 それらしくなって参りました!

 一番偉いらしいヤツが、声を張り上げます。

「いいか、よく聞け!お前らは、我らが光の教団の、教祖様にお仕えする、奴隷だ!お前らは今日から、教祖様のための、神殿の建設に携わることができる!教祖様のお慈悲に感謝して、励むように!」

 うむ!押し付けがましいね!
 いかにも、だね!

 まあ、その辺は予想通りだから、いいとして。
 問題は、どんな感じで振る舞えばいいのかってことよね!
 ひとまずハイハイ言って、従順にしてればいいのか?

「よし!では、やれ!」

 ざわり。

 偉いらしいヤツの言葉に、奴隷の間に動揺が広がります。

 ……ええー?
 ちょっと、指示が。
 大味過ぎや、しませんかね?

「どうした!さっさと、始めないか!」

 ムチを振るう、偉いらしいヤツ。
 周りのヤツらも、ムチを構えます。

 いやいや。
 いやいやいや。

 当面、特に逆らう気は無いですけれども。
 ろくな指示も無く工事計画も示されず、私たちに一体どうしろと?

 どうしよう。
 もしかして、コイツらみんな、馬鹿なの?
 馬鹿しか、いないの?

 ……これは、想定外だった。
 リアルに、困った。

 とりあえず、横の人に相談してみるか。

「……ヘンリー。どうしたらいいと思う?」
「……一応、俺ら、子供なんだし。様子見ても、いいんじゃね?」
「そうだよね。子供だもんね。ここでしゃしゃり出たら、おかしいよね」
「だよな」

 相談の結果、事態を静観することに、したのですが。

 ヤツら(魔物)の構えるムチに怯えてか、口を開く者は無く。
 うん、まあ、仕方ないよね。
 一般人なら、そんなもんよね。

「ヘンリー。ちょっと行ってくるわ」
「……おい。なら俺が」
「うっかり死なれたら困るし。私なら、まあ死にはしないし。それにアレ、魔物だから。私の才能的なアレが、役に立つかもしれないから」
「……わかった。気を付けろよ」
「うん」

 相手が、魔物ならね!
 未来のモンスター使いとして、なんとかできないか、試してみるべきよね!
 うん、既視感(デジャヴュ)

 あのときのスライム(ヤツ)の反応が、標準なのかどうなのか。
 確認するいい機会でもあるよね!

 集団から抜け出して前に進み出る私に、またざわめきが起こります。

「ドーラちゃん……!ちょっと、戻りなよ」
「ドーラ様、やめて!」

 小さく呼びかけられますが、このままじゃ埒が明かないので仕方ない。

 えーと、愛ね。
 ムチを振り回してるヤツに、そんなの特に無いんだけど、大体そんな感じでね。
 まずは笑顔で、優しく言ってみよう。

「仕事なら、しますから。指示を、くれますか?それか、計画書でも」

 説明する頭が無いなら、読んでなんとかするからさ!(ニッコリ)

「口答えするな!いいから、働け!」

 ピシリ!とムチを振るって、威嚇する、偉いらしいヤツ(魔物)。

 ……ああん?

「……計画書は。何処、ですか?」
「……おい。ドーラ。待て。落ち着け」

 ヘンリーがなんか言ってますが、気にしません。
 魔物だろうが、人間だろうが!
 馬鹿は、嫌いなんで!
 特に、自覚が無い系が!!

「仕事を、始めるんですよね?(ニッコリ)」
「始めないと、怒られるんですよね?(ニッコリ)」
「そんなので、始められると思ってるんですか?(ニッコリ)」
「説明が必要なのに、できないんですよね?(ニッコリ)」
「馬鹿だから、できないんですよね?(ニッコリ)」
「なら、自分で、確認しますから(ニッコリ)」
「計画書を。出せ(ニッコリ)」

 畳み掛けるように、笑顔で言ってみます。
 ……うん、愛は無かった。無理だった。

「な!口答えをするなと」
「私の目を見ろ!!」

 振るわれるムチを無視して、間近に寄って目を合わせます。

 もう愛とかいいよ、服従とかそういうのでいいよ。
 力があるなら、効けばいいよ。
 効かなかったら効かなかったで、それでもいいよ。
 反抗的な奴隷(私)に罰でもなんでも与えて、工事滞らせちゃえば、いいよ。
 そのうち賢いのの一匹も、来るでしょう!

 そんな投げやりな感じで、偉いらしいヤツ(魔物)の目を覗き込んでましたが。

「……計画書は?有るの?無いの?」
「……はい!あります!今、持ってきます!」
「そう。早くね」
「はい!!」

 走って行く、偉いらしいヤツ(魔物)。
 偉いなら部下を使えばいいのに、これだから馬鹿は困る。
 まあ下手に指示とか出させても、場所がわかんなくて手間取ったりなんかしそうだし。
 話が進むなら、なんでもいいか。

 周りのヤツら(魔物)も奴隷仲間の皆さんも、ざわざわしてます。

 うーん、やっちまった?

「おい、ドーラ!無茶すんなよ!」

 ああ、ヘンリーが怒ってるねえ。
 そうですよねうんわかります。

「カッとなってやった。今では反省している」
「ふざけんなよ」
「まあ、効いたし。話、進んだし。ついでだから、他のにもやってくるわ」
「……あとで、話がある」
「うん。あとでなら聞く」



 ということで偉いのを待つ間に、他のともいちいち目を合わせて従えます。
 めんどくさいが、話が進まないのでは仕方がない。
 一匹くらい、賢いのを配置しといてくれればいいのに!
 手間、取らせやがって!

 ゲームだと人間のマリアさんのお兄さんとかいたし、教団がもっと大きくなれば、また状況は変わるんだろうけど。

 あんまり効率良く作業進めるのも不自然だしそんなのしてやる義理は無いし、それなりに、頑張って進めてる雰囲気で。
 労働基準を守る感じで、進めて行きますか。 
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