ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
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一部:超絶美少女幼年期
四十七話:明日のために
頼んでも無いのにパパンを救うという使命感に燃えてしまったヘンリーに、ストーキング宣言を食らってしまった私ですが。
それは断り続ければいいとして、そんなことだけにかかずらわってる場合ではありません。
パパン蘇生の最低条件である、合体魔法の習得は勿論として。
同じく必須のザオリク、ベホマラー、保険としてベホマズンあたりの習得には、揃えないといけない材料があるしレベルも足りないので、今は無理として。
イケメン美女形成にも奴隷ライフを快適に過ごすためにも役立つ生活系便利魔法の習得とか、体術や武器の扱いの練習とか。するべきことは山積みですからね!
今すぐお仕事が無いのなら、できる限り、やっておかないと!
というわけで、他にすることが無いことでもあるし、早速合体魔法の練習から始めてみます。
最終的には両手に別々の魔法を発動させた上で、反発したり打ち消しあったりしないように上手く調整しながら、混ぜ合わせないといけないわけですが。
最初からそんなの無理なので、まずは両手にそれぞれ、同じ魔法を発動させるところから。
このためにちょっと前から、利き手じゃ無いほうの手で発動させる練習はしてたんですけれども。
「……ホイミ……」
片手しか出なかった。
「おう、ありがとうよ!ドーラちゃん」
「いえいえ」
無駄打ちも勿体ないので、おじちゃんの肩こりを治してみました。
「ホイミ(ホイミ)」
時間差で出た。
「はー……楽になったわ、ありがとね」
「いえいえ」
心の声が時間差になってたのかな。
「ホホイイミミ」
お、今のはいいんじゃね?
いや、微妙?
「やっぱり、じいさんより可愛い子のほうが気持ちいいね!」
「またまた」
この方向から攻めていけばいい気がする。
段々短くして、いずれ詠唱一回にまとめる感じで。
その後もみなさんの肩こりやら腰痛やら眼精疲労やら、色々と治して、魔力が尽きるちょっと前に終了。
いざというときのために、少しは残しておかないとね!
お仕事が始まったら、仕事中の怪我を治すついでに練習すればいいかな。
「なあ、ドーラ。あれって」
「ボランティアです。いずれ過酷な労働が始まるんだから、悪いところは早目に治しておかないと!」
勿論、教えませんとも。
「そんなことより。ちょっと、打ち合いに付き合ってもらえませんかね。武器は取られたから、その辺に転がってたただの棒だけど」
「……やったことねえけど」
「気弱で無気力な王子様(設定)に、そこは期待してないから。この先十年の練習相手になってくれるなら、教えるよ」
「わかった。頼む」
「うん」
というわけで、利害の一致でこれは教えます。
出し惜しみするほどのものでも無いし。
ある程度強くなって、カッコよくマリアさんを助けてもらわないと困るしね!
が。
「……よわ」
「……し、……かた、ねえ、……だろ……!俺、だって、……できれば、経験値、稼ぎたかった、よッ……!」
「うん、ごめん。私、恵まれてたよね」
こういう訓練で、経験値って入るんだろうか。
体を鍛えるのと経験値の関係って……うむ、わからん。
「……まあ、男なんだからさ。そのうち、筋肉付いて。強く、なるって」
「……なんだ、その憐れみの目は」
「ソンナコトナイヨ」
「……もっかい、やるぞ」
「無理は良くないよ。科学的に考えて」
そういう科学的な理屈が、通用する世界なのかどうかわからんけども。
「……明日も、頼む」
「うん。お疲れ」
と、打ち合いは終わりにしたけどまだまだ物足りないので、続けて素振りをすることにします。
できれば走り込みとかしたいところだけど、そこまでは贅沢ってもんよね。
どうせ仕事が始まれば、足腰は鍛えられるしね。各種運搬業務で。
「……対抗しなくてもいいのに。休みなよ」
「少し、無理する、くらいじゃねえと。強く、なれねえ、だろ!」
この姿を、マリアさんに見せてあげられたらなあ。
好感度、ぐんぐん上がりそうなのに。
あと、十年か……。
……マリアさん以外でも、誰か同年代の女の子。来ないかな。
「……なんか妙なこと考えてねえか」
「そんなこと無いよ!」
お互いの幸せのことを、考えてたんだよ!
「……ヘンリーの、好きなタイプってさ。どんな娘?」
「……いきなり、なんだよ」
「いいから」
「……好きになった相手が、タイプだろ」
なんだそのイケメン的模範解答!
腹立たしい!!
「へ、へえー……」
こんなカッコ良さげなこと言っといて実際は巨乳好きとかそんなんだ、きっとそうだ。
自己申告になど頼らず、傾向と対策を割り出してやる!
色々、勧める中で!
「そう言うお前は、どうなんだよ」
「え?私?そうだねえ」
二次元の話ならデボラさんみたいのも愛でられるけど、これは完全に三次元の話だよね!
「明るくて、可愛い人とかー」
例えば、ビアンカちゃんのように!
「淑やかで、可憐な人とかー」
例えば、フローラさんのように!(子供のうちに会えなかったのでさん付け)
「でも、素朴な可愛さも捨て難いしー」
あのふたりのような華やかさは無くとも、野に咲く一輪の花のような、そんな可愛らしさも。いいよね!
「……うん、やっぱり、好きになった相手が、タイプだね!」
なんだ、ヘンリーが正しかったわ!
「……おい。何の話だ」
「え?だから、好きな娘の、タイプでしょ?」
「漢字がおかしかっただろ、今」
「おかしくないよ。何も、おかしくないよ」
ていうか漢字で聞き取るな。
「……お前。ドーラって、さ。女だよな?」
「そうですが、なにか?」
「……女が、好きなのか?」
「可愛い女の子は、大好きですけど?」
「……そういうんじゃ、無くて。つまり、その……恋愛対象として」
なんで、そんな聞きにくそうなの?
「そうできたら、それでも良かったんだけどねえ。さすがに女の身体のままでは、無理だったわ」
男に生まれてれば、身体に引っ張られてなんとかなったんじゃないかと、推測してるんですがね。
返す返すも、惜しいことをした。
「光源氏のような、性別を完全に超越した、博愛主義は……私には、無理だった……」
「……」
心だけならともかく、体も、ってなるとね……。
まあ、でも、プラトニックであるからこそ?
清く正しく美しい、全方位ハーレムも、実現できるってもんですよ!
精神的に愛し愛される、イケメン美女ドーラちゃんを囲む会!
パパンとママンの可愛い娘、ドーラちゃんがビッチキャラとか、全く有り得ませんし!
「大丈夫!マリアさんにはちょっかいかけないから!」
お互いの、幸せのために!
邪教に惑わされ、奴隷の身に落とされてなお、清い心を失わない、清楚なシスターとか。かなり惜しいですけれども!
……まあ仲良くなるなら、結婚後でも十分だしね!!
浮気じゃないよ?だって、同性だもの!プラトニックだもの!!
「……お前ってさ……。割と、残念なヤツなんだな……」
「なにそれ?褒めてるの?」
残念な女で恋愛対象外と認識してもらえるなら、大歓迎ですけど?
むしろ、狙ってますけど??
「褒めてねえよ、確実に」
「そう。どっちでもいいけど、まあそういうことだから。……負けないからね!」
「どういうことだよ。わかんねえよ、全然」
「わかんなければ、いいよ」
そうして油断してる間に、イケメン力をひとりで高めてやる!
「全くわからんが、つまり。恋愛対象は、男なんだな」
「そうなるかな」
残念ながら、結婚しても良さそうな男性には、まだ巡り逢えてませんけれども。
フロルスくん(仮)に望みをかけてるところだけど、でもやっぱりフローラさんにも会いたいしなあ。どっちでもいいんだけど、別に。
世代が合えばピピンとかでも、面白くていい気がするんだけど。それはあっちが可哀想だよね、年齢差的に。
アンディにはフローラさんを幸せにしてもらわないといけないし、フロルスくん(仮)がいれば用は無いし。まあ、無いね。
とは言えゲームならモブでも、現実なら名前もあれば人格もある、一個の人間だから。
ゲームキャラに限定して焦る必要も、どこにも無い。
「あと、十年か!よし、頑張ろう!」
なんにしても、ここにいる間はろくな出会いは無いだろうから!
未来に望みをかけて、せいぜい自分を磨いとこう!
「……十年か。よし、頑張ろう」
「そうだね!頑張ろうね!」
今は弱っちいヘンリーでも、十年後にはその勇姿でマリアさんを落とせるくらいに!
そこは協力するからね、完全に!
「ドーラ。負けねえからな」
「私だって、負けませんけど?」
性別の違いという絶対的に不利な点はあっても、倫理的に考えて男の身なら、最終的にはひとりの女性を選び出さねばならないわけですからね!
必ずしも不利とばかりは、言えませんよ!
それに、大丈夫!
擦り付けるのに罪悪感を感じない程度のいい男に鍛え上げることには、全く異論は無いから!
当面は切磋琢磨でもして、一緒に頑張ろう!!
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