八条学園怪異譚
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第三十八話 狐道その三
「黒船についてもな」
「まあどう考えても普通の人じゃないしね」
「最低でも百五十歳みたいだから」
人間の長寿の限界とされている年齢だ、尚江戸時代初期の怪僧天海は百二十歳で死んだと言われている。
「それ考えたらね」
「仙人かしらね、もう」
「そうなってるかもね」
「丹薬とか飲んで」
「それでさ、狐さん達の話に戻るよ」
猫又は博士のことを話す二人に言って来た。
「この学園にも狐さんのリーダーがいてね」
「どんな狐さん?それで」
「狐さんっていっても色々だけれど」
「九尾の狐とか?」
「若しくは白狐とか」
「千歳の仙狐でね」
そうした狐だというのだ。
「尻尾が九本あるんだ」
「ああ、そっちなの」
「九尾の狐さんなのね」
「そうだよ、ちなみに狸さん達にもリーダーがいるからね」
そちらもだというのだ。
「猫はおいらで犬は送り犬さんだよ」
「それぞれ顔役をさせてもらってるんだ」
送り犬も二人に話す。
「そうなってるんだ」
「やっぱり妖怪さん達の中でも色々あるのね」
「ただ遊んでるだけじゃないの」
「そうだよ、若し顔役とか決まりがないとね」
どうなるか、送り犬はこのことを二人にあらためて話した。
「それこそ北斗の拳になるから」
「ああした世界になっちゃうのね」
「力こそが正義っていう」
「モヒカンがバイクで暴れ回る世界になるよ」
世紀末といえばこの世界というイメージが出来上がっていた、この漫画が日本人のイメージに与えた影響はかなり大きい。
「だから決まりとか顔役は大事なんだ」
「そうなのね」
「それで博士も顔役なのね」
「そうだよ、あとその九尾の狐さんだけれど」
その人はどうかというと。
「間違っても人をたぶらかしたり食べたりしないからね」
「いい狐さんなのね」
「そうなのね」
「そうだよ、あの平安時代に暴れ回った九尾の狐とは違うから」
玉藻前という宮女になり鳥羽法皇を惑わしたとされている、その前には中国やインドでも派手に暴れている。
「ちゃんとした狐さんだよ」
「そういえば九尾の狐っていえば」
ここで聖花が言った、そうした狐について。
「頭が九つあるんじゃなかったかしら」
「えっ、尻尾だけじゃないの」
「そう、頭もね」
愛実にも話す。
「そうじゃなかったかしら」
「何かそれって物凄い格好ね」
愛実は聖花の話からそうした狐の姿を考えてみた、つまり頭と尻尾がそれぞれ九つずつあるのだ。
「八岐大蛇みたいね」
「そんな感じよね」
「そりゃリョウシツっていう別の妖怪だよ」
猫又が顔を曇らせて話す二人にこう教えた。
「九尾の狐は九尾の狐でもね」
「また別なの」
「九尾の狐ではあっても」
「人を食うやばい妖怪だからさ、そっちは」
「だからこの学園にはなのね」
「いないのね」
「そう、そもそも数が凄く少ない妖怪だからさ」
猫又は二人にこのことも話した。
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