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八条学園怪異譚

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第三十八話 狐道その一

                第三十八話  狐道
 二人は今度は小学校に行くことにした、学園内のそこにだ。
 だが二人はここで気になることがあった、それで行くと決めたその日の昼、部活が終わってから学園内の犬猫コーナーに赴きそこで送り犬、猫又と会った。
 そしてだ、こう彼等に問うたのである。
「あの、花子さん達から聞いたけれど」
「留学してきてる狐さんもいるのね」
「昔から日本にいる狐さんだけじゃなくて」
「他にもなの」
「うん、そうだよ」
「狸さんもそうよ」
 二匹はこう答えてきた。
「世界各国から来てね」
「それでここで勉強してるんだよ」
「そうだったの、世界中の狐さんが集まってたのね」
「狸さんまで」
「霊力のあるのだけだけれどね」
 送り犬がこう答える。
「それで妖怪のことを勉強しているんだよ」
「そうだったのね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「どっちの世界も結構厳しいんだよ」
 送り犬は後ろ足で立って右の前足を前後にやりながら二人にこんなことも話した。
「試験があってね」
「えっ、妖怪の世界にもなの」
「試験があるの」
「あるよ、試験もないとかいう訳にはいかなくてね」
 実はそうだというのだ。
「あくまで狐さん達の世界、霊力のある場合のね」
「そうだったの」
「試験があったの」
「科挙、昔の中国のお役人になる為の試験みたいなのがあるんだよ」
 隋代からはじまったものだ、非常な難関であり一生かかっても及第、合格出来なかったという話や様々な話が残っている。
「これがね」
「へえ、狐さん達も大変なのね」
「霊力があってそれで万歳じゃないのね」
「ああ、違いよ」
 送り犬はこのことははっきりと答えた。
「狐さんの世界はね」
「中国ではなの」
「試験があるのね」
「そう、試験を受けてね」
 そしてだというのだ。
「位や霊力を上げていくんだ、使える術もね」
「ううん、何かそれだと人間の世界と変わらないわね」
「そうよね」
 二人は送り犬から狐達の話を聞いて首を傾げさせながら話した。
「自由な社会だって思ったのに」
「試験とかない」
「あるんだよ、これが」
 猫又も言う。
「ちゃんとね」
「いや、ちゃんとって」
「そう言われると何か余計に」
「人間の世界みたいって言うんだよな」
「ええ、実際にね」
「そう思うから」
 二人は今もどうにも釈然としない感じだった、やはり妖怪の世界には試験がないというとあるアニメの主題歌のことが頭にあるからだ。
 それでだ、今もこう言うのだった。
「試験があるなら学校も?」
「あるのかしら」
「いや、ここ学校だろ」
「そのままじゃない」
 妖怪達の今の突っ込みはそのままだった。
「だから何ていうかね」
「それも普通なんだよ」
 こう二人に言うのである。
「最近じゃアメリカの狐も社会があるみたいだしね」
「欧州でもね」
「じゃあ日本も?」
「学校とか試験があるのかしら」
「日本の場合はまた特別でね」
「狐の神様がいるから」
 二匹はいぶかしむ二人に話した、ではその狐の神様は誰かというと。 
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