万華鏡
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第三十七話 夏祭りその十二
「その時は本当に注意してね」
「ええ、じゃあね」
「その時はね」
四人も景子の言葉に頷く、そしてだった。
出店で買ったものを全て食べ終えた、それからだった。
食べ終えた皿やそうしたものをゴミ袋に入れた、ここで里香は言った。
「やっぱりゴミはちゃんとしないとね」
「そうそう、汚くしたままだと駄目だから」
「ちゃんとまとめてて捨てて」
「そうしないとね」
「ゴミ箱はちゃんとあるから」
景子がまた言う。
「そこで捨てればいいわ」
「一升瓶はどうするんだよ」
美優はその一生瓶を集めていた、五本共空になっている。
「これは」
「ああ、瓶はね」
「捨てないよな」
「そう、捨てないわ」
それはだというのだ。
「ちゃんと集めてね」
「何処に持って行くんだよ」
「御神酒のところにね」
そこに持って行くというのだ。
「それで巫女さんにお渡しするの」
「で、瓶は再利用だな」
「ビール瓶と同じでね」
ビール瓶を酒屋さんに出すことと同じ要領だというのだ。
「そうすればいいから」
「じゃあ持って行くな、巫女さん達のところに」
それにだった。
「あとゴミ箱は」
「そこも巫女さん達のところにあるから」
そこにだというのだ。
「御神酒のところのすぐ傍にね」
「じゃあ瓶もゴミもか」
「そこに持っていけばいいから」
巫女さん達のところにだというのだ。
「そうしていきましょう」
「ええ、じゃあね」
こう話してそうしてだった、五人はゴミも空瓶も集めた、そうしてだった。
それを巫女さん達が御神酒を提供しているテントのところに持って行った、そして瓶を渡してゴミを捨てるとだった。
ゴミのところはもう満杯だった、琴乃はその溢れているゴミ達を見て言った。
「凄いわね」
「いつもこうよ」
景子がその琴乃に答える。
「お祭りの時はね」
「いつもなの」
「そうなの、いつもなの」
ゴミで溢れかえるというのだ。
「凄いのが朝でね」
「今以上に一杯になるの?」
「ゴミ捨て場だけじゃなくてね」
ここだけではないというのだ。
「道とか境内も」
「全部なの」
「ゴミが一杯落ちてて」
そうなってだというのだ。
「そのゴミも中にはね」
「食べかすとかお皿だけじゃないとか?」
「オムツとかね」
こうしたものも落ちているというのだ。
「他にはパンツとか」
「パンツ?」
「そう、男ものも女ものもね」
ゴミとして落ちているというのだ。
「道に堂々と落ちてるのよ」
「今出店が並んでる道になの」
「どういう訳か普通に落ちてたりするのよ」
「何でなの?」
「さあ。あと浣腸も落ちてたり」
これもゴミとして落ちているというのだ。
「海みたいにね」
「何でか海に落ちてるんだよな、あれ」
美優もその和に乗って言う。
「不思議だよな」
「それで何でかね」
「お祭りの時もかよ」
「落ちてるのよ、しかもそのパンツとかが」
どうなっているかというと、その何故か落ちているものがだ。
「漏らしててね、しかも大きい方を」
「だから脱いだのね」
彩夏は景子のその話に引きながら言った。
「それでなのね」
「それでかしら」
「流石にそんなの漏らしたらね」
パンツを脱いでそしてだというのだ。
「拭くでしょ」
「どういう訳か道に落ちてて何で?って思ったけれど」
拾ったその時はだというのだ。
「あと端っこで吐いたりとかもあるから」
「そうしたこともあるの」
「そう、あるの」
こう話す景子だった。
「お祭りの後の後始末は大変よ」
「むしろその時よね」
里香は酒を飲んでいるが理知的な顔で述べた。
「大変なのは」
「そうなの、実際ね」
「やっぱりそうなんだな」
こうした話をしてだった、今はだった。
五人はゴミを捨ててお参りに向かった、夏の日々はまだ続いていた。
第三十七話 完
2013・6・6
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