ドラクエⅤ主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
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一部:超絶美少女幼年期
四十六話:ほのぼの?奴隷ライフ
「ドーラちゃん、なかなか手際がいいじゃないか」
「ありがとうございます!」
「ヘンリーくん!そろそろ火、お願いできる?」
「はい。メラ」
「やっぱり、魔法だと早いねえ。助かるよ」
「いえ」
おばちゃんと他のみなさん数名と、ヘンリーも一緒に、現在お料理中。
……なんだ、これは。
なんだこの、ほのぼの奴隷ライフは!?
……いや!
油断するな!
まだ何も始まって無いんだ、これはきっと持ち上げて落とす感じの。
油断させて、後ろから刺す感じの!
そういうえげつない罠に、違いないよ!!
「ああ、そんな持ち方じゃダメだよ。怪我するよ、ヘンリーくん」
「はい」
「ドーラちゃん!これも、お願いできる?」
「わかりました!」
……とは言え、今すぐどうこうということもあるまい。
まあ、いいか。
今さら、びくびくすることも無い。
その時が来るまでは、この状況を満喫しよう!
「痛っ」
「あらあら、言わんこっちゃない。ドーラちゃん!治してあげて!」
「はい!」
「いいよ、これくらい」
「ダメです。傷付いた手で料理するとか、食中毒の元!さっさと見せる!」
「……」
「ホイミ!」
「……どうも」
「どういたしまして!」
「魔法使いなんて、あのおじいちゃんくらいだったからねえ。ふたりが来てくれて、助かるねえ」
「良かったら、出来そうな人には教えましょうか?」
「あ、あたし、覚えたい!」
「私もー!」
「出来るとは限りませんけど、いいですか?」
「うん!」
「やったー!」
和気藹々とお料理を終えて、楽しくお食事を済ませて。
後片付けも終えて、魔法教室開催。
「すぐ、試せるわけじゃないのねー」
「そうですね。まずは、お勉強からです」
「そうそう、うまくはいかないわよねー。よし、頑張る!」
「その意気です!」
筋が良いとは言わないまでも熱心なみなさんに、講義を終えて。
はて。
なにか、忘れてるような。
「おい、ドーラ。なんか、忘れてないか?」
「うん、今、そんなような気がしてたとこ」
「忘れてるじゃねえか!後で話すって、いつまで待てばいいんだよ!」
ああ、そうでした、そうでした。
「ごめん、ごめん。あまりに奴隷ライフの内容が予想外で、すっかり飛んでた」
「……それは、俺も思ったけど。忘れんなよ」
「だから、ごめんて。……何から話そうか」
「あの人……パパスさん。今は、助けられないって。どういう意味だ?」
「ああ、それは」
かくかくしかじか。
「というわけです」
「……本気で、チートだな……」
「そうですね」
「……俺にも、使えるのか?その、合体魔法とか」
「練習すれば、出来るんじゃないの?たぶん」
「よし。教えてくれ」
え?やだよ。
「なんでさ」
なんでそんな、敵に塩を送るような真似を!
私だってまだ使えないのに!
「手伝うよ、俺も。パパスさん助けるの」
「……ええー?」
「……なんで、嫌そうなんだよ」
だって嫌だもん。
何その、ラインハット後も着いていきます宣言は!
「別にヘンリーは普通に城に戻って、普通に結婚して幸せに暮らせばいいじゃない。元々そういう役なんだから」
「そうしなきゃいけないもんでも無いだろ」
「私には、選ぶ権利があると思う!」
教える相手とか同行者とか、結婚相手とか!
「それは、そうだけど。なんで嫌なんだよ」
それは君が、ヘンリーだからだ!
コリンズを授かる可能性を、排除したいからだ!
……とか言ったら、怒るだろうなあ。
あっちの立場なら、理不尽にもほどがあるし。
教えたら結婚するという話でも無いのに。
そもそも、ヘンリーに生まれついたのはヘンリーの責任では無いのに。
でも、私は折りたいの!
フラグ段階で!
ルート回避、したいの!
「……ヘンリーの、幸せを。邪魔したく、無いんだよ……」
「ウソを吐くな」
ちっ、バレたか。
なまじ素を見せてしまっただけに、演技に入るとわざとらしさが目立つな!
要研究だわ。
「ウソジャナイデスヨー」
「ウソだろ、明らかに」
イヤイヤ、ホントデスヨ。
基本は私のためだけど、一応ヘンリーの幸せだって考えてるからね!
ゲームでは絶対に選べないマリアさんと結ばれるとか、男の夢でしょ!
好みの問題はあるが!
……ハッ。まさか
「ヘンリーって、マリアさん嫌いなの?」
「なんでそうなる。会っても無いのに、好きも嫌いも無いだろ」
現実的な意見きた。
まあ、私だって?
まだ見ぬフロルスくん(仮)と、絶対にどう転んでも結婚してやるなんて、間違っても思いませんけど?
「うーん、まあ、あれだよ。無暗に拡散するような技術じゃ、無いと思うんだよ。私だって、パパ……スを助けること以外には、極力使わないつもりだし。チート能力で無双とか、そういうの考えて無いから。戦闘はこの世界の標準技術の範囲で勝って、どうにもならないところを、それでなんとかするだけだから。ヘンリーの能力回復向きじゃ無いし、教えても、特に助けてもらえることも無いんだよね」
現実的に返されたので、やり返してみましたがどうでしょう。
適性が無い魔法も覚えられなくは無いが、あるものより覚えるのが大変ではあるから、パパンの蘇生は私がやったほうが、どう考えても早い。
「……わかった」
おお!通じた!
「俺が、甘かった。今日のところは、それでいい」
ええー?
今日も明日もその先も、永遠に諦めてよ。
「……教えないよ」
「諦めねえ」
面倒なことになった。
存在からして教えるんじゃなかった。
永遠に、嘆かせておけば良かった!!
……いや、それはそれで面倒そうだ。
十年ウジウジされそうで。
よし、済んだことだ!
開き直ろう!
「他に、聞きたいことは?」
ぶっちゃけなに話す予定だったか忘れたので、思い出させてください。
「……本当に、俺のせいじゃ無いか、聞こうかと思ってたけど。それはもう、いいな」
「そうだね。どう考えてもヘンリーのせいでは無いしね」
そう言えば。
「私も聞きたいことが」
「なんだ?」
「誘拐自演して他国で自由に暮らせるとか、本気で思ってたの?」
「思って無い」
ですよねー。
「自力で脱出出来なくて他人任せになる以上、結局こうなるんだろうとは思ってた。王妃だって、自分で全部操ってるつもりで、いいように利用されてるだけだしな。けど俺を追わなければ、パパスさんとお前は助かると思ってたから」
「なんていうか……自己犠牲精神?やっぱり、マゾなの?」
「なんでだよ!!」
もちろん冗談です。
「俺ひとりでこうなるか、他を巻き込むかの違いだろ。俺の結果は、何も変わらない」
「だからついでに、王妃様の罪悪感も軽くしてあげたと」
自分から申し出て、向こうを唆す形にすることによって。
「……そうだよ。元々は、悪い人じゃ無いからな」
やっぱり、マゾじゃね?
「マゾじゃねえから。奴隷でも、ひとりで無茶して野垂れ死ぬよりはマシだろ」
思考を読むな。
読んで答えるな。
あ。
「あと、ヘンリーのキャラ設定。あれ、なんなの?」
「優しく人当たりはいいが気弱で無気力で、国王の重責には耐えられない人間。カエルの件は、関所通過用の仕込み」
転生者ってわかった時点で、そんなとこだろうとは思ってたけど。
「なんていうかさあ……。もうちょっと、自分のために生きてもいいんじゃないの?」
さっきのはパパンと私と王妃様のためで、こっちのはどう転んでも王様にされるデールくんと、デールくんを王様にしたい王妃様のためか。
「……自分のためだよ。嫌だろ、自分のせいで死なれたり、こっちにとっちゃどうでもいいことを、いつまでも気にされたり。頼まれても、城に戻る気は無いし」
ああ。それなら、そうかもね。
でも、城には戻れ!
少なくとも、私には着いてくるな!
「最悪、教えてもらえなくても。着いてくからな!」
ええー……。
ストーキング宣言とか、マジ勘弁してください。
訴えたら勝てないかなあ。
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